将人とともに together with Masato

For the parents in the world, whose children have autism.

50才で急逝

2007年06月28日 | 想い
先日、高校同窓会のメーリングリストに目を疑うようなメールが入って来た。我々同期の世話役をやってくれていたO君の訃報だった。

いつも通り、趣味の気球で飛行を終え、後片づけの最中、風で気球が動き始めたらしく、それを追いかけてしばらく走ったら、突然倒れて、そのまま逝ってしまったそうだ。かつぎ込まれた救急病院では心筋梗塞という診断だったらしい。

何にせよ、頑強なソフトウェアープログラマーが、妻子を残して50歳にして逝ってしまった。身近な同い年の人が亡くなるのは、やはりめげる・・・・。特に、彼の場合は何の病気も今までなかったようだから尚更のことである。

あの小椋佳さんが「あいつが死んだ」というフレーズで始まる歌をしみじみ歌っておられたのを記憶しているが、まさにそれが心に染みる心境だ。

自分の身近で人が亡くなったのは、私が中学3年生の時の母方の祖母だった。ちょうど修学旅行に出発する日で、あの時も本当に驚いた。かなりの高齢で、自宅でいつの間にか息を引き取っていたという、老衰・大往生だった。

母方の伯父はアルコール性肝硬変だったようで、何度も吐血で入退院を繰り返した果ての死亡だった。主治医の先生が荒々しく心マッサージするのが病室のドアの隙間から見えたが、入退院を繰り返していた時点でもうながくないと言われているのに、なお叩きつけるように心臓マッサージする事に何の意味があるのかと思った。あの時、生まれて初めて、親しかった人の、亡くなった目を間近に見たが、とたんに涙が溢れてきて、嗚咽がしばらく止まらなかった。高校2年の夏のことだった。

白血病の入院治療で出席日数が足りず、留年して高3で一緒になったOK君はやる気満々の高3生活だったが、いつも土色の顔をしていた。抗ガン剤でどんなにか辛い日々を送っていたことだろうか。大学入試直前にも入院していた。第一志望校には落ち、第二志望校に受かったが、それでも心から喜んで、そこへ行こうとしていた。状況は私も同じだったので、余りの違いに唖然とした思い出がある。しかし、そうして喜んで入学した彼だが、1年もたたずに帰らぬ人になった事を、浪人中の東京の下宿で聞いた。

大学4年の時、中学高校6年間、柔道部で一緒だったN君が自殺した事を新聞で知った。大学院進学が難しいのを悲観したためか、お母さんが心配して上京して来るのを尻目に、バイクで中央高速を飛ばし、JR駅舎の裏で農薬自殺したそうだ。

面識はなかったが、下級生がラグビーの練習中に突然倒れ、そのまま逝った事件もあった。解剖された彼の心臓を見せていただく機会があったが、若者らしくとてもきれいで、みずみずしいものだった。こんな若々しい心臓でも止まってしまうんだと改めて思った。

大学4年の時、母方の別の叔父が心筋梗塞で亡くなった。地元の病院では最先端の治療ができないからと、救急車で約1時間半離れた市の中心部の病院に搬送されたが、その途中に帰らぬ人となった。

社会人になって、5年目、同期生が自ら首を吊って死んだ。彼は精神科医で、「自殺について」という演題で学会発表する事になっていた当日の朝のことだった。

35歳の時、父が大腸癌とその転移で死亡した。不思議といえば不思議な感じだが、親は余りにもその存在が大き過ぎて、1年くらい亡くなった気がしなかった。いや今でも、後ろから小言を言って来そうな気がよくする・・・。

それから後は、医療関係の仕事に就いたこともあって、人様の最期に立ち会うことが日常茶飯事になり、あまり感慨も湧かなくなった。むしろ、ベッドの上で最期を迎える事が幸せな事のようによく言われるが、果たして本当にそうなのかという気さえしてきた。

ただ、救急病院で当直をしていると、服毒自殺、首吊り自殺、覚醒剤中毒、喧嘩、やくざの指つめ、交通事故をはじめ、様々な内科疾患の末路を見ることになるが、アルコールや煙草をやめないと命を縮めると言われているのに、なおやめられず、本当にそれで自らとどめを刺している人がなんと多いことか。

いろんな人の様々な「死」があった。そして、それぞれの死が大きなメッセージを残して下さっているかのようだ。

ただ、医療職に就いてから、もっぱら「死という現象」とばかりに思っていた事柄が、また、今日改めて「永久(とわ)の別れ」と感じられた日となった。

50才で病死とは、あまりにも早い死だが、ご冥福を祈りたい。



近くのお寺に掲示板があって、そこにいろんな法話が張り出される。ふと、いつか見た法話を思い出した。

「今日、あなたが何気なく過ごした一日は、
 昨日亡くなった人が痛切に、何とか後一日生きたいと願った一日である。」

合掌



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