福島第一原発で作業を続けていた人がベータ線被曝によって負傷したとの報道があった。
さらに、3号炉の建屋内に貯まっている水の放射線量が1mlあたり3.9メガベクレルにも及ぶという。
3号炉だけでなく1号炉も同様の状況らしい。
一般の人にはピンとこないかもしれないがこれは凄い数字だ。
例えば基礎医学の研究施設で扱う放射性物質32−Pを例に取ると、何人もで分けて使用する原液でも通常は37メガベクレル(1ミリキューリー)だ。
32−Pはベータ崩壊によって安全確保が比較的容易とされているベータ線を放出する。
それでも、これだけの量の放射性物質を保存するにはアクリル製の頑丈な瓶に入れてさらにその瓶を鉛の容器内で保管しなければならない。
使用する際はアクリル製の遮蔽板等を使い、数メガベクレル (2 - 4 MBq) ずつチューブ内に移し替える。
ガイガーカウンターで微量な漏れがないかを常に調べるが、検出筒がチューブの方を向いただけで針が振り切れる。
作業時間は努めて短くするし、体幹だけでなく指先の被曝量もバッジでモニターする。
福島原発の貯留水にはわずか1ccの水の中にそれだけ細心の注意を払って取り扱う量の放射性物質が含まれている。
にもかかわらず、貯留している水量は想像もつかない。
その大量の放射性物質が放水等によって海に流れ込んだら、また爆発等が起きたら数十年後、数世紀後まで大変な影響を及ぼすだろう。
背筋が凍り付くとはこのことだ。
さらに恐ろしいのは、これだけの放射性物質は核燃料から流れ出したと考えなければ説明がつかないことだ。
その場合、空気中にも多くの放射性物質が含まれているはずだ。
実際、遠く離れた東京でも放射性物質量の増加を観測している。
公表されていないけれど、建屋内の放射線量は想像を絶する値を示しているのではないか。
そのような環境で作業を続けることは自殺行為に等しい。
言葉がない。