ごとりん・るーむ映画ぶろぐ

 現在584本の映画のあくまで個人的な感想をアップさせていただいています。ラブコメ、ホラー、歴史映画が好きです【^_^】

アバウト・シュミット(アレクサンダー・ペイン監督)

2007-12-31 | Weblog
ストーリー;66歳でアメリカ、オマハの生命保険会社ウッドメン(実在の生命保険会社)を5時きっかりに退職したウォーレン・シュミット。勤続32年を5時きっかりに終了したがその直後妻のヘレンが急死。次第にウォーレン・シュミットは自制力を失っていくが‥。映画の中でアカデミー賞俳優のキャシー・ベイツがヌードを披露‥いや‥別に‥
出演;ジャック・ニコルソン 、キャシー・ベイツ、ホープ・デイビス
コメント;オマハに実際に存在するというウッドメンタワーの威容ぶりにまず度肝をぬかれる。そして意図的なのだろうが、アメリカ映画の常識を覆し、空の色はほとんど薄暗い。画像は当初はブルーを基調に綺麗に演出されていくが、シュミットが自制心を失っていくあたりから色がだんだんカラフルとなり、そして花嫁の白色のウェディングが最後の一つの山となる。シュミットはカンザス大学では男子学生寮に入り、将来は「フォーチュン500」にはいることを夢見て経営学と統計学の学士を取得。ウッドメン生命保険ではリスク評価を中心にアクチュアリーをして部長代理というやや「中途半端」なポジションで定年を迎える。後任はまだ30代か40代前半の人間だが、「起業をあきらめて大企業に入りそしtまた若い世代に仕事を奪われていく」といった焦燥感をジャック・ニコルソンが見事に演出。シーンによって微妙に変わる髪形に衣装やヘアー・デザイナーの苦労がしのばれる。
 「満足のいく働きをしたか」
 「誰かの役に立てたのか」
 「所詮、自分は敗残者だ‥」
 「男として標準以下だ」
 「I will die ,maybe」
 オマハからコロラド州デンバーまでキャンピングカーを走らせるが、実はこれたいした距離じゃなかったりする。「road」(田舎道)という名前にふさわしいだだ広い殺伐とした風景の中をキャンピングカーは走り続けるが、無力感や虚無感がほとんどすべてのシーンを貫いているが、もちろん伏線となるラストはある。リスク評価ができる彼は残りの人生9年間を行きぬける確率を73パーセントと見積もり「Life is short」とつぶやく‥。
 残された時間を精一杯生きるだけだ、と理屈ではわかっていても、何をすべきかが実はつかめない。そしてつかんだと思っても、他人の奥さんにいきなりキスをするなど掟破りなことだらけ。次々に展開するシナリオの見事さと音楽の見事さ。そして「自分が存在したことを知っている人がいなくなれば自分などはいなかったも同然」といった台詞をたくみに演技する役者陣のすばらしさ。やや説教くさい映画ではあるがなんとキャシー・ベイツが全裸になるシーンもあったりして‥。掟破り連続の地味な、しかしコメディあり涙ありのすばらしい映画だ。
(フンメル人形)
 水運びをする人形という意味らしい。マリア・イノセンツィア・フンメルが描いたスケッチを基に作られた人形で、「水運び」がフンメル。だいたい100種類ぐらいあるらしいが、全部セラミック製。途中で見事な映像でこれが車体から振り落とされていく。
(バッファロー・ビル)
バッファロー・ビルことウィリアム・フレデリック・コーディ大佐は、本物のインディアンなどを加えて西部の戦いや馬の曲乗りなどを見せるワイルド・ウェスト・ショーを1890年代から行っていた。1910年に死亡。こうした西部開拓時代へのフロンティア精神への羨望がこの映画には散見されるが、主人公はベンチャーをあきらめた人間。自分の34年間のサラリーマン生活にはこの西部開拓精神がなかったことを恥じていたのかもしれない。西部劇では確かに妻が死んだ後「Will you forgive me?」といって泣く男というのは想像はできなかっただろう。だが、こうした涙を世界中に見せることができるのは現代に産まれた幸せかもしれない。

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