昇交点

五藤テレスコープ的天文夜話

望遠鏡でみる都心の風景

2013-09-30 13:59:11 | うんちく・小ネタ

Imgp5155_tokyo

Imgp5148skytree_shinjyuku

Imgp5151hills_2

Imgp5154haneda

130928kokutai_opening2

先日までうだるような暑さだった東京もここにきて秋空になり、透明度も良くなってきました。ところで、弊社がある大東京綜合卸売センターの屋上はなかなか見晴しが良く、東の方向を見ると都心のランドマークをいくつか見ることができます。

今回は普通に撮影してもなんなので、望遠鏡にコンパクトデジカメをつけてデジスコで撮影してみました。デジスコにした分拡大率が高めになっています。

ランドマークの目玉は東京スカイツリーでしょう。ちょうど新宿の高層ビル群と重なり、その高さの違いが良くわかるかと思います。そして、以外だったのが羽田空港の管制塔が見えることでした。

元来、望遠鏡は「遠眼鏡」と呼ばれたように遠くにあるものを見る道具。知っているランドマークが望遠鏡でどんな風に観察できるかということも倍率や性能を理解する上でわかりやすい指標になるものだと思いました。もし機会がありましたらみなさんの住んでいるところでどこまで遠くの建物が見えるか、どんな風に見えるか観察してみてはいかがでしょうか。(kon)

画像1 屋上から見た都心方向
画像2 新宿高層ビル群と東京スカイツリー
画像3 六本木ヒルズ
画像4 羽田空港の管制塔 
画像5 28日夕方 国体開会式でのブルーインパルス


中秋の名月

2013-09-20 09:37:46 | 天体観測

130919_imgp3595

130919_imgp3614

昨夜は中秋の名月でしたが、みなさんはご覧になりましたでしょうか。天候も先日の台風通過のあとは透明度の高い晴れが続き、まぶしく輝く名月を見ることができました。

何でも2011年から今回まではちょうど満月で中秋の名月を迎えたとか。この後満月で中秋の名月になるのは2021年ということなので東京オリンピックの後ですからある意味貴重なお月見でした。

天文マニアの視点になると満月というのは月明かりがあるし、のっぺりしてクレーターも見えないのでつまらないという話になりますが、この時期の月をあらためて見るとなかなか楽しめるものです。せめて中秋の名月くらいは月を愛でる気持ちで接してみたいですね。(kon)

画像上:東の空から昇ってきた中秋の名月

画像下:望遠鏡で撮影した中秋の名月


双眼鏡の検査方法

2013-09-18 14:49:20 | 望遠鏡・双眼鏡

Photo

StarCruise842が私たちの予想を超えた受注があり、在庫切れの結果おおくの天文ファンのみなさまにご迷惑をおかけしています。次のロットの生産が上がるまでの間、この双眼鏡の検査がどのようにして行われているのか、その一部をご紹介したいと思います。

この双眼鏡は全部で12の検査項目を設定し、全品検査を行っていますが、その中でも左右の光軸の平行度と倒れ、そして中心分解能が非常に重要な項目となっています。

平行度と倒れ角度の検査は、光軸検査器という大型の装置で測定します。この装置の上に双眼鏡を載せるとスクリーンに左右の光軸の様子、そしてプリズムによって180度回転した画像が正しく180度かどうかが表示され、計測することができます。

双眼鏡のJIS規格はB7121という規格で決められていますが、StarCruise842の場合は天体観測で特に影響の大きい平行度をJIS  AA級で決められた数値以下に設定しています。

次に分解能はコリメーターを使って測定します。コリメーターの焦点位置に上の図のようなUSAF解像力ターゲットを装着し、これを双眼鏡で見るわけですが、細かい分解能を測定するために双眼鏡の接眼部に更に5~10倍の望遠鏡を取り付けて観察します。StarCruise842の場合、4.5秒から5.5秒角程度の中心分解能でした。(JIS AA級では倍率8倍、ひとみ径4.5mm以上の機種で7.5秒)口径42mmの望遠鏡と考えた場合は理論上3秒角になるので、短焦点の対物レンズと複雑なダハプリズムを通過してきた像がこれだけの分解能を持つことは驚きに値します。8倍の倍率を掛けると、ほぼ視力1.5の人の眼の分解能に相当し、JIS  AA級が規定する数値よりはるかに高いと言えます。(suzu)

画像:解像度チャート


星夜の逸品(1インチ望遠鏡の謎)

2013-09-13 07:31:58 | うんちく・小ネタ

先日紹介したGOTO投映応援サイトドームなび内のコラム「星夜の逸品」ですが、1インチ望遠鏡の記事の掲載が始まりました。口径1インチのシングルレンズ望遠鏡の秘密に迫ります。望遠鏡愛好家のみなさま必見です。(kon)

GOTO投映応援サイト ドームなび
※コラムは会員登録なしで見ることができます。
http://www.domenavi.com/


新星のスペクトル

2013-09-10 09:09:39 | 天体観測

Spectrun_nova_del

1975_nova_cigni

先月発見されたいるか座新星ですが、望遠鏡で見ていると最初は青っぽかったのが、減光するにつれて赤っぽく変化していく様子がわかりました。数日で色の変化が観測できるというのもなかなか興味深いです。

さて、この新星を分光観測するとスペクトルが変化していく様子がよくわかります。最初の明るいときは一般的な恒星と同様の連続スペクトルがほとんどですが、その中に水素のHα線が輝線スペクトルとして現れています。それから減光が進むにつれて連続スペクトルが弱くなり、対して水素のHβやHγ線、FeⅡ、OⅠなどいろいろな輝線スペクトルが現れてきました。

あともう一つ新星のスペクトルを紹介します。ベテランの方は懐かしいと思うかも知れませんが、1975年のはくちょう座新星です。これはsuzuがコダック103aFというフィルムで撮影したものですが、こちらも減光するにつれて水素の輝線スペクトルがはっきりと出てくる様子をとらえています。特にHα線は当時は103aシリーズを使わないと写らなかったでしょう。

分光観測は機材や解析などのノウハウが少ないためアマチュアでは未だマイナーな分野なですが、デジタル機器やソフトの発達によって少しずつ普及してくるのではないかと思います。(kon)

画像上:いるか座新星のスペクトル
画像下:1975年のはくちょう座新星のスペクトル