昇交点

五藤テレスコープ的天文夜話

マークX物語(1)

2012-12-04 12:49:23 | マークX物語

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私は1970年代の中頃、新しいコンセプトを持った赤道儀、マークXの開発に携わらせていただきました。その思い出などを何回かに亘ってお話をさせていただきます。

第1話 本当は小型望遠鏡から撤退の予定だった。
最近、五藤光学研究所の倉庫の奥から、70年代の小型望遠鏡開発会議録というファイルが出てまいりました。これがマークX赤道儀開発の経緯を記したものなのです。懐かしさでページをめくると、20代の自分に戻った思いがします。
当時わたしは企画部という部署に所属していました。60年代後半から理科教育振興法(理振)という法律によって、国内の学校は理科設備を充実させてゆきましたが、天体望遠鏡もこの法律に基づいた基準があり、いま思うと膨大な数量の望遠鏡が各学校に納入されてゆきました。ところが70年代に入るとそれが充足されて、販売量が少しずつ減少してゆくようになったのです。
企画部長は私に「役員会では小型望遠鏡からの撤退を考えているが、本当に小型望遠鏡の市場に未来はないのか、検討してもらいたい」という指示を出したのです。私は社内横断的なプロジェクトチームを立ち上げ、調査を開始しました。その結果、学校用の望遠鏡は間違いなく減少傾向が続くが、アマチュア天文家用の需要は今後伸びるとの結論に達したのでした。(Suzu) 

画像:五藤式 3吋(75mm)屈折赤道儀


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