昇交点

五藤テレスコープ的天文夜話

ディープフィールド

2013-10-28 09:56:21 | 天体観測

20131013_3c48

131013_q0957_561

ハッブル宇宙望遠鏡やすばる望遠鏡といった高性能望遠鏡は100億光年以上かなたの天体をとらえてさまざまな観測成果を発表していますが、私たちアマチュアが使える望遠鏡ではどれくらいまで遠くの天体をとらえることができるのでしょうか。

先日ですが、アイソン彗星の撮影をする前に2つほどとても遠い天体を撮影してみました。

最初の画像は普通の恒星に見えますが、これはさんかく座のあるクエーサー3C48で、明るさは16等星。この天体は秒速10万キロのスピードで地球から遠ざかっていて、ハッブルの法則を使って距離を求めると何と44億光年かなたにあります。CCDのセンサーがとらえられたクエーサーの光は地球が誕生して間もないころのものです。

今度はおおぐま座の方を見てみましょう。銀河のそばに16等星の2つの恒星が並んでいるように見えるところがありますが、実は遠方のクエーサーが手前の銀河による重力レンズ効果で2つに分かれた姿です。この天体はツインクエーサーと呼ばれ、重力レンズによって天体像が影響を受けたことを初めて確認した天体でもあります。重力レンズによって拡大されたり、ゆがんだ銀河の画像はハッブル宇宙望遠鏡で撮影されたものはおなじみですが、筆者が持っている機材でもはっきり写ったことには驚きました。

さらにびっくりしたのはクエーサーの距離で、秒速21万キロのスピードで地球から遠ざかっていて、その距離を求めると何と93億光年かなたにあります。さっきの3C48の倍以上も遠くにあるということになります。ここまで来ると100億光年までもう一息です。

この画像を見ると、アマチュアでも宇宙への扉は開かれているのだなとつくづく感じました。(kon)

画像上:さんかく座のクエーサー3C48
画像下:おおぐま座のツインクエーサーQ0957+561
いずれも 口径16cmアストロカメラ+冷却CCDで撮影・処理


星夜の逸品(住職の磨いた鏡)

2013-10-23 13:16:53 | うんちく・小ネタ

先日から紹介しているGOTO投映応援サイトドームなび内のコラム「星夜の逸品」ですが、「住職の磨いた鏡」の記事4回分が掲載されています。鏡面研磨者として著名な木辺成麿(きべしげまろ)氏とかつて五藤光学研究所で活躍していた笹川重雄氏のエピソードです。前回に続き望遠鏡愛好家のみなさま必見です。(kon)

GOTO投映応援サイト ドームなび
※コラムは会員登録なしで見ることができます。
http://www.domenavi.com/


マークX物語(8)

2013-10-21 09:39:08 | マークX物語

Motorcontoroller

第8話 126歯+音叉発振でゆこう

この物語も8回を数えましたが、これから5回ほどはマークX赤道儀のモータードライブ(以下MD)のお話をさせていただきます。

マークX赤道儀は赤経、赤緯のウォームホイル共に126歯という、ちょっと特殊な数が採用されています。当時の望遠鏡では144歯という規格が多かったので、これはどうしてですかという質問が発売当時とても多かったものです。

マークXは天体写真の撮影を目的のひとつにしていたため、どうしてもMDの追尾速度は恒星時が欲しかったのです。24時間すなわち1440分の太陽時追尾の場合は144歯が望ましいのですが、恒星時は23時間56分4秒という数値です。当時パルスモーターで自由な発振周波数を設定するのが難しい時代で、1、2、5rpmといった決まった回転数をモーターに与えてやるのが、製造数量の少ない製品の場合に有利でした。126歯の場合、1rpmのモーターと組み合わせると、4枚の平ギアの組み合わせで恒星時にほぼ等しい追尾速度が得られることが分かりました。

また正確なパルスを発振するために当時も今と同じく水晶発振が一般的でしたが、この方式だと分周回路にかなり消費電力が食われてしまうことが分かりました。発振周波数の低い音叉発振器を採用することに決めました。回路はマイナス30℃までの使用を想定してICの選定をおこないました。こうして当時としてはめずらしい手のひらに載る大きさのMDコントローラーができあがったのです。


このMDで200mm望遠レンズ20分ノータッチ追尾をめざしたのです。そのためにはピリオディックモーションという、見えない敵を退治しなくてはなりません。これについては次回のこのブログでご紹介します。(suzu)

画像:発売当初のマークX用MD。手のひらに乗る大きさが売りだった。


三鷹・星と宇宙の日2013

2013-10-19 19:34:15 | 星まつり・観測会・イベント

131019nao_01

131019nao_02

先ほどまで、国立天文台で開催された三鷹・星と宇宙の日2013に参加してきました。

予定では、広場で昼間は太陽、夕方から終了までは金星や満月などの天体観望を双眼鏡StarCruise842と8cm屈折赤道儀を使っておこなうつもりでしたが、天候が悪く、太陽を8cm屈折赤道儀で見ているうちに雲が厚くなり、夕方からは小雨も降ってきたため観望会は結局中止となってしまいました。

観望会は残念な結果でしたが、日中は過ごしやすく、天文台のさまざまな展示機材や催し物を楽しむことができたのではないかと思います。弊社は来年も参加する予定でいますので、その際は新たな製品を持ち込んで観望会を楽しんでいただけるようにしたいと思います。(kon)


クイズ番組に参加しました

2013-10-16 13:56:40 | うんちく・小ネタ

Miraikan

先月のある日、某望遠鏡メーカーの方から筆者に電話があり、何だろうと思いきや「NHKでやっているクイズ100人力という番組の回答者を集めているところですが良かったら参加しませんか?」とお誘いをいただきました。テレビに出ることはプラネタリウム解説者時代に地方局では何度かやってましたが正直苦手だったのです。しかし、社長のsuzuに相談したところ即決で業務命令で行って来い!なってしまいました。

この番組、筆者はよく知らなかったのですが、あるテーマを題材にその分野の関係者100人と超人がクイズ対決をするというものです。今回は当然「宇宙」というわけです。

その収録が16日の昼、お台場の日本科学未来館で行われました。集まった面々は宇宙開発関連企業・大学の天文部・プラネタリウム解説者・光学機器メーカーなど結構バリエーション豊かな構成です。筆者はグループ分けで天体観測グループの1員として参加と相成りました。

収録中は緊張するかと思いましたが、回答者が100人もいると分散するのでやっているうちに気が楽になってきました。あんまり話してしまうとネタバレになりますので、あとは番組をご覧いただくということにします。

放送予定日は11月2日(土) NHK総合 17時30分から18時42分です。

筆者の出番はともかく、宇宙に関するいろいろな出題についてぜひ番組を見ていただきチャレンジいただければと思います。(kon)

クイズ100人力のサイト
http://www4.nhk.or.jp/100nin/

画像上: 舞台となった日本科学未来館