ごとりん・るーむ映画ぶろぐ

 現在584本の映画のあくまで個人的な感想をアップさせていただいています。ラブコメ、ホラー、歴史映画が好きです【^_^】

美しい夜、残酷な朝(パク・チャヌク/三池崇史/フルーツ・チャン監督)

2008-01-13 | Weblog
ストーリー;第1話「カット」人気映画監督はピアニストの妻と大豪邸をもちしかも人格的な面でも優れていた。それをうらやんだある男はある企てを試みる…
第2話「箱」美人女流作家とその担当編集者。北国の雪の降る中で作家はある男を捜す夢をみる。ただその夢がいつかは覚めるときがきて…。
第3話「餃子」夫が浮気をくりかえす大金持ちの妻。若返りにきくという餃子を食べに来て、そしてある日、その餃子の「具」について真実を知る…。
出演;イ・ビョンホン、長谷川京子、バイ・リン
コメント;韓国・日本・香港の3人の監督による短編映画のコラボレーション。「恐怖」を扱う映画だが、アジアのコラボらしく特撮シーンなどにはあまり頼らない画面構成。イ・ビョンホンはこの映画にはノー・ギャラで出演したらしいが、パク・チャヌクの映画はあまりにもどぎつい演出で観客動員には結びつきにくい面もあるため、いわゆる娯楽大作などでは韓国映画史上最高といわれるほどのギャラを手にしつつ、こうした実験映画への出演も自分の出演作品に加えていこうという意気込みはなかなか真似できない。ただ3つの作品を並列してみていくと三池崇史監督の力量がやはり群を抜いているように思う。「夢」と「現実」の単純な二元構造を扱っているかのようにみせて、実は三次元の世界だった…という落ちをわずかワンカットでみせて、さらに現実の世界での厳しい場面にかえて雪の降り積もる中、スコップを投げ出すワンシーンですべてを観客に悟らせてしまうという技術。またどうみても映画の大画面には耐え難いと思われる長谷川京子が妙に美しく画面に映し出される。テレビの演技よりもこの映画の演技のほうがおそらく100倍は輝いているのではなかろうか。「餃子」の撮影監督はクリストファー・ドイル。脚本も映画もいまひとつだが撮影だけは素晴らしいという映画を完成させている。
 アジアの映画コラボの中ではやはり女優の力量がハリウッドやフランス映画の女優をはるかに凌駕するように思える。カン・ヘジュンにせよ長谷川京子にせよ、恐怖を扱う映画でありながら品位が常に画面に照りだされれているのが凄い。すべてを見せるのではなくすべてを隠すことで物語が紡がれ、そして画面は静かに固定されつつ、何かが別に進行していることを2時間10分の間に観客は感じ取る。3つの恐怖が3つの娯楽となり、そしてまたアジアの映画の新たな可能性を感じる。

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