デル(NASDAQ: DELL) のアンディ・ラーク氏 (global head of marketing for large enterprises and public organizasions) が CIO のインタビューに答えて驚愕の発言をした。
デルの将来に暗雲が立ちこめている。
「アップル(NASDAQ: AAPL)の iPad は企業には受け入れられないだろう」という発言だが、それ自体は論争の的であり特に不条理ではない。
後述のように、HP(NYSE: HPQ)のスティーフン・ドゥイット氏もアップルの将来に疑問を投げかけている。
ライバル企業の弱点を突くのはビジネス戦術の王道なので二人の発言の趣旨は理解できる。
問題なのは、その根拠を説明しようとして理不尽な発言を続け、現況を把握できていないことと、技術面での無知さ加減をさらけ出した点にある。
まず、「iPad はマウスやキーボードを一緒に買うと $1,500 - $1,600 もする。」という発言。
そして、それを根拠に、「 iPad は高価すぎて企業は買わないだろう」と続けた。
先日サムスン電子が、iPad 2 の価格とデザインはかなり手強い、と認めたように$499から始まる価格はかなり意欲的な設定だ。
ラーク氏は、10インチタブレット市場では iPad 2 が最も安価なタブレットの一つだという事実を把握していない。
iPad は今なら$299(WiFi モデル)で購入できる。
低価格は実際に iPad の魅力の一つなのだ。
次に技術面での無知さには呆然とさせられた。
アップルが開拓した(正確には大きく育てた)タブレット市場はタッチパネルの導入が刮目点だ。
キーボードを使う人は自分を含めて少数派だし、キーボードを利用するのはほんの一部の時間だけだ。
マウスに至っては全く使用しない、というか使用できない。
タブレットにはマウス用ドライバーが装備されていない。
デルはタブレットにもマウスを付随させるつもりなのだろうか。
新しい機器の本線が見えていないとしか言えない。
これらの事実を並べるとラーク氏の発言の不条理さが鮮明になる。
まず価格について、iPad 2 は付属品をつけても彼の示した値段の半額である。
事実を倍に誇張するのはいただけない。
次にアップルが低価格路線でライバルと競争しているという現況を全く把握していない点。
さらに、タブレットにマウスは不要だという根本的な理解ができていない点。
デルはタブレット市場に切り込んでいくつもりなら、最低限の知識を有し正確な状況把握のできる人をトップに据えるべきではないか。
このままではデルはじり貧だろう。
次にHPの見解について。
HPはデルと異なり、正確な状況分析に基づいた的確な指摘を行った。
下請け会社との関係をHPはとても大事にしているという。
アップルは強気で押してくるので部品会社の間で評判が良くないという。
確かにそういう話は聞く。
将来競争が激しくなったときに、下請けとの関係を大事にしていることが重要な武器になるとHPは考えている。
一理ある。