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昇交点

五藤テレスコープ的天文夜話

超新星のスペクトルをとらえる

2014-01-24 13:50:51 | 天体観測

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昨日のブログで紹介したM82の超新星は さっそくSN2014Jという番号がつきました。

さて、昨夜は12.5cm屈折望遠鏡に100本/mm回折格子とカラーCCDカメラをつけてこの超新星のスペクトルを撮影してみました。

超新星は発見されるだけでは正式番号はつかず、分光観測の結果がIAU(国際天文学連合)に報告されてはじめて番号がつきます。

しかし超新星は遠方の銀河で発見されることが多いため、その場合光度は16-17等級ととても暗く、ほとんど天文台の大望遠鏡についている分光器によって観測がされることとなり発見はできても分光観測による確認はアマチュアでは手が出せません。

しかし、今回のケースは銀河が約1200万光年と近いため超新星が明るく、アマチュアでも分光観測をすることができます。

今回の超新星は白色矮星の爆発によって生じたⅠa型ということがわかっており、確認観測になりますが、低分解能ながらⅠa型超新星の特徴であるケイ素などの吸収線をいくつか確認することができました。

次回は寿命を迎えた大質量の恒星の超新星爆発(Ⅱ型)も観測できればスペクトルの違いを比べてみたいと思います。しかしそれはいつの話になるのでしょうか?(kon)

画像:SN2014Jのスペクトル観測グラフ


M82銀河に超新星

2014-01-23 11:28:04 | 天体観測

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1月22日 IAU(国際天文学連合)のCBATにおおぐま座のM82銀河に超新星が出現したという情報が掲載されていたので昨夜撮影してみました。

M82銀河は近いこともあって超新星はすでに明るく、撮影でも眼視でも容易にとらえることができそうです。あと分光観測の結果、白色矮星の爆発によるⅠa型と確認されています。

今回の超新星はメシエ天体でも良く知られているのに発見・公表が遅かったように思いますが、まだ増光するようなのでしばらく楽しめそうです。M81銀河とペアで天体撮影でも人気がありますからぜひ観測してみてください。

余談ですが、筆者は元旦にM81と82銀河を撮影していたのですが、20日少々で超新星が出現したということを思うと超新星捜索は「運」も必要なのかなとつくづく思いました。(kon)

画像:M82銀河の超新星(出現前と後)


超新星 SN2013gv

2013-12-09 17:47:25 | 天体観測

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五藤光学研究所 嶋 邦博さんがおひつじ座の銀河IC18902個目の超新星を発見しました。発見は、125日未明に、五藤光学研究所 八ヶ岳観測所の45cmカセグレン式望遠鏡に0.33倍レデューサーを装着、冷却CCDを使って44000万光年かなたの星の大爆発をとらえることに成功しました。

嶋さんのこの発見は、国内アマチュアによる確認観測及び東広島天文台口径1.5mのかなた望遠鏡による分光観測を経て、IAU(国際天文学連合)からSN2013gvの正式番号がつきました。超新星のタイプは分光観測によって白色矮星の爆発によるⅠa型と確認されています。

嶋さんの超新星発見は、昨年10月、ふたご座の銀河NGC2370に発見したことに続き2回目となりますが、前回の発見は認定されたものの、分光観測の連絡体制の事情から番号がつかずに終わってしまっていましたので、正式番号がついた初めての超新星になりました。

実は、今回の超新星発見に用いられたのは筆者の冷却CCDカメラでした。サッカーで言えば嶋さんのゴールを筆者がアシストした?ような気持ちでとても嬉しいです。しかし、このようなことに遭遇すると今度は自分も超新星捜索に挑戦したくなりますね。

嶋さん、発見おめでとうございます。(kon)

画像上:発見した時の観測画像
画像中:2日後の観測画像(超新星が少し明るくなっています)
嶋 邦博氏撮影
画像下:筆者が12月10日に撮像・処理した画像(16cmアストロカメラと冷却CCD)


今度は「水星」(水星食)

2013-12-02 19:39:10 | 天体観測

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最近は何かと「彗星」の方に注目が行ってましたが、今朝は「水星」が月に隠される水星食がありました。

しかし、新月前日のとても細い月と高度が低いという厳しい条件のため、自宅から出現だけを狙いました。6時30分ごろ、だいぶ空は明るくなってましたが、月の夜の部分から水星が出現する様子をとらえることができました。

他の惑星と違ってなかなか観測しにくい水星でしかも食というのは珍しかったと思います。ちなみに12月2日という日は奇しくも1989年の同じ日に金星食があったことを思い出した人もいるかも知れませんね。(kon)

画像:出現後の様子
7.7cm屈折望遠鏡+デジタル一眼レフカメラで撮影


アイソン彗星(11月29日)

2013-11-29 17:04:47 | 天体観測

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すでにニュースやネットの記事などでご存じとは思いますがアイソン彗星は近日点通過時に実質的に崩壊したという見解です。

筆者は太陽観測衛星SOHOのサイトや研究者のツイッターなどを見ながらその様子に注目していましたが、急速に彗星が衰えていく姿は驚きと共に以前から消滅の可能性を予見している研究者の方もいたので、その予測の方が当たったに過ぎないのかも知れません。それにしても、太陽観測衛星の画像を通じて彗星観測ができるのはありがたいことだと思いました。

又、これまで大彗星になると予測されながら結果が大きく外れた彗星は少なくなく、今回のアイソン彗星も同様の結果なったことから、天文業界における彗星に関する啓発活動やビジネスにも教訓を残したのではないかと思います。

アイソン彗星では多くの方が(私もですが)一喜一憂したと思いますが、なぜアイソン彗星が今回のような結末を迎えたか科学的視点でぜひ知っておきたいと思います。(kon)

画像:アイソン彗星がいる領域を撮影したもの(見えてませんが記録のため撮影)