Along with the Mekong

メコン川の流れのように

Black Gold

2008年06月09日 | コーヒーネタ
Black Gold コーヒーのことを、そう呼ぶ。
ブランド名でも銘柄名でもない。
昔、先物取引の投機対象として小豆が人気だった頃、「赤いダイヤ」と呼ばれていたそうだが、同じようなニュアンスで、コーヒーはBlack Goldと呼ばれる。

で、この映画。邦題は『おいしいコーヒーの真実』なんだけど、原題は『Black Gold』。2006年頃の作品かなぁ。公開当時からこの映画のことは聞いていて、でもなかなか日本には入ってこなくて、ずっと見たいと思っていた。その念願かなって、渋谷で見た。上映を実現した実行委員会の人たちに感謝。

もっと過激な映画かと思っていた。だけど意外とフツーにドキュメンタリー。冒頭の辺りで、コーヒー生産者に、コーヒーが先進諸国でいくらで売られてるのかを教え、「君たちが売った価格の何倍だ?」とたずねるシーンがある。(確か28倍とか、そんな数字だった) この場面がとってもイヤだった。産地に暮らす人たちに、流通コストや、先進国の家賃や人件費や物価の違いも、想像がつくはずがない。そんな相手にこんなことを言ったら、27倍搾取されているといっているみたいではないか。

と、憤るmame。

それにさー、消費国の人間だって、その28倍の価格に見合うだけの価値をつけるために、努力だってしてるんだから。生産者だって、結構したたかだったりするし。

なんて話を、一緒に行ったカオリちゃんとする。カオリちゃんはmameとおんなじくらい小粒なんだけれど、その行動力はmameの百倍、いや千倍パワフル。アフリカに行くのはヨーロッパに行くより、気持ち的に近いんだそう。

 見ようによっては深刻でもあるこの映画の前に、ゆっくりVironでランチの小粒なふたり。当然、コーヒーもいただく。

ワタシタチは、たまたま、今のこの日本に生まれたというだけだよね。エチオピアでコーヒー作っていた可能性だって、あったかもしれないよね。そう思うと、無理してまでとはいわないけれど、この偶然の幸運を独り占めせず、少しは分けてあげたっていいよね。なんて話しながら、Vironの、量といい味付けといい肉体労働者向けフレンチの羊のローストやら魚やらを、ガツンといただく。その上、アプリコットのタルトと塩キャラメルのアイスクリームのデザートまで。

ささやかだけれど、できることはやってみよう。そしてやっぱり誰にも教育は必要だ。日本にいたら実感できないが、読み書きができないために職業の選択の余地がない、そんな人はまだたくさんいる。彼らの人生の選択肢を少しだけ増やしてあげることは、そんなに難しいことではない。それは決して余計なお世話なんかではない、最近そう思えるようになった。

Black Goldという映画を見ても、コーヒーのことはあんまりインスパイアされなかった。けれど、この映画を見たことで、ワタシが元気に動き回れる間にやっておきたいことをぼんやりとでも考える、そんな気持ちになったりした。不思議とカオリちゃんもおんなじことを思っていた。

映画の後、初夏の気配漂うおしゃれな表参道を歩くちっちゃな女2人。2人とも、気持ちは亜熱帯の森の中に飛んで行っているんだった。

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