ごとりん・るーむ映画ぶろぐ

 現在584本の映画のあくまで個人的な感想をアップさせていただいています。ラブコメ、ホラー、歴史映画が好きです【^_^】

コールドマウンテン(アンソニー・ミンゲラ監督)

2007-12-29 | Weblog
ストーリー ;南北戦争末期にノースカロライナのチェロキー族が呼称する「コールドマウンテン」から徴収された舞台が集う基地。北軍と南軍の肉弾戦となり、バージニア州は血の嵐となる中、主人公が持つ本の中から一枚の写真が火に燃えようとする‥
出演 ;ジュード・ロウ、レニー・ゼルウィガー、 アイリーン・アトキンス
コメント;すごい役者の顔ぶれだ。主役のジュード・ロウはイギリス、アメリカで大活躍の実力派。さらにベテラン中のベテラン、アイリーン・アトキンス、キャシー・ベイカー、ドナルド・サザーランド、そして「レオン」のナタリー・ポートマンにフィリップ・シーモア・ホフマンが奴隷の黒人女性を妊娠させて殺害しようとした「牧師」を演じている。老人役が充実している映画は文句なしに名作の必要条件だと思う。
 物語は「イングリッシュ・ペイシャント」の続編としてみることもできるだろう。「イングリッシュ・ペイシャント」では洞窟で倒れている恋人を助けにいこうとしてかなわなかったハンガリー貴族のイギリス人をレイフ・ファインズが演じていたが、この映画では戦争中のバージニアからノースカロライナまで歩いて帰ろうとする無口な農夫をジュード・ロウが演じている。ホメロスの「オヂュッセイア」を彷彿とさせるというむきもあるが、愛する人間のもとへ帰りたいというのは人間の深層心理に横たわる本能のようなものかもしれない。南軍、北軍の軍人の狼藉ぶりの描き方も見事だ。おそらくこれに類する非戦闘地域での「義勇軍」のような存在は世界中のどこにでもあるのだろう。脱走兵を許容していると戦争そのものが成立しないからだ。そして脱走兵をかくまう人々も当然この世には多数存在する。どちらも人間の業の深い部分ではある。こうした話が堂々と映画でできるというのもアメリカと日本の社会構造の違いを感じずにはいられない。当時には「輪廻」という発想はおそらくなかったはずだが山奥の老婆(アイリーン・アトキンス)がしみじみとそれに近いことを語る。「帰りたい、あなたがいるから」「還りたい、魂のいるべき場所へ」などというセリフは無茶苦茶恥ずかしい言葉ではあるが、こうした一流の役者陣営はそうした陳腐なセリフを哲学的なきわみにまでひきあげる力をもっている。

 レニー・ゼルウィガーはこの映画でアカデミー助演女優賞を獲得。「ブリジッド・ジョーンズの日記」はイギリス映画だが、テキサス出身の彼女はアクセントそのほかをすべてマスターしてから撮影にのぞんだらしい。この映画ではこれまでの「ブリジッド‥」「ナース・ベティ」「恋は邪魔者」などと異なり一番演じやすい役だったのかもしれない。顔はあまりきれいな女優ではないが、とにかく性格の良さがにじみ出ている役者でかなり私は大好き。あまりの仕事のオファーに一年間休養するそうだが、そうした仕事ぶりもすごく好きな役者である。現在イギリスのロックバンドのボーカルとの恋話がもちあがっているそうな。日本では「ブリジッド・ジョーンズの日記2」が公開され、コリン・ファース、ヒュー・グラントとまた共演するらしい。公開されたら劇場まで見に行こうかと考えているところだ。

 しみじみした余韻を思わせる映画で、さかしらなイデオロギー的なものも少ない。人間の絶望的なまでのおろかさを過酷に描くアンソニー・ミンゲラ監督だが、その彼方にいつもなにかしらの希望がみえる。

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