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昇交点

五藤テレスコープ的天文夜話

中秋の名月とスーパームーン

2015-09-29 07:23:06 | 天体観測

27日(日)が中秋の名月、28日(月)がスーパームーンと月づくしの2日間でした。

中秋の名月は自宅からですが、雲量が多めながらもなんとか名月を見ることができました。
昨夜のスーパームーンはちょうど光学系と鏡筒部が組み上がったGTL125/1200APO試作機をマークX赤道儀の載せて1日遅いお月見をすることにしました。マークX赤道儀には少々きついと思ったのですが、バランスウエイト2個でバランスがとれ、風が強くなければ観望なら楽しめるのではないかと思いました。

高度が低いために大気のゆらぎの影響を受けますが、低倍率で月全体を見るとスッキリかつきれいに見えています。満月なのでのっぺりしていますから、お月見は低倍率がいいですね。

月以外はこと座のベガとこと座εにも鏡筒を向け、高倍率で星像テストもおこないました。光学系のベンチテストはやっているもののやっぱり実際に天体を見て確認できるに越したことはありません。

夏あたりから天候が良くない日が多く、今回の2日にわたるお月見もどうなのかなと思いましたが久々に楽しめました。これから秋晴れが増えることに期待したいところです。(kon)

画像上:中秋の名月 77mm屈折+一眼デジカメ
画像中:スーパームーンとGTL125/1200APO
画像下:スーパームーン GTL125/1200APO+コンパクトデジカメによる手持ちコリメート撮影

 


国際宇宙ステーション

2015-08-03 10:04:13 | 天体観測

宇宙飛行士の油井亀美也さんが滞在している国際宇宙ステーションですが、7月31日20時35分ごろ上空を通過する予報が出ていたので、天体望遠鏡にデジタル一眼レフをつけて撮影してみました。

何分移動が速いので、追尾は赤道儀のクランプをゆるめ、望遠鏡のファインダーで宇宙ステーションを追いかけながら十字線の真ん中付近に来たらひたすら連射するという撮り方をしています。

撮影後に再生をすると小さいながらも画像のように、両端の太陽電池パネルや実験室きぼうをはじめとした各モジュールがしっかり確認できました。

油井さんの宇宙ステーションでの活動はまだはじまったばかりなので、また条件が良かったらいろいろ撮ってみようと思います。(kon)


明け方のいて座に注目(いて座新星)

2015-04-05 06:59:07 | 天体観測

4日の皆既月食は曇られてしまったのでインターネットの中継を見て終わってしまいました。皆既月食のような大きな天文イベントが観測できないことは残念ですし、今年はあまりそういったイベントがない年と言われていたのですが、明け方に登ってくるいて座に注目です。

 

3月15日にさかのぼりますが、いて座で新星が発見されました。この新星は結構明るく、4等台まで明るくなった後、一時5等台後半まで暗くなったかと思えばまた4等台に戻るといった光度変化が観測されています。位置も南斗六星のそばなので双眼鏡があれば見つけやすいでしょう。こうした明るい新星は2013年のいるか座新星以来で明るさの変化、新星の色の変化、スペクトル観測などいろいろ楽しめそうな感じです。

 

新年度がはじまって忙しいとは思いますが、暗くならないうちに1回はいて座新星を見つけてみてください。(kon)

 

画像上:4月2日に撮影した画像

画像下:3月31日に撮影したいて座新星のスペクトル(水素のHα線、Hβ線の輝線スペクトルが確認できます)


はじめてシリウスの伴星を見る

2015-03-31 14:19:31 | 天体観測

星座を構成する星の中で一番明るいおおいぬ座のシリウスにはお供の星がすぐそばで輝いています。お供の星は伴星といいますが、この星は寿命を迎えた恒星が物質を放出しきって燃えカスになってしまった白色矮星という天体です。もとはシリウスを動きを詳しく観測していたら、そばにとても重いけど見えない天体があって、共通重心で互いに回りあっていることがわかりその存在が予言されていました。そして、1861年に望遠鏡職人のオルヴァン・クラークが研磨した口径47㎝の屈折望遠鏡で発見に成功することとなります。

 

この伴星ですが8.4等と暗く、しかもシリウスがとても明るいこともあってこれを見るというのはかなり難易度が高い状況です。そのため大口径の望遠鏡を持っている方や二重星を観測する愛好家にとってチャレンジのしがいがある天体と言えるでしょう。

 

筆者も機会があれば、一度は見てみたいと思っていたのですが、そのチャンスは先週の土曜日にやってきました。先週末から天候が春めいてきたことから大気の気流(シーイング)が安定する日が増えてきました。シリウスが見える頃ほぼ南の空になり伴星を観測するには良い条件です。口径15㎝マクストフニュートン式という望遠鏡に360倍の倍率をかけてシリウスを見ると大気の揺らぎのせいでピタリとは止まりませんが、回折現象によっておきるリングがシリウスをいくつも取り巻いている様子が確認できます。そのリングが見えなくなる先には淡いながら何かポツンと見えてていることに気がつきました。大気の揺らぎが一瞬落ち着くとそのポツンはまちがいなく星であるとわかるようになります。こうしてはじめてシリウスの伴星を見ることに成功しました。

 

もともと難物というイメージが頭の中では先行していたのですが、50年周期で回っている伴星の位置はシリウスから離れつつあり最近は見やすくなっているというわけです。(離れている角度は10秒ほどで、木星の見かけの大きさの1/4程度。)

 

冬の星座たちも西に沈みつつあるので、シリウスの伴星を見るチャンスは少ないかも知れませんが、口径10cm以上の望遠鏡をお持ちの方はチャレンジしてみてはいかがでしょうか。(kon)

 

画像は15㎝のマクストフニュートンにPCカメラをつけて2分間ムービー撮影した画像の中から1000フレームを合成して処理したものです。画像でも伴星がしっかり確認できます。(画像は上が北です。)

 

 


超新星 SN2015G

2015-03-29 10:46:38 | 天体観測

五藤光学研究所 嶋 邦博さんがケフェウス座の銀河NGC6951で3個目の超新星を発見しました。発見は、3月24日未明に、五藤光学研究所 八ヶ岳観測所の45cmカセグレン式望遠鏡に0.33倍レデューサーを装着、冷却CCDカメラを使って約7900万光年かなたの星の大爆発をとらえることに成功しました。

 

最初は超新星候補PSN J20372558+6607115と番号でしたが、海外の研究機関で分光観測され、水素やヘリウムの層が失われた大質量星が爆発するIbn型という報告が上がり、超新星SN2015Gという番号がつきました。

 

嶋さんの超新星発見は、2013年12月、おひつじ座の銀河IC1890に発見したことに続き3回目となります。新月期中心の限られた時間の中にも関わらず精力的に捜索を続ける中での快挙となりました。

 

嶋さん、3個目の発見おめでとうございます。 (kon)

 

画像上:発見時の画像(嶋さん提供) 2015年3月24日 4時00分から 30秒×13枚と120秒×3枚の合成
画像下:筆者が撮影した画像 2015年3月26日 2時56分から 16cmアストロカメラ 120秒×24枚の合成