昇交点

五藤テレスコープ的天文夜話

2015年を振り返って

2015-12-29 14:12:52 | うんちく・小ネタ

今日は仕事納めなので、2015年を少し振り返ってみることとします。

一番の話題は10㎝・12.5㎝の屈折望遠鏡を発売したことでしょうか。五藤製としてほぼ30年ぶりの新製品ということになりました。台数限定だったため業界から見ればささやかな話題だったのかも知れませんが大きな反響とご用命をいただきあらためてお礼申し上げます。

眼視用長焦点アポクロマートというコンセプトも、フォトビジュアル光学系が人気の市場で受け入れられるかという不安もありましたが、一定数ながら支持をいただいたようでその点では興味深い結果でした。さらに弊社以外でも眼視を意識した長めの焦点距離を設定した望遠鏡が発売されたので眼視向け屈折がテーマになった年なのかも知れません。

他に感じたこととして、発足して3年を迎えましたがPRがまだまだなのか、五藤テレスコープを未だご存じない方や、五藤は望遠鏡をやっていないと思っている方が少なくないということでした。(当然このブログもご覧いただけていない・・・)その声は星まつりなどのイベントで聞くことになったのですが、いろいろ聞いてみるとインターネットは活用してない、天文誌も最近は読まないという年配の方が多かったです。そのためこれまで発売した製品もご存じなく、知った時には完売で購入できなかった方が相当数いたことです。弊社としてはこの市場に復帰したものですからできる限り知っていただけるように努めたいところですが、なかなか難しいと感じている部分です。ただこうしたことは特効薬があるわけでもなく、来年も地道に取り組んで少しずつでもいいので五藤テレスコープの製品と活動を知っていただくように努めたいと思います。

といったところで今年最後のブログ締めさせていただきます。

それでは良い年をお迎えください。(kon)





画像:GTM100/1000APO と GTL125/1200APO


超新星 SN2015bb

2015-12-07 13:07:03 | 天体観測

五藤光学研究所 嶋 邦博さんがうしかい座方向の銀河NGC5772で4個目の超新星を発見しました。発見は、11月17日未明、五藤光学研究所 八ヶ岳観測所の45cmカセグレン式望遠鏡に0.33倍レデューサーを装着、冷却CCDカメラを使って2億3000万光年かなたの銀河内での星の大爆発をとらえることに成功しました。


最初は超新星候補PSN PSN J14513783+4035514と番号でしたが、東広島天文台かなた望遠鏡で分光観測の結果、Ic型超新星型という報告が上がり、超新星SN2015bbという番号がつきました。
 

嶋さんの超新星発見は、2015年3月、ケフェウス座方向の銀河NGC6951に発見したことに続き4回目となります。新月期中心の限られた時間の中にも関わらず精力的に捜索を続け、2015年は2個の発見となりました。最近は彗星の観測・捜索にも力を入れているとのことです。
 
嶋さん、4個目の発見おめでとうございます。 (kon) 

画像上:発見時の画像(嶋さん提供) 2015年11月16.8167日(世界時) 60秒×22枚と30秒×21枚の合成


GTL125/1200APOについて

2015-12-01 15:09:20 | 12.5cm屈折望遠鏡

五藤テレスコープ望遠鏡第二弾として発売した12.5㎝屈折GTL125/1200APO鏡筒ですが、天文誌の記事や9日の受付開始を受けて多くのお問合せやご用命をいただきありがとうございます。ブログも更新したかったのですが、ファーストロットの組立・検査・出荷に専念していたのでなかなか動けませんでした。一部のお客様には今だお待たせをさせている状況で恐縮ですが、1台ずつ検査・組立をしているのでご理解いただければ幸いです。

GTL125/1200APO鏡筒は前回販売したGTM100/1000APO鏡筒に続き筆者が企画いたしました。このクラスの鏡筒は主流となっているフォトビジュアル対応や海外製のコストパフォーマンスに優れた製品が割拠しており、望遠鏡に再参入したばかりの弊社が同じものを追いかけても少々厳しいと思いました。しかし、第一弾が双眼鏡StarCruise842であったことからも「本当に望遠鏡を出すのか」という声も結構あったので、できるだけ早く望遠鏡を投入してアピールをしないと支持が得られないと考えました。

光学系はGTM100/1000APO同様、GTL125/1200APOも「眼視」にウエイトを置きました。筆者は冷却CCDカメラやデジタル一眼レフで天体撮影はしますし、かつては天文誌にも投稿したりもしました。そういった中で眼が加齢で衰えないうちにどのくらい天体が見えるものかも楽しむようになってきた事が反映されているかも知れません(それによって望遠鏡も増えてしまいましたが・・・)。結局のところ隙間狙いみたいなコンセプトになってしまったかも知れませんが、このような望遠鏡も時にはあって良いのではないかという気持ちがありました。

また、ささやかなところですが、五藤製としては初の対物フード伸縮式を採用しました。対物キャップもGTM100/1000APO同様スナップフィット式で脱着しやすくし、対物レンズ第1面には撥水・防油コートをして清掃にも配慮しました。この辺は地味なところかも知れませんがかゆいところに手が届く部分でしょうか。

光学性能はクラスとしては長めの焦点距離にしことで、2枚玉EDアポとしては最善を尽くしたつもりです。この辺は筆者が語っても何なので本機を手に入れた際はぜひお確かめください。まだ若干の余裕がございますので本機にご興味がございましたらご検討いただければ幸いです。(kon)