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iPad 2 と Samsung の悩み

2011-03-04 16:00:52 | レビュー
 3月2日の iPad 2 の発表はライバル会社にとって予想以上に厳しいパンチだったようだ。

サムスン電子 (samsung electronics) といえば世界最大級の電機メーカーだが、その重鎮が近日発売予定の10インチ画面タブレットについて「考え直す必要がある」と述べ、衝撃を隠さなかった。

サムスン電子モバイル部門のVP李唐珠 (Lee Don Joo) の引用から:
"We will have to improve the parts that are inadequate. Apple made it very thin."
(今の部品ではダメだ、アップルは非常に薄いタブレットを発表した。)

さらに価格についても、ジョブズ氏が他社の追随を許さないと豪語した通り、弱気な発言が見られた。
"The 10-inch (tablet) was to be priced higher than the 7-inch (tablet) but we will have to think that over"
(10インチのタブレットは7インチよりも価格を高く設定する予定だったが、考え直さなければいけない)

ちなみにアメリカでは7-インチでも2年契約の縛り無しで$900とかなり高価である。
iPad 2 の最上位機種よりも値段が高い。

使用出来るソフトの数が1000倍近くも異なるという現実があるので、価格設定が iPad より高ければ競争力に欠ける。
もちろん4Gが使えるのは最大の魅力だが、4Gネットワークは限られた場所でしか利用できない現状では、従来の3Gもしくはそれ以前の旧式のネットワークを利用することが多くなる。

タブレットで第2位につけているサムスン電子ですらこれだけの打撃を受けた。
HP (TouchPad), Motorola (Xoom), Samsung (Galaxy), RIM (PlayBook), LG (G-Slate) 等は iPad のゾロ品だ。
シェア向上のためには何か売りが必要だが、今のところ4G以外にセールスポイントが見あたらない。
むしろ逆に、 Fragmentation や使えるソフトに限りがあるなどのマイナスの方が目立っている。
これらを勘案すると、ジョブズ氏の言うとおり今年は iPad 2 の年となりそうだ。

その一方で、日本のウェブサイトにはフラッシュが溢れている。
最近急速に数が増えてきている iPhone や iPad の利用者を亜流だと見なしている感は否めない。
マックをサポートしなくても当然許されるという風潮もある。
逆転の発想をすれば、マックとHTML5のサポートでサイト訪問者の数や情報発信の標的人口を格段に増やせる、といえる。
ただ現在の日本ではウェブ開発者の技量が伴っていない(フラッシュやエアーという一部の開発環境にのみ適応している)可能性がある。
これまで不要だったので人材が育っていない。
従って、日本市場だけは今後の展開について予想がつかない。

大胆な予想をしてみよう。
「今年のタブレット市場は全世界で5000万台の規模となり、その7割以上がアップル社製 (iPad + iPad 2)で占められる。」

2010年の実績はIDC (International Data Corporation) によれば、1700万台のタブレットが出荷されのの9割近く(1500万台)が iPad だった。
この急成長を遂げているタブレット市場に iPad の模倣品すら投入できない日本の電機メーカーは完全に乗り遅れた。