静岡県立漁業高等学園は、創立50年。一流の漁師になる近道です。

漁師をめざして、がんばっている生徒たち。
30歳までの若者が全国から漁業の街、焼津に集っています。

農林水産省研修生のMさんが報告会

2018年09月21日 09時17分51秒 | イベント

一ヶ月間の研修を終えるMさんが、その報告をしてくれました。
いつも東京は霞ヶ関で仕事をしている方が、静岡の漁業、漁村をみてどう感じたのか。
とても参考なります。
ちなみに、カラオケしているわけではないですよ。

沼津市の内浦、西伊豆町の田子、そして学園の3カ所で研修でした。
内浦では海面養殖、刺し網漁業。
田子では潮カツオの製造や、活魚流通などを現地研修したそうです。
天候が悪くて沖に出る機会は少なかったそうです。


生徒から
「研修中に、もうだめか...と思うくらい辛いことはありましたか」
と質問がありました。
天候の悪い時に行った刺し網漁業が大変だったそうです。


報告の中に、担い手を育成するために必要なこととして
「漁師の勘を数値化する」
と言うのがありました。
これは農業ではすでに行われています。
コンピューター管理の温室栽培もあります。

ただし、漁業が違うのは天然資源を相手にしていること。
一流漁師の腕を数値化し、誰にでもできるようにしたら良いことばかりではありません。
密猟者含む漁師以外の人もたくさん魚を捕ることができてしまう。
現時点でも人工衛星情報、GPS、高性能魚群探知機などハイテクが使われています。
そして魚は減りつつあります。
今は資源を守りながら、資源を活かす時代。
このへんが農業とは違うところです。

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 園長のつぶやき
研修生のMさん。
某有名大学の水産学部出身です。
水産学部は大きく分けて三つの学科で構成させます
 漁業系(漁業機械、航海士含む)
 食品系(水産加工品、食品化学)
 生物系(養殖、漁業資源、生物学)
です。
昔から人気のあるのは生物系です。
生物が好きでたまらない「さかなクン」みたいな人が行くところです。
もちろん、偏差値も高くなります。

・・・ところが、そんな優秀な人でも就職は苦労するんですよ。
それは勉強したことを生かせる仕事はそんなにないんです。
生物関係を勉強した人を必要とする会社は少ないということです。
だから、Mさんのように専門職の公務員を目指す人も多くなります。
実際には公務員の枠も少ないので、ほとんどは生物とは関係ない会社、仕事に就職します。

でも、Mさんにしたって農水省で現在行っている仕事を水産学部で学んだわけではありません。
ほとんど場合、仕事のことは就職後に一から勉強です。
じゃあ「大学に行くのはムダ」かと言えば違います。
直接でなくても、学んだことが助けてくれる場面はたくさんあります。

学園の実習で行うロープワーク、漁具製作など。
基本的な作業を覚えます。
実際の漁船では、やり方が違うことも少なくありません。
その船でのやり方を覚える必要があります。

それでも、学園で身につけたことがムダになるのではありません。
基本作業ができているから、その応用、あるいは変形を短い時間で身につけることができるからです。
加えて、学校だからこそ安全最優先の方法を教えることができます。

海技士の勉強も同じ。
20トン未満の船を使う沿岸漁業では海技士免許は不要です。
でも20トン未満でも船を使うことには変わりありません。
海技士としての知識がどこかで役に立ちます。


漁業現場でしか学べない技術があるのは確かです。
でも、学校でしか学べない技術や知識があるのも事実です。
ですから、大学にしても学園にしても、学ぶことはムダでないんですよ。

コメント
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