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織田信奈の野望 全国版11巻の感想レビュー(ライトノベル)

2014年04月22日 18時42分41秒 | ライトノベル・小説
富士見ファンタジア文庫のラノベ、『織田信奈の野望 全国版11』(春日みかげ先生原作、みやま零先生イラスト)が発売中です。
レーベルが変わったことには驚かされましたが、イラストレーターさんも変わること無く、雰囲気は以前と同じなので良かったですね。
孫市の鉄砲が火を吹いて―という場面で長らくお預けになってしまい、ヤキモキされていた方もε-(´∀`*)ホッと一安心ではないかとw

表紙は、小早川隆景と日焼けした良晴。
毛利両川の一角と織田家の家臣である良晴は本来敵同士だったわけですが、良晴を見つめる隆景の表情がどう見ても恋する乙女のそれで(・∀・)ニヤニヤですね。
姉の吉川元春共々、戦場ではかなり怖い女の子なのかなと思っていましたが、一皮めくれば本作でも屈指の正統派美少女という感じでめっちゃ可愛かったです。
これは浮気しても仕方ないかもw

お話的には、天岩戸が開いて現代に帰れる!という場面になったものの、こちらの世界にとどまることを決意した良晴でしたが、信奈を守ろうと身を盾にして海中へ転落、そのまま行方不明となってしまうことに。
辛くも半年間の一時休戦状態となった戦ですが、良晴の安否を気遣いながら来るべき毛利勢との再戦に備える信奈の元に、毛利陣営の中に良晴が居たという知らせが舞い込んできて…という引き裂かれた恋人!展開です。

前巻と今巻で対毛利戦編の上下巻的構成になっていたわけですが、水軍同士の戦いでフルボッコにされた織田家がどうやって巻き返すのか?というのが戦的なポイント。
いわゆる木津川口の戦いがテーマとなっており、カラー口絵にもデカデカと鉄甲船が描かれているあたり、織田家の逆襲回が予測されたわけですが、それに対するのが毛利側で保護された記憶喪失の良晴という、まさかの信奈VS良晴のドリームマッチにテンション上がりました。
ひょっとしたら当分行方不明のまま引っ張るのかなとも思いましたが、信奈を始めとした織田家のヒロインズがどれほど良晴の身を案じていたかは十分に描かれていましたし、良晴の正体に早々に気付きながらも、その心根に喪われた兄の面影を重ねて急速に惹かれていく隆景とのラブロマンスや、隆景に惹かれはじめながらも、自分が元織田家の人間だと知らされた良晴の苦悩といった切ないシチュエーションが盛りだくさんで内容充実でしたね。

毛利といえば三本の矢のエピソードが有名ですが、それになぞらえて優しくも勇ましかった兄・隆元に対する隆景の心情が丁寧に掘り下げられると同時に、似た雰囲気を持った良晴に対する思慕が深まっていく演出がとてもロマンチックで感動的でした。
わけも分からずこちらの世界へ飛ばされてきたばかりの1巻の状況と重なる部分も多く、もしも信奈よりも早く隆景と出会っていれば、彼女がメインヒロインになっていた可能性も高かったんだろうなぁと思うとますます切ないものがこみ上げてきますね。

ただ、記憶こそ失われてしまいましたが、良晴が織田家で戦う内に培ってきた度胸や、女の子たちを守りたい!という強い意志があったからこそ、隆景もそこに惹かれたわけで、こちらでの日々が無意味では決して無かった、むしろかけがえの無い日々だったということが再認識されたのは良晴にとって大きかったのではないかと。
かつての仲間達、そして自分が愛していたとされる信奈が毛利を攻めてくる日が近付く中、毛利水軍が歴史的敗北する木津川口の戦いを誰のために戦い、どう切り抜けようとするのかに注目していただきたいです。

自分自身が歴史を変えてまで導き、育ててきた信奈達織田勢との戦いは、ある意味自分自身との戦いでもありますし、良晴の覚悟が試されるのが大きな見所ですが、彼に限らず、大きな決断や策を実行するヒロインズの姿がまたカッコイイですのう(*´∀`*)ポワワ
半端に妥協せず、最善を尽くして戦局を乗り切ろうとする姫武将たちの様子は活力に満ち溢れていましたし、良晴と信奈の愛しあう姿が、図らずも日本全土に新しい時代の到来を予感させる風となり、大きく歴史を動かしている事実が伝わってきて胸熱でした。
それが本来有り得ないはずの最強の敵を呼び込んでしまったり、光秀の本能寺ゲージが溜まりそうになったりと予断を許さない状況でもありますが、なんとか全てを受け止めて、最良の未来を掴みとって欲しいところですね。


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