ごとりん・るーむ映画ぶろぐ

 現在584本の映画のあくまで個人的な感想をアップさせていただいています。ラブコメ、ホラー、歴史映画が好きです【^_^】

オペレーション・ワルキューレ(ヨ・バイアー監督)

2008-01-05 | Weblog
ストーリー;1943年第三帝国の戦況はかなり悪化しており、スターリングラードでもドイツは大きな損失を出した。しかし総統には負け戦の情報は知らされず、勝手な作戦のみが下される状況だった。シュタウンベルグ大佐はチュニジアで移動中に航空機から爆撃され、右手と左目を失う。そしてベルリンに戻ってみると、本土ですら空襲警報が何度も鳴り響き、ポーランド戦線では村人全員が虐殺されるなど悲惨な「神聖帝国」の戦況だった…。そして同志がつのられ、1944年7月20日。ヒトラーが居住している「狼の巣」にシュタウンベルグ大佐は会議のため赴くことになった…。
出演;セバスチャン・コッホ、レモ・ジローネ、ハーディ・クリューガー
コメント;ヒトラー暗殺を取り扱った映画には「マンハント」というかなり昔のフリッツ・ラングの「名作」(?)がある。このテーマはかなり面白いのだが、もちろん歴史の結果はすでに知られているのでプロセスでみせてもらうより他はない。東部戦線(ロシア、ポーランド)と西部戦線(チュニジア方面)のどちらも映画で紹介されるが少ない予算の中でここまで歴史的に大きなテーマに取り組むのもドイツ人的な几帳面な映画だと思う。独裁国家でものをいうことがいかに難しいかを証明してくれている映画だが、その圧迫感が見事に表現されている。歴史的題材を扱う映画はやはりどれだけ小作品でもそれなりに後世に残る何かがあるのではなかろうか。自決に失敗した将校などその間の悪さはなんとなく実話に基づいていそうな気がしないでもない。なおスターリングラードの興亡については、ロシア側からみた映画で、ジュード・ロウが出演している「スターリングラード」がある。この映画で知ったのだがヒトラーはあともう少し戦車を配備すれば勝てる戦を失っている。そしてその当時すでにナチスドイツに見切りをつけた将校にエド・ハリス、さらにポーランド方面に移送されるユダヤ人の様子などが描写されている。
 この映画のアドルフ・ヒトラーやゲッベルスは妙に生々しい青い光があてられており、凄みが増す。本場ドイツの映画だけに妙な衣装とか演出ではなく、微妙な仕草にリアルな感じが漂い、非常に怖い。なおこのワルキューレ作戦について英国に協力を求めるが断られるシーンが出てくる。この後、フランスにノルマンディー上陸作戦などが展開されるため、このナチス・ドイツの歴史というのはこれからさらに題材が膨らんでいくのだろう。時間も短いし、それなりに楽しめる上いろいろと小さな知識が膨らむ映画。関連諸作品との比較も面白いかも。
(「ヒトラーの積極的な死刑執行者たち」)
 ハーバード大学助教授のダニエル・ゴールドヘイゲンが出版した書籍のタイトル。ユダヤ人迫害、とりわけナチスドイツのおこなった残虐な行為の背後に、アメリカや英国などでも延々とおこなわれていたのがユダヤ人差別(最近はかなり緩和しているらしいが1933年以後ドイツとアメリカの距離感がどれほどだったのかは定かではない)。映画ではまるで民主・自由といったテーマでヒトラー暗殺が企てられたかのような描写だがこれはかなり怪しいとは思う。ドイツ人全体を告発するかのような論調がこのアメリカの大学助教授によってなされた。クーデターというのが必ずしも民主化ではなくアンチヒトラーだとしたら英国がこの行為に協力しなかったとしても無理はないところかもしれない。

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