昇交点

五藤テレスコープ的天文夜話

マークX物語(5)

2013-03-08 13:33:42 | マークX物語

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第5話 Mark-Xの設計を開始する。

小型望遠鏡委員会はアマチュア天文家が理想とする望遠鏡の姿を求めて、1975年6月にその会議を終了し、製品化の依頼を技術部(開発・設計を担当)に提出します。当時の五藤光学研究所には学校向けの赤道儀として6.5cmと8cm赤道儀が2機種販売されていました。大きさはこの2機種の中間とし、ただし8cmの鏡筒が載せられる強度を確保して欲しい、という要求を出しました。設計は望遠鏡に造詣の深いM氏が担当、驚くほど短期間で仕上がり、試作が開始されたのです。

まず赤道儀を架台、ベースモデル(極軸)、赤緯軸、筒受の4つのパーツに分解しなくてはなりません。分解方法はちょうど工作機械の接合部のように「印籠継ぎ」と呼ばれる接合部分をつくり、ここに4本の六角穴ボルトで接合するという方法がとられました。しかしパーツの分解を重ねるとアルミでできたボルト穴がしばらくすると摩耗してくる恐れが懸念されたのです。この解決策として「ヘリサート」というステンレスのばねでできたメスねじを、アルミ鋳物の中に挿入することになりました。

また、赤道儀としての強度を増すために、ウォームホイルと軸、ハウジングの嵌(は)め合い精度(軸と軸受の直径差)を高め、強度を増す工夫を行いました。さまざまな赤道儀を用意し、同じ長さの鏡筒を装着し、端をばねばかりで引っ張って力を加え、どの程度たわむかを毎日のように試験し、このクラスの赤道儀としては随一の強度があるという自信がついてきました。(Suzu)

添付写真 Mark-X赤道儀のアップ写真


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