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昇交点

五藤テレスコープ的天文夜話

アイソン彗星観測ひとまず小休止

2013-11-26 13:23:46 | 天体観測

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アイソン彗星ですが、近日点通過前に観測可能な最終日と思われる24日(日)に観測したところ、残念ながら双眼鏡とスポッティングスコープでは見えなかったものの、一眼デジカメで撮影してみると核だけは写っている様子だけは何とか確認できました。前日23日(土)までは低空ながら明るく見えていたことからこんなので果たして大丈夫なのか?という心配があるようですがここまで来たら見守るしかありません。この後ですが、29日(金)白昼でアイソン彗星が観測できるかは太陽に気を付けてチャレンジするつもりです。(kon)

画像:16日から24日までのアイソン彗星の様子
    7.7cm屈折望遠鏡+デジタル一眼レフで撮影
 


明るくなってきた

2013-11-21 09:39:24 | 天体観測

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東京はずっと晴れているいるので、晴れていれば4時30分に起きてアイソン彗星を追いかけています。月はあるものの透明度が良好なのでその点は助かっています。

さて、今朝のアイソン彗星ですが、先日発生した太陽フレアの影響が出てきたのか昨日よりも明るくなっていました。高度は下がる一方ですが昨日よりも核がしっかり見えていて双眼鏡で見つけるのは楽でした。彗星の画像は弊社ホームページのギャラリー「彗星」のところにもUPしています。何分都市部での撮影なので写りはそれなりですがその点はご了承ください。(kon)

画像:今朝(11月21日)のアイソン彗星
77mm屈折望遠鏡(レデューサー併用 f=390mm F5.1)+一眼デジカメで撮影


アイソン彗星とラブジョイ彗星の分光観測

2013-11-19 17:12:33 | 天体観測

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アイソン彗星はここに来て増光していますが、残念ながら月明かりがあり、少々観測しにくい日が続きます。そこで今朝は切り口を変えて彗星の分光観測をしてみました。

まずラブジョイ彗星のスペクトルを撮影してみましたが、見てみるとダストが太陽光を反射しているせいでしょうか。目立った輝線スペクトルや吸収線はなく連続スペクトルになっています。

対してアイソン彗星は対照的に輝線スペクトルが目立っています。グラフを見ると4つの大小のピークがありますが、4700Å付近(C2分子)  5100Å付近(C2分子) 5500Å付近(C2分子) 6000Å付近(C2分子・NH2分子)の輝線スペクトルが確認できます。彗星核の色が青緑色っぽいのは輝線スペクトルによるものです。

眼視や写真だと同じように見える彗星でも分光観測をすることによって違いが出るのはとても興味深いです。彗星はダストとガスの尾がありますが、彗星の状態や地球に対してどんな向きになっているかなどの要因をいろいろと考察するのも彗星観測の楽しみの一つかも知れません。(kon)

画像上:ラブジョイ彗星のスペクトル
画像下:アイソン彗星のスペクトル

いずれも11月19日撮影
口径60mm屈折望遠鏡と100本/mmの回折格子を使用


11月16日のラブジョイとアイソン彗星

2013-11-16 11:49:05 | 天体観測

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おとといあたりからアイソン彗星が増光してきたという情報が入ってきました。今週は双眼鏡StarCruise842の検査・出荷作業と出張が重なりなかなか時間がとれなかったのですが、土曜の深夜、オフィスに観測機材を持ち込んで明け方の彗星を狙いました。

最初は月明かりが残ってましたがラブジョイ彗星を撮影してみました。空の明るい都市部でも核が明るくアイソン彗星の明るさが伸びない時に注目されたもの頷けます。

そして月が沈むころに望遠鏡をアイソン彗星に向けました。撮影画像を見てみると明るさもさることながら尾がしっかり写っているではありませんか。写り具合が確認できたらひたすら撮影してコマ数を稼ぎます。画像は1分露出の画像を27枚コンポジットしてみましたが、街明かりの影響を考えるとまずまずの写りかと思いました。前日の雨の影響か夜露に悩まされましたが透明度が良かったのが幸いしました。

これから月明かりの影響を受けてしまうのが少々残念ではありますが、アイソン彗星の動向はますます目が離せなくなってきました。時間的にはつらいですができる限り追いかけてみようと思います。(kon)

画像上:ラブジョイ彗星 (1分露出×8コマ)
画像下:アイソン彗星  (1分露出×27コマ)

77mm屈折望遠鏡(レデューサー併用 f=390mm F5.1)+一眼デジカメで撮影


ディープフィールド

2013-10-28 09:56:21 | 天体観測

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ハッブル宇宙望遠鏡やすばる望遠鏡といった高性能望遠鏡は100億光年以上かなたの天体をとらえてさまざまな観測成果を発表していますが、私たちアマチュアが使える望遠鏡ではどれくらいまで遠くの天体をとらえることができるのでしょうか。

先日ですが、アイソン彗星の撮影をする前に2つほどとても遠い天体を撮影してみました。

最初の画像は普通の恒星に見えますが、これはさんかく座のあるクエーサー3C48で、明るさは16等星。この天体は秒速10万キロのスピードで地球から遠ざかっていて、ハッブルの法則を使って距離を求めると何と44億光年かなたにあります。CCDのセンサーがとらえられたクエーサーの光は地球が誕生して間もないころのものです。

今度はおおぐま座の方を見てみましょう。銀河のそばに16等星の2つの恒星が並んでいるように見えるところがありますが、実は遠方のクエーサーが手前の銀河による重力レンズ効果で2つに分かれた姿です。この天体はツインクエーサーと呼ばれ、重力レンズによって天体像が影響を受けたことを初めて確認した天体でもあります。重力レンズによって拡大されたり、ゆがんだ銀河の画像はハッブル宇宙望遠鏡で撮影されたものはおなじみですが、筆者が持っている機材でもはっきり写ったことには驚きました。

さらにびっくりしたのはクエーサーの距離で、秒速21万キロのスピードで地球から遠ざかっていて、その距離を求めると何と93億光年かなたにあります。さっきの3C48の倍以上も遠くにあるということになります。ここまで来ると100億光年までもう一息です。

この画像を見ると、アマチュアでも宇宙への扉は開かれているのだなとつくづく感じました。(kon)

画像上:さんかく座のクエーサー3C48
画像下:おおぐま座のツインクエーサーQ0957+561
いずれも 口径16cmアストロカメラ+冷却CCDで撮影・処理