Battle: Los Angeles (世界侵略:ロサンゼルス決戦)は米海兵隊が主人公のアクション・スリラーだ。
大まかな評価は、このジャンルでは「第9地区」 (District 9) 以来の傑作だ、ということになる。
つまり、「インデペンデンス・デイ」 (Independence day) や District 9 を楽しんだ人は、Battle: LA も良い娯楽映画だと感じるはずだ。
予告編で明らかにされる通り、宇宙人が地球侵略を試みる。
セオリー通り、大量の兵器を投入して不意打ちを行い、軍事的優位を確保する作戦だ。
米軍や各国の防御隊はなすすべもなく撤退を続ける。
民間人の安全確保と制空権奪回のための戦いが始まる。
この映画の特徴は侵略する宇宙人に焦点を合わせないことだ。
人によっては、もっと奇抜なエイリアンを見せて欲しかったという人がいるかもしれないが、これはエイリアン映画ではない。
あくまでも人間を中心としたドラマが筋書きとなっており、それにアクション、爆薬、銃撃戦、ススペンスが積み重ねられた作品だ。
海兵隊は "Marines do not quit." をモットーに最後まで戦い抜くという主題は一貫している。
もちろん人によって背景は違うけれど目的は一つだ。
丁度、最近話題の「マッターホルン」("Matterhorn" by Karl Marlantes) を読んでいる最中で、比較が面白い。
マッターホルンはベトナム戦争における海兵隊の話だが、非常に現実的で、元海兵隊員達から事実に忠実だと賞賛を受けている小説だ。
Black Hawk Down の著者マーク・ボーデンも次のように述べている。
"Matterhorn is a great novel. There have been some very good novels about the Vietnam War, but this is the first great one, and I doubt it will ever be surpassed."
- マッターホルンは素晴らしい小説だ。これまでベトナム戦争を描いた良い小説はあったが、始めて偉大な作品が出版された。これ以上の(ベトナム戦争)小説は今後出てこないのではないか。
この小説に登場する海兵隊員は、ジャングルで苦闘するとてもヒーローとは呼べない、リアルで欠点だらけの人間だ。
それに比べると、この映画で描かれている海兵隊は逆に真実味のないヒーローである。
もちろん娯楽映画にとっては後者の方がふさわしい。
彼らの活躍ぶりをアーロン・エックハート(Thank You for Smoking)やミッシェル・ロドリゲス(アバター)がうまく演じている。
大スクリーンで見ることをお勧めする。
★★★★☆