昇交点

五藤テレスコープ的天文夜話

翡 翠

2013-06-19 16:44:01 | 野鳥

Kingfisher01

Kingfisher02

Kingfisher03

Kingfisher04

今回は久しぶりに野鳥の話題に触れてみます。
タイトルは「ヒスイ」ですが別の呼び方があって今回は「カワセミ」と読みます。

カワセミを筆者が知ったのは中学生のころ、カメラのCMに出てきたときでした。初めて見たときはそのプロポーションと色彩の美しさに惹かれたものの、澄んだ清流に住む鳥と紹介されていて自分にはまず縁がないものと思っていました。

しかし、最近では河川の環境が改善されたこととカワセミ自身の適応力もあったのか、都市部の河川でも生息するようになり、去年はNHKの動物番組でも紹介され話題になりました。

筆者がそんなカワセミを地元の川で初めて見たのが4年前の冬でした。そこからカワセミを追いかけはじめたのですが、生息ポイントがはっきりしているので、求愛給餌、交尾、幼鳥の巣立ち、縄張り争い、捕食など様々な活動を観察できることから野鳥観察の楽しさを体験することとなりました。実際にカワセミをきっかけに野鳥観察にはまった人も結構いるのではないでしょうか。

これまで天文を中心としていた筆者のスコープライフもカワセミたちのおかげでいろいろ広がってきたように感じており、今後の製品開発にも生かせるようにしたいと思います。(kon)

画像1:カワセミ(メス) ※くちばしの下部が赤いので雌雄はわかりやすい

画像2:カワセミ(幼鳥)の飛翔

画像3:カワセミ(幼鳥)への給餌 ※幼鳥はくちばしが短く、色も成鳥よりくすんでいる

画像4:巣立ったカワセミ幼鳥たち


発 掘

2013-06-10 16:15:37 | 望遠鏡・双眼鏡

Telepak50al

ある日のことですが、弊社が居を構える大東京綜合卸売センターの担当者が私に、倉庫に古い天体望遠鏡がずっと置いたままになっているので、良かったら引き取ってほしいと相談がありました。詳しい状況がわからないのに、天体望遠鏡がもらえると聞いただけでOKしてしまう自分にいささか呆れてしまいますが、天体望遠鏡には目がない性なのでどうしようもありません。

さっそく倉庫に入ると一台の屈折経緯台が組み立ててまま鎮座していました。画像がそれなのですが、なんと昭和40年代に発売されていた五藤光学研究所テレパック50-ALだったのです。残念ながらファインダーやアイピースが欠品していましたがコンディションはまずまずでした。なぜ卸売センターに?と思ったのですが、昔、卸売センターを会場にして比較観測会を何回かやっていてその時の物かも知れません。

何にせよ日の目を見たテレパック、一回整備をして再び天体からの光を入れてやろうかなと思っています。(kon)

画像:発掘されたテレパック50-AL


球状星団の変光星

2013-06-05 11:41:41 | 天体観測

M3_variablestar01

M3_variablestar02

ゴールデンウィークの頃に遡りますが、自宅でりょうけん座の球状星団M3を7時間にわたり撮影していました。M3は天体撮影では人気がある球状星団でおなじみですが、この中に変光星が結構あることをご存じでしょうか。今回は球状星団内の変光星を実際に観測して確かめることです。

12.5cm屈折望遠鏡+冷却CCDで撮影した画像を天体画像処理ソフトのブリンク(切替)機能を使って明るさが変わっている星を探し、見つかったら、比較星と変光星のカウント値から変光星の光度を求め、それをグラフにしていきます。光度計算とグラフ化作業はエクセルを使いました。

その結果ですが、測定値のばらつきが出ているものの、画像のようにおよそ0.2日の変光周期を持つ変光星がいくつか確認できました。この変光星は現在では短周期のこと座RR型変光星ということが分かっています。ケフェイドの一種なので、変光周期から絶対光度が求められることから天体の距離測定に活用されています。

天体用冷却CCDカメラは少々特殊とはいえ、手持ちの機材とソフトを活用することでアマチュアでも数万光年先の変光星を観測できることはデジタル時代の恩恵の一つなのかも知れません。また昨今の科学館や公開天文施設でも機材を持っているところがあるので、天文学を体験実習するワークショップ用教材としても使えそうです。(kon)

画像:球状星団M3内の変光星の光度変化