昇交点

五藤テレスコープ的天文夜話

カノープス

2013-01-25 09:06:13 | 天体観測

20130118canopus

昨夜、NHKのコズミックフロントを見ていたらカノープスの話が出ていたので少し書いてみることにしました。

筆者の自宅は立川市にあり、そこから府中市のオフィスに通勤しています。

さて、この時期は晴れているとカノープスが22時ごろに南中してきます。マンションの6階に住んでますが、南側が開けているので視界が良く、窓を開ければカノープスを見ることができます。しかし、都市部では肉眼でカノープスが見える日はあまりありません。先週になりますが、月が出ていたものの透明度が良く、肉眼でカノープスを見つけることができました。このマンションに引っ越したのは10年以上前になりますが、カノープスが見えるというだけで少し得をした気持ちになります。(kon)

画像:1月19日(金)のカノープス 


マークX物語(4)

2013-01-18 08:44:36 | マークX物語

Superapo_ad

第4話 社長がマークX赤道儀に注目

マークX赤道儀を開発していた当時の五藤光学研究所の社長は、初代社長の五藤齊三でした。明治24年生まれの実業家で、生涯に実にさまざまな会社を興したのです。五藤光学研究所も、そして五藤テレスコープの事務所がある大東京綜合卸売センターも齊三が興した企業のひとつです。

開発会議の委員は、マークXのコンセプトを社長から反対されると考えていました。天体望遠鏡に対して一徹な意見を持っている人だったからです。でもそれでも製品化しようと心に決めていました。

ところが製品化の報告をすると、私たちの心配とは逆に大賛成をしてくれたのです。それどころか「赤道儀の開発は君たちが担当しなさい。私はその赤道儀に取り付ける新しい光学系を開発する」と言ってくれました。齊三の残した3つの教えのひとつに「決して他人のまねはしない」という言葉があります。アイデアの斬新性があるいは彼の心に響いたのかも知れません。このことは将来、マークX赤道儀の販売に大きな事件となるのですが、当時はマークXシステムの拡張に多大な恩恵がありました。

こうして齊三社長の直接指揮による8cmアポクロマート、セミアポクロマートシリーズ、10cmマクストフなどが誕生してゆくのです。(suzu)

画像:2枚玉スーパーアポ最初のカラー広告


マークX物語(3)

2013-01-09 17:48:29 | マークX物語

  Markx_catalog

Potable_eq_2

第3話 マークXのモデルは合体ロボ

アマチュア天文家の理想望遠鏡を求めて開発会議は継続されました。70年代はアマチュアによる天体写真の揺籃期であり、眼視用はもとより当然のごとく天体写真の撮影に理想的な赤道儀が求められてゆきました。

ある委員から、当時子どもたちに人気のあった合体ロボのような赤道儀ができないだろうか、という意見が出ました。当時の天体望遠鏡は鏡筒と架台が一体化されたものが殆どでしたが、もし赤道儀がばらばらに分解できれば、反射、屈折、カタディオプトリックなどの鏡筒が自由に交換できるようになります。

さらに新しいアイデアも出ました。赤道儀が分解できるということは極軸が単体になることを意味します。実は当時、五藤光学研究所には「ポータブル星野撮影赤道儀」という製品がありました。これはまさに現在で言うポタ赤の原型で、この製品で初めて極軸望遠鏡という概念が生まれたのです。単体の極軸はポタ赤になることを意味しているのです。こうしてカタログの表紙にも採用されたあの分割イラストの概念が完成したのです。(suzu)

画像:上 マークXカタログ 下 ポータブル星野撮影赤道儀の広告