ごとりん・るーむ映画ぶろぐ

 現在584本の映画のあくまで個人的な感想をアップさせていただいています。ラブコメ、ホラー、歴史映画が好きです【^_^】

クライモリ(ロブ・シュミット監督)

2008-01-06 | Weblog
ストーリー; 国道で就職面接のために急いでいた医学生(おそらくはウェスト・ヴァージニア州立大学医学部の学生)は、化学薬品が路面にこぼれるという事故から、田舎道を経由して国道33号を通ろうとする。しかし、ガソリンスタンドから先に有刺鉄線を利用したいたずらや動物の死骸が散乱しはじめて…。現代は「wrong turn」。道を引き返したのが間違いだったということかな…。
出演 ;エリザ・デュシュク、エマヌエル・シェーキー 、リンディ・ブース
コメント;特殊メイクのプロとして有名なスタン・ウィンストンが参加。ゴシックな怪物は3人いるのだが、どうやらそのうちの一人は女性という設定のようだ。タイトルでその化け物の素性は既に明らかにするあたりも確信犯的ともいえる「王道」。「13日の金曜日」シリーズのように有名な化け物ではないだけにやむをえない。「2」はおそらくできないだろう。「森林」については英米では魔女だの怪物だのといった話が割りと残っているが、これは一種の自然保護思想の表れかもしれないとも思った。怖いものがいる森には近づかない。人間が近づかなければそれなりに森林はよい状態となる。キノコや焚き火などで資源が浪費されるのを本能的に防止しようとしたのかもしれないし。
 舞台となったウェスト・ヴァージニア州はアメリカ南部の中でも一番「北のはずれ」といった感じの州だが、人口は約180万人程度。ということは東京都の5分の1の人口ということになる。国道はやはりトラックなどは走っているようだが、過疎地という雰囲気が映画全体に漂う。しかも面積の7割以上が森林という状態なのでホラーの場所としては適切。しかも都会との距離もまた「ホドホド」なので、ロケーションは結構いいのではなかろうか。この州の歴史は相当に古く、アメリカ合衆国が建国された1788年当時には、ジョージ・ワシントンの指揮のもとに独立の指導的立場となる。「ヴァージニア州」という州があったのだが、この州は南北戦争当時に南部に帰属。ただし山岳部では当然奴隷所有率が低いため「ウェスト・ヴァージニア州」としてアメリカ合衆国に残るがそれが始まりとされる。ワシントンDCまで車でいける距離だ。
 映画の中で「南部は…」という台詞が結構出てくるが実際に地図で見る限り地理的に「イージーライダー」のような南部ということではなくて、おそらくはアメリカの南北戦争の歴史をふまえて「南部は…」といっているのではなかろうか。で、内容は典型的なアメリカン・ゴシック・ホラーで、ストーリーもこれまでのハリウッドホラーの王道を突っ走る。「恐怖の岬」を意識した車の下にはりつくシーンやエド・ゲインを意識した「冷蔵庫」や人間を加工した生活用品など伝統的な作法をしっかりふまえた映画構成。若手俳優もまた役どころをふまえた律儀な演技で、メイクはやや手抜きのようだがこれもまた「予算の制約」ということか。森林というとどうしても「ブレアウィッチ・プロジェクト」を思い出すが、森林の中にある廃屋というのは「ブレア…」のラスト・シーンを想起させる。スティーブン・キングがなぜかこの映画を絶賛しているというのだが、チンパンジーにも似たこのバケモノは森の「賢者」のような存在ともいえる。木を伝い、とてつもない力を発揮するのだが、必ずしも憎める存在ではないところにスティーブン・キングは評価を下したのか。あるいは他のホラー映画がこの映画にも劣る出来栄えだったということかもしれないが「ジュオン」はいくらなんでもこの映画よりは良かったとは思うぞ。

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