ごとりん・るーむ映画ぶろぐ

 現在584本の映画のあくまで個人的な感想をアップさせていただいています。ラブコメ、ホラー、歴史映画が好きです【^_^】

レイジングブル(マーチン・スコセッシ監督)

2007-12-31 | Weblog
ストーリー;プロボクシング元ミドル級のチャンピオンジェイク・レモッタの栄光と破滅を描く白黒映画。ロバート・デ・ニーロはこの映画でアカデミー主演男優賞を受賞。
出演;ロバート・デ・ニーロ、キャシー・モリアーティ、ジョー・ペシ
コメント;1940年代のタイトル戦から始まり、それを1960年代に回想するという形態をとる。これは実は「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」にもやや通じる。もちろんワンスは1960年代に1930年代以前のおとを取り扱う映画ではあったが。栄光から挫折へというテーマはマーチン・スコセッシの「カジノ」にも通じるし、あるいは「最後の誘惑」にも通じるのかもしれない。キャシー・モリアーティは一応20代という設定だったが、現在46歳前後の「カジノ」に出ていた女優とそれほどかわらない老け顔だったりする。ただし画面にでてくる存在感は圧巻ではある。白黒映画であるがときに愛が過剰となるゆえに周囲の人間からにくまれる姿、そしてまたエンターテイメントに走ってからの落ちぶれていく様子は、周囲の人間への愛情がかえって疎まれていく様子をしみじみ描き出している。とはいえ主人公がブロンクスのスラム街から這い上がろうがどうしようが、最終的には他人への気持ちを洞察する能力にかけていたことと類まれなボクシングの才能。そしてそこにつけこむ八百長といった種々の事件が彼をむしばんでいく。ヤクシャ魂としてのデニーロは25キロの体重を増減して白黒の映画に耐えた。ジョー・ペシとデニーロはいくつかの映画で共演しちえるがこの映画では兄弟という設定だ。

 でもなあ。こういう実話描かれても結局、デニーロの演技を楽しむだけの映画という感想を抱かざるを得ない。なぜだろう。このマーチン・スコセッシの映像美学の感性のなさというのは‥。しかし最初から最後まで見せてくれる映画ではある。見てつまらないということはないし、微妙な演出加減がまた天才と天才のコンビネーションともいえる。撮影も演出もハイレベルだし、1980年代の映画というのはおそらく過去への回帰する部分が多かったのかもしれない。冒頭のスローモーションでリング上で動き回るデニーロの快適な動きは、他の映画ではなかなか味わえない緩慢なリズムでえおれが個人的にはたまらない快感にもつながる。

 女性を愛するあまりに女性を縛りたくなる‥。愛というのは不思議なものだ。


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