自業自得の結腸癌

菌状息肉症と結腸癌、2つも癌を抱えちゃったけど、病気のおかげでかえって人生が豊かになった気がするよ。

癌の告知

2012-07-25 | 告知


「今から告知をします」

なんて、言われたわけではないけれど、
癌について、自分の知らないことを知らされるのは
“告知”だよね?

いや、なんというか、私は少々鈍いところがあって、
あとになってから「あの時のアレは・・・」などと気付くことがしばしばある。
大事な告知の局面に、自分では告知だと思っておらず、
家族を同伴せずに一人でぷらぷら診察室を訪れ、
「お一人でいらしたんですか?」
と、ドクターに心配されたこともあった。



最初の告知は近所のKクリニックで生まれて初めて内視鏡検査を受けた時。
まだ麻酔覚めやらぬもうろう状態で、検査をしてくれた先生から
「アニーさん!聞こえる?S状結腸というところにね、大きな腫瘍があったんですよ。
あとで、院長が詳しく説明しますからね。いいですか?」と言われ、
夫とともに院長から説明を受けた時。
「内視鏡では取れないくらい大きな腫瘍なので、手術が必要です。
少しだけ細胞を採取しましたから検査に出しますけど、癌だと思っていいと思います。
まあ、病理の結果が出てみないと、悪性とは断定できませんけど、
これはもうできるだけ早く手術を受けたほうがいいと思います。」との説明だった。

 ――― 癌? 悪性でないかもしれない? 悪性でなくても癌と言う?
麻酔が抜けきっていないこともあり、私の中では少々混乱していた。



そして、二度目の告知。
Kクリニックの院長から紹介されたドクターを初めて訪ねた時。
外来で自分の番が来て、K先生の診察室をノックした時、
K先生自ら出迎えて下さり、にこやかに、でも少しだけ心配そうに
「お一人でいらしたんですか?」とおっしゃった。
K先生は私が渡した紹介状を、私に見えるようにデスクに広げ、
「かなり大きな腫瘍だったんですね。よく検査を受けましたね。
見つかって良かったですよ、ほんと。」と、穏やかにおっしゃった。
でも、続けて「悪性の進行癌として治療します。」とも言われた。

 ――― “悪性の進行癌”・・・この言葉が私の胸に突き刺さった。

だけど、ショックに浸る間もなく「切れば済む話ですから」と
K先生は笑顔で言い、すぐに入院と手術日の相談を始めたので、
私の意識は癌になったことよりも治療の方に向けられた。



最も私が動揺した告知は、もう元気に職場復帰をしたあとのことだった。
職場復帰をした翌日が術後初めての外来診察だった。
退院した時点では、まだ病理検査の結果が出ておらず、
この外来診察でその結果を知らされることになっていたので、
私はこれまでで一番緊張し、「告知を受ける」意識で診察に向かった。
一人で。

私は「おそらくステージ1」と思う気持ちが強かった。
腹腔鏡手術ではピカイチのK先生が執刀医だったし、
T先生もM先生もH先生もついていてくれたのだから、
サッパリきれいに癌は取り除かれたはず、という根拠で。

だけど、言われた言葉は、
「実はね、リンパ節に転移してたんですね。
リンパ節を25個切り取ったんだけど、そのうち4個に転移していた。
3個までがステージ3a、だけど4個以上は3bに分類されるんです。」
というものだった。
ものすごく胸がドキドキした。
とりあえず夫に説明できるように、手帳にメモを取ろうとしたけれど、
字を書く手が震えていた。

その日、診察の帰り道、いつも運転している道を間違えてしまった。
化学療法の説明も受け、悲しいというよりちょっと興奮気味だった。
これまで他人事だったケモを、自分が受けることになるとは。



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