ごとりん・るーむ映画ぶろぐ

 現在584本の映画のあくまで個人的な感想をアップさせていただいています。ラブコメ、ホラー、歴史映画が好きです【^_^】

ペイチェック 消された記憶(ジョン・ウー監督)

2007-12-31 | Weblog
ストーリー;『ブレードランナー』で有名なフィリップ・K・ディック原作の映画化。既成の新商品のノウハウや技術を盗み出し、その改良した技術を別の企業に売却するいわゆる「リバースエンジニア」。彼はその研究結果を脳内から消去する契約を結ぶことでビジネスを成立させていた。通常2~3週間が限度で新記録が8週間といわれているこの記憶消去に約9000万ドル(90億円)の報酬を対価とした新ビジネスの話がもちこまれる。しかし彼が3年後に受け取ったのは紙封筒に入った20個の「私物」と報酬を拒否する自らのサインだった‥
出演 ;ベン・アフレック 、アーロン・エッカート、ユマ・サーマン
コメント ;かなりヒチコックを意識した映画であり、さらに過去のジョン・ウーの作品へのオマージュもちりばめられている。定番の「ハト」は思わぬ場面で思わぬ形で登場するが、ヒチコックのケーリー・グラントを意識したベン・アフレックや、「北北西に進路をとれ」を思わせる演出。さらに小道具に細密な「仕掛け」を施すあたりが面白い。一種の未来映画ではあるが、三次元スクリーンなど実際に10年後にはそれに近いものが商品化されることも予想されるし、2010年ぐらいの設定とおもえばさして現在と違和感はない。タバコにもちゃんと「無煙」商品があり、スプリンクラーや音声認識装置、そしてアナログな水晶玉なども技巧的に使われている。バイクのシーンは「ミッション・インポッシブル2」のチェースシーンよりも迫真性があるがやや「マトリックス2」に近いシーンなのが残念。ただし、現実的な撮影ではある。さらに「フェイス・オフ」を思わせる「顔」をめぐるしーンもあると同時に、「無実なのに濡れ衣をきせられた男」というヒチコックの設定がうまくいきている。ただし「階段」を想起させるシーンがなく、それも残念。ベン・アフレックの「パール・ハーバー」や「グッド・ウィル・ハンティング」の演技にはややウンザリしていたがこの映画ではなかなかのもの。ユマ・サーマンも「キル・ビル」のパロディをやってくれている。
 一種の問題解決能力が試されている映画でもあるが、エンターテイメントとしては非常に面白く冒頭に昔ジョン・ウーが作成した空港のコマーシャルを連想させてくれる場面もある。「男たちの逸歌」からのファンにはたまらないだろう。人間の記憶を人工的に消去するというのはそれほど非現実的な話ともおもえない。前頭葉が感情をつかさどり、海馬が短期記憶、側頭葉が長期記憶となり、映画には神経細胞を思わせるシーンがあり、それをレーザーで破壊していく場面が印象的。もっともパソコンを人間の頭脳はスキャニングされているがこれはとてつもなく遠い未来の話ではあろう。ただ、分析できるということは応用できるということでもあり、フィリップ・ディックの原作はすでにそれを見抜いていた。映画の中でさりげなくアインシュタインの肖像画が置いてあったりする遊び心もまた楽しい。小道具係の苦労がしのばれる。


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