昇交点

五藤テレスコープ的天文夜話

月出帯食

2014-04-16 09:30:22 | 天体観測

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昨日は月食がありました。アメリカやハワイでは皆既月食になっていましたが、日本からだと部分食が終わるころ昇ってくる月出帯食という状況でした。

ちょうど仕事が終わる時間なので職場の屋上で月が昇ってくるのを社長のsuzuと待っていました。やがて地平線から欠けた月が昇ってくるという幻想的な光景なっていました。高度があがるにつれ食分が少なくなり、すぐに終了してしまいましたが見ることができたのは幸いでした。

あと今年は10月8日に皆既月食がありますので、まだ先のことではありますが好天を期待したいところです。(kon)

画像2点:月食の様子


火星接近

2014-04-10 16:45:11 | 天体観測

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4月に入ると火星が見ごろになってきました。大接近ではありませんが、それでも前回(2012年)よりも接近しているので観測条件は少し良くなっています。昨夜は12.5cm屈折で200倍以上で見ると、大気の揺らぎのため火星の形が細かく歪んでいるにも関わらず三角形の模様でおなじみの大シルチスや縮小した北極冠、ヘラスには極冠と間違うくらい白雲が確認できました。

眼視で状況を確認した後は5倍バローレンズ+延長筒にPCカメラを取り付け動画撮影と画像処理をしてみました。火星画像は小さいですが、処理をするとディテールが現れます。フィルムで撮影したころは模様が写っただけでも万々歳と思っていたのですが、デジタル技術の進歩はアマチュアでも本格的な惑星観測ができるだけの可能性を与えてくれたと思います。(kon)

画像:4月9日 23時30分に撮影した火星


マークX物語(12)

2014-04-07 09:01:28 | マークX物語

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第12話 コメットトラッカーの登場

マークX赤道儀のモータードライブ(MD)が音叉、水晶、5速型と進展していった様子は、8話から11話でお話しました。80年代も中ごろになると水晶発振のモーター回路が1rpm以外でも自由にできるようになり、MDのコストダウンが進みました。それまで内部に4枚構成のギアで恒星時を出力していたものが、2枚のギアで出せるようになったのです。この結果誕生したのがP型MDでした。コントローラーがすっぽり手のひらに収まるほど小さく、技術の進歩に感激したものでした。

ちょうどそんな頃、1986年にハレー彗星が地球に接近することになりました。これに合わせて開発されたMDがコメットトラッカーです。2軸のMDですが、速度を4桁の数字ダイヤルで可変できるようになっています。これは水晶発振の分周回路を制御しているもので、5,000が恒星時、4,986が太陽時になります。赤経・赤緯とも0から9,999まで設定でき、彗星など恒星とは違った動きをする天体に合わせて追尾ができるようになっていました。これによって彗星の微細な流線構造なども写真に捉えようとしたのです。

肝心のハレーはぱっとしない彗星でしたが、私は今でもこのコメトラ(当時社内ではそう略されていました)を大切に愛用しています。しかし全国のマークXのご愛用者も、そろそろ電装系が寿命を迎える時期ではないかと感じています。いま私たちはマークX赤道儀用に2軸MDを開発中です。これは当時のMDの復刻ではなく、現在の新しい技術を盛り込んだMDになります。それによってマークXがこの先また数十年生きることになると思っています。この2軸MDは近日中にプレスリリースできる予定です。

8話から12話でMDのお話をして参りました。次回からはちょっと別の視点でマークX秘話をお話したいと考えております。(suzu)

画像 P型とコメットトラッカーのハンドボックス