ごとりん・るーむ映画ぶろぐ

 現在584本の映画のあくまで個人的な感想をアップさせていただいています。ラブコメ、ホラー、歴史映画が好きです【^_^】

Mr.&Mrs.スミス(ダグ・リーマン監督)

2008-01-15 | Weblog
ストーリー;なにせこの映画はいきなり第1週で全米一位を稼ぎ出し、興行収入約55億円をたたき出す大ヒット。ブラッド・ピットは「トロイ」、アンジョリーナ・ジョリーは「トゥームレイダー」がこの映画の前までは興行収入のそれぞれ1位だったのだがあっさり記録を更新してしまった。コロンビアのダコダで「仕事」をしていた建設士のジョン。そこへ突然現れた「偶然の旅行者」ジェーン。二人は銃弾が飛び交うコロンビアでお互いのなぞめいた雰囲気に惹かれ電撃的に結婚。夫の収入は安定しており、ジェーンはクライアントのサーバーがダウンするたびに修理にでかける腕利きのSEのはずだった。しかし、FBI連邦捜査官に身柄を拘束される重要人物を狙撃しようとしたテキサス国境付近で、お互いはお互いの本当の仕事の内容を知る。そして自分の素性を知られてから48時間以内に相手を殺害しなければならないというのがそれぞれの組織の「掟」だった…。
出演;ブラッド・ピット、アンジョリーナ・ジョリー、ヴィンス・ボーン
コメント;「ボーン・アイデンティティ」もアイデアが秀逸のアクション映画だったが、この映画もかつての「ローズ家の戦争」の陰惨な部分を削除して、さらにハリウッドのこれまでのアクション映画の「常識」をまた二転三転させるアイデアの連続。さらにブラッド・ビットとアンジョリーナ・ジョリーのワゴンカーとポルシェ3台とのカー・アクションや家庭内バトルといった珍しいシチュエーションでの銃撃戦などとてつもなく面白い。夏にこういう映画をみると確かにすかっとした気分が味わえる。ギャグはやはり「定番」すぎてちょっと笑えない部分も多かったのだが、ラストは「明日に向かって撃て」などの伝統をちゃんとふまえた意外などんでん返しの連続。脚本がいい上に、効果的にとりこまれたスロー・モーションがまた全体のスピード感をアップさせているような気がする。
 それにしてもアンジョリーナ・ジョリーってすごい女優でしかも綺麗な人だなあ、などとあらためて感じた映画。主役はブラッド・ピットということになるだろうが、エンドロールでアンジョリーナ・ジョリー主演としてもおかしくないほどのすごい演技。目ですべてが語れる女優って今ではそれほど数がいないのではなかろうか。ブラッド・ピットの演技もこれまでの映画ではあまりいい演技というのは記憶になかったのだが、この映画では気軽にのびやかな演技を披露してくれているといった印象。「12モンキーズ」で妙な「癖」がついた印象があったがこの映画でそれも払拭。軽い身のこなしと自然な演技がすごい

SAW2(ダーレン・リン・バウズマン監督)

2008-01-15 | Weblog
ストーリー;冒頭の電球の緑と青のあわさったような色と黒とのとりあわせが非常にきれいな映画。そして前作で登場したサイコ・キラー「ジグソウ」の新たなゲームが仕掛けられる。前作から「一定期間」が経過したと推定される某日。「密告」を正業にしていた男はゲームをしかけられる。自分の顔に仕掛けられたデス・マスクを60秒以内に見つけ出し、「自分の大切なもの」と引き換えに生きていることの代償を支払え、というのだ。その一方、外勤から内務調査課で書類仕事にいそしむエリック・マシューズ刑事は自分の妻との離婚調停や息子のダニエルの不良化に手を焼いていた。そんな矢先に思ってもみない形で「ジグソウ」からゲームの申し込みを受けるが…。
出演;ドニー・ウォルバーグ、ショウニー・スミス、トビン・ベル
コメント;心理捜査官ケリーを演じるディナ・メイヤー・どこかで見たことがある女優だと思ったがおそらく「スターシップ・トゥルーパーズ」で見たのをこの映画と無意識に関連させていたのかもしれない。エリック刑事を演じるドニー・ウォルバーグのやさぐれた刑事ぶりがなんともいえず心地よい。基本的に密室ゲームを想定しているので外での撮影はうすぐらい川沿いで息子をしかりつける場面ぐらいなのだが、ネクタイの曲がれ具合などがちょうど役にもはまっているような気がする。「ジグソウ」を演じるトビン・ベルがむちゃくちゃ気持ち悪く、ラストで赤と黒のコントラストの中に沈むシーンでは「身勝手な殉教者」といった趣き。前作ではケアリー・エルウィズが演じた迫真の演技もちゃんとこの「2」では引用されており、ホラー映画の続編としては出色の出来具合。明らかな低予算をするりとくぐりぬける脚本と撮影の見事なコンビネーションで星は「低予算にしては」というのと「続編にしては」というのを考慮してもかなり高い評価。
 「ソリッド・シチュエーション・スリラー」という宣伝文句もうまいと思う。もうすぐ「SAW3」も公開されるようだが、かなり楽しみ。

デンジャラス・ビューティ2(ジョン・パスキン監督)

2008-01-15 | Weblog
ストーリー ;潜入捜査のために「ミス・アメリカ」に出場したFBI捜査官グレイシー・ハート。その後潜入捜査をしていても、至るところで顔が見破られるため捜査専従を断念。広報の顔としてテレビに出まくり、護身法についての講演を続ける。書籍のサイン会なども開くが、そのさなかでも「自分にお手入れする人が一番好かれるのよ」と断言し、子供の発言もまともには聞けない忙しさ。そんなさなか、前作で友達になったミス・アメリカが誘拐される事件がネヴァダで発生。急遽、国民の信頼を確保するためにネバダに行くが…。
出演;サンドラ・ブロック 、レジーナ・キング 、ウィリアム・シャトナー
コメント;ラスベガスを舞台にして繰り広げられる誘拐劇。Long shark という英単語が飛び交うがこれは高利貸しとか人をだます人たち。当初のFBI捜査を「宝島」のセットを舞台に展開するサンドラ・ブロックの見事な台詞回しが印象的。ただギャグがいまひとつ「わかりにくい」というのもあって声をあげて笑える場面は少なかったかも。ネバダ州が舞台ということで、マカロン国際空港での立ち回りや国道15号線(ロスアンゼルスとラスベガスを結ぶ国道)なども頻繁に画面に展開される。ネバダ州とユタ州の境にあるフーバー・ダムでの場面もいくつか。ちょっとしたネバダ州観光名所めぐりもできたりする映画だ。
 台詞途中にでてくる「詐欺課のジョンソン」はおそらくケネディ大統領の後をついだジョンソン大統領のことだろう。サンドラ・ブロックは「スピード」でかなり人気の出た女優だがなぜか続編では本編の男優との共演がなくこの映画でも前作の男優は画面にはでてこずマイアミへ移転したことになっている。「がらっぱち」なユーモアのセンスはたしかにあると思うのだが長時間見ていると辛い女優で個人的にはかなり苦手なタイプ。ただ近々、「スピード」で共演したキアヌ・リーブスと韓国映画「イルマーレ」をハリウッドでリメイクした映画に出演するとか。ラブコメディ映画となればもともと好きなので久方ぶりの「スピード」カップルを画面で見るのが楽しみ。
 結構出演するのは難しい映画ではないかと思うのだが、サンドラ・ブロックとレジーナ・キングは「女性歌手に扮しているゲイの物まね男性の演技」をティナ・ターナーのショーとともに披露してくれるとともに、ラスベガスのカジノでの過激なアクションシーンも展開。女優魂を見せてくれるコメディ映画となった。ネバダ砂漠を空中から撮影したシーンがいかにも砂が舞い上がりそうな映像でこのロケハンはかなり良かったような気がする。

ザ・セル(ターセム・シン監督)

2008-01-15 | Weblog
ストーリー ;脳神経と脳神経を電極でつなぎ互いの精神世界を交流させることで精神治療に役立てようという実験が続くアメリカ・シカゴのキャンベル研究所。カウンセラーのキャサリン・ディーンは小学生にして心をわずらってしまった患者と交流を続けるが目だった効果がでないまま苦悶の日々を送っていた。一方、ガラス張りの密室に女性を閉じ込めて水没させる様子をVTRにとり、さらに漂白して捨てるという残虐な事件が続いていた。犬の毛をもとにFBIは犯人逮捕に向かうが、おりしも犯人は急性の症状が進行して意識不明の状態に。だが水没させられる女性のVTRが残存しており生存者救出のために犯人の意識の中に潜入して犯行現場を特定する必要がでてきた。自分自身が過去に辛い体験をおうFBI捜査官ピーター・ノヴァクはシカゴのキャンベル研究所の最新研究を知り協力を依頼するが、それはまだ実験段階にある精神交流システムを用いて犯人の無意識に潜入するというきわめて危険な任務を依頼することだった…。
出演;ジュニファー・ロペス、ヴィンス・ヴォーン、ヴィンセント・ドノフリオ
コメント;フランシス・フォード・コッポラの「ドラキュラ」でアカデミー衣装賞を受賞した石岡瑛子が衣装を担当。とにかく衣装がすばらしい。映像にうつる衣装を作り出すという点では石岡の天才ぶりが至る場面で発揮される映画で、壁がずるずる動いたかと思うと実はそれが「意識」の中の「王」の衣装の一部だったり、水面に移る邪悪な虫の群れがそのまま衣装の一部として画面を構成するなど、この映画の大成功は石岡の美術センス、映画センスなしでは考えられないほどの見事さ。ジュニファー・ロペスもまた名作B旧映画「アナコンダ」に出演したばかりのころの映画で初々しさとたくましさが同居する精神カウンセラーの役を熱演。赤い衣装が精神世界をふらっと漂うあたりの映像美学と官能性はやはりジュニファー・ロペスなしでは成立しなかっただろう。
 そしていまや集客力も備えたコメディアンとしての才能も「ビー・クール」や「ドッジボール」でみせるヴィンス・ボーンの端正なFBI捜査官ピーター・ノヴァクがまたすばらしい。当時はまだ端役から注目をあびつつある時期の作品になるが、いわゆるサイコと恋愛といった定番からはずれたそれこそクールな関係をジュニファー・ロペスが演じるキャサリン・ディーンと目と目が会話する微妙な演技で見せてくれる。

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ(セルジオ・レオーネ監督)

2008-01-15 | Weblog
ストーリー;1905年近辺に生まれたユダヤ系移民出身のギャングたち。少年時代の彼らと60代半ばの人生が交錯して描かれる名作。少年ギャング団4人を率いるデビッド・ヌードルス。カツアゲなどの脅迫行為や酔っ払いを対象とした強盗などは日常茶飯事だったが、もう一人のリーダー格であるデトロイト出身のマックスを迎えてから、さらに商売は禁酒法の取り締まりの目を逃れる大規模なものへと変化していく。小さくても仲間どおしで商売をしたいヌードルスとマックスはそのたびごとに対立するが、友情が二人を結びつける。そしてデボラへの恋とマックスへの友情の微妙な交錯。とあることからヌードルスは刑務所に入ることになり、出所して20代後半。再び葬儀会社を隠れ蓑にしたお酒の密売事業に手を染めるが、そのうち鉄工所の経営争議を舞台にした裏取引で運輸関係の労働組合委員長の側にたって経営者側のギャングを暗殺。さらに政治家と手を結び大規模化を狙うマックスと仲間どおしの地道な商売を選ぶヌードルスは対立し、そしてフロリダに出かけるが…。
出演 ;ロバート・デ・ニーロ 、エリザベス・マグガバン、ジェイムズ・ウッズ
コメント;もう10代のころから何百回見たかわからないほどの名作。そのときは劇場公開のみでよく名作座にいってみていたがそのうちレンタルビデオ業が始まりビデオで鑑賞。そして現在はDVD2枚組を購入していつでも気が向いたときにこの映画を鑑賞できる時代になった。DVDもレンタルでかまわないときもあるがやはり気に入った作品をいつでも鑑賞するためには購入するのが一番だったりする。何度見ても新しい発見があるのだが、最近はそれが台詞の微妙な調子にまで及ぶ。「They …alreade …picked… there」と苦しげに語るファット・モーの台詞から、そこで直接「イブは死んだ」などと直接的に言わないことでこの男の控えめで思いやりのある性格がしのばれる。「Now you are loudy actress」とラスト間際でもらす台詞は字幕では「演技が下手な役者だな」などと訳されもするのだが、話の流れからするともっと微妙なニュアンスだ。「よくしゃべる女優だな」とか「なぜにそんなに台詞がおおいんだ」とかいろいろな含みが「loudy」にはこめられているような気がする。そしてエリザベス・マクガバンが扮するデボラは10代のころから常にヌードルスには冷たい調子で接していたのが台詞の英語からさっせられ、なんだか見ていて辛い瞬間も。ただその冷たいニュアンスとヌードルスへの思いがまた映像と台詞のハザマから垣間見えて非常に切ない。
 なぜに10代のころから現在に至るまでこの映画を繰り返しみているのか自分でも不可思議だがおそらくはすでに輝いていたジュニファー・コネリーの瞳に魅せられたのかもしれない。その後一時期は際物女優的な扱いを受けたジェニファー・コネリーもロン・ハアワード監督の「ビューティフル・マインド」で助演アカデミー女優賞を受賞。おそらくはロン・ハワード監督もこの映画でのデボラに魅せられたのではないかと推察するのだが。

 ラスト間際でのデボラの楽屋に飾ってあるポスターは「アンソニーとクレオパトラ」ジュリアス・シーザーとアンソニーとクレオパトラの悲劇がそのままこの映画で反復されていることへのオマージュだったのかと何百回もみて初めて気づく(すでに誰かがどこかで何度も指摘していることだろうとは思うが)。おそらくはこの映画をさらに私は何百回も見ていくのだろう。そして何度も自分が聞き逃していたことや見逃していたこと、記憶がいかにあてにならないのかを再確認することになるのだろうと思う。


ビー・クール(F.ゲイリー・グレイ監督)

2008-01-15 | Weblog
ストーリー;「ゲット・ショーティ」で取立屋から映画の製作者となったチリ・バーマー。ただし次第に映画の仕事にも飽きてきたところに知人のトミー(ジェイムズ・ウッズ)が自分を映画にしないかと持ちかけてくる。がその話をしているところにいきなり鬘のロシア・マフィアがやってきて…。エアロスミスのスティーブン・テイラーも出演。やはりすごい大物の風格を漂わす。
出演;ジョン・トラボルタ、ユマ・サーマン、ヴィンス・ヴォーン
コメント;10年前の「ゲット・ショーティ」はとにかく面白かったが、場末の映画館でオーソン・ウェルズの作品を見ながらジョン・トラボルタが解説をつけるシーンがなんとも良かった。今回はその続編で映画へのオマージュというよりかはMTVへのオマージュがとにかく多く、ジョン・トラボルタは音楽プロデューサーへの転進を強引にはかってしまう。悪役にはヴィンス・ボーンが扮しているのだがこの人まじめな役もとぼけた悪役もどちらもきっちりこなしてしまうからすごい。さりげなく出演しているハーヴェー・カイテルはちょっと痩せた印象だが、その分凄みがましているような気がする。ユマ・サーマンとジョン・トラボルタのダンスのシーンはやっぱりおしゃれで、監督のちょっとしたサービスか。ヒップホップのリズムにさりげなくのせて二人が踊るシーンは「パルプ・フィクション」よりもかっこいいかも。
 ただ「ゲット・ショーティ」をみていないと何がなんだかわからないまま「映画内映画」や内輪受けの話になってしまうので、そのあたりは多少不安なものが…。ダニー・デビートのカメオ出演とか台詞の端々に前作をうかがわせるものがあるだけにいきなりこの映画をみて主人公に感情移入はなかなかできないかも。

クイーン・オブ・ザ・ヴァンパイア(マイケル・ライマー監督)

2008-01-15 | Weblog
ストーリー;トム・クルーズやブラッド・ピットが出演した「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイヤ」の続編(アン・ライス「呪われし者の女王」原作)。扶桑社ミステリーで翻訳も出版。歌手アリーヤの遺作でもある。アリーヤはこの映画の出演後に「マトリックス」への出演予定もあったらしいが飛行機事故で22歳の若さで亡くなる。吸血鬼レスタトが誕生した秘話などが語られる。
出演;スチュアート・タウンゼント、アリーヤ、レナ・オリン
コメント ;トム・クルーズよりもスチュアート・タウンゼントの演じる「吸血鬼レスタト」のほうが感じがいい。ただ脚本があまりにもひどいので、俳優や特撮効果などが台無しだ。もう少し特撮に頼らない映画構成はできなかったものか。アリーヤの登場もこれでは化け物扱いでちょっと哀しい。せっかく英国ロンドンを舞台に、古式ゆかしき雰囲気が出せるものを…。そもそも最初からヴァイオリンをぶらさげてレスタトがロックの練習をしているところに乗り込むあたりからもうはやコメディの様相も…。
 なにが悪かったのかといえばおそらく監督が悪かったのは明らかで、さらには脚本家の罪も大きい。役者はむしろこんなひどい脚本なのに気の毒なくらいうまい人が多い。

セブンソード(ツイ・ハーク監督)

2008-01-15 | Weblog
ストーリー;清朝末期の時代。禁武令がはっせれられ、武道を習ったものはすべて殺戮されていく。そんな中、明朝時代には刑武官として圧制者だったが平和にめざめ、村人を救出しようとして7人の剣士を集め、清朝の手先となって動いている軍団に戦いを挑む…。
出演 ;レオン・ライ、ドニー・イェン、チャーリー・ヤン
コメント ;ケレンミってこいうことなのかしら。とにかく個人的には面白かったが映画館で見ていたら結構苦痛だったのかも。とにかく物語が長い割には進展がないので、2時間30分もの間結構退屈することもあるかもしれない。ただあまり中国映画ではこれまでみられなかったような際どい場面や、「新兵器」なども出現。日本の「何某」という漫画を彷彿とさせる場面もしばしばあり、かなりの部分を日本のアニメに「インスパイア」されているのかもしれない。
 高麗人という設定などもみられ、漢民族と満州族とのなんともいえない歴史の溝などもさりげなく描かれている。アクションシーンはさすがにツイ・ハーク。「マトリックス」シリーズの数十倍の凄みとアイデアで見せてくれる。音楽に日本の川井憲次。さらに香港、台湾といった中国系人気俳優が勢ぞろいしており、役者の演技力はさすがにレベルが高い。考えてみると日本の時代劇以上には迫力があるうえに、CGに頼らない多人数のエキストラの迫力も中国映画ならでは。また清朝の宮廷でやりとりがなされる情報の「取引」の場面には数千年の歴史を感じさせる老獪な台詞のやりとりも楽しめる。

TAKESHI'S(北野武監督)

2008-01-15 | Weblog
ストーリー ;コンビニエンスストアで生計をたてながら、オーディションに応募し、何度も落ちる北野武と新作「灼熱」を取りおろして売れっ子生活を満喫している北野武。この二人がテレビ局で偶然出会い、サインを交わした瞬間からお互いの人生が微妙に交錯しはじめ、最後にはどちらがどちらなのかも判然としないまま破滅と挫折の展開へ…
出演;北野武、京野ことみ、岸本加代子
コメント;名作。どう考えたって名作。冒頭塹壕にとじこもった日本兵たち。その中の一人がやはり北野武という展開から、砂浜で京野ことみがサッカーボールで新体操をする場面。赤いポルシェと青いドレスの組み合わせがこの女優の美しさを2倍にも3倍にも増してくれる。
 夜の線路でタップをふみ目の前にあらわれる「光」銃撃戦を展開しつつその光がオリオン座や北斗七星の形へ昇華していく場面。息もつかせぬ展開で悪夢の107分が展開され、観客はもはや北野ワールドの中でひたすらとびこんでいくしかない…。「座頭市」以上の面白さと映像の美しさで観客を楽しませてくれる不条理映画・悪夢映画の1級作品だろう。

パイレーツ・オブ・カリビアン~デッドマンズ・チェスト~(ゴア・ヴァービンスキー監督)

2008-01-15 | Weblog
ストーリー;冒頭。総督の令嬢でもあるエリザベス・スワンは、白いドレスに身を包み、「何か」を待っている。最初のシーンは華々しくハッピー・エンディングを飾った前作のラストとは裏腹に妙に暗い、そして雨が滴る音で短調を奏でる悲しげな映像だ。そして意外な形で登場するその婚約者ウィル・ターナー。製作があのジェリー・ブラッカイマーということもあってやはり「ただものではない」続編第2作。発想の基本を粗筋よりもむしろアイデアの連続で楽しませる続編にと切り替えてサービス満点のエンターテイメント作品に。大英帝国の兵隊とともに登場する東インド貿易会社のベケット興が権力を掌握しようとする一方で前作で悲しい失恋状態を味わったジェームズ・ノリントン元提督が意外な場面で意外な登場を果たす…。
出演;ジョニー・デップ、オーランド・ブルーム、キーラ・ナイトレイ
コメント;個人的には大好きな展開の続編映画作品で、しかも巨額の予算と贅沢なキャスティングのエンターテイメント作品。「笑い」を狙う展開はいずれも失敗しているが、「笑い」ではなく「楽しむ」という視点からするととてつもない続編エンターテイメント。三部作品ということではすでに「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズや「スター・ウォーズ」シリーズ、「ゴッドファーザー」シリーズ、「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズと色々あることはあれど、個人的には「タイタニック」+「宝島」+「白鯨」+「白い嵐」+「ポリスストーリー」+「コロンブス」+テンタクロス」+「さまよえるオランダ人」といった感じですごく楽しめた。第3作の公開は来年の5月が予定されているようだがぜひ見に行きたい。今回では前作よりもさらに魅力的なレギュラーが初お目見え。ブードゥ教の占い師ティア・ダルマ役に「28日後…」のナオミ・ハリス、「深海の悪霊デイヴィ・ジョーンズ」に「ラブ・アクチュアリー」のビル・ナイといった個人的にも大好きな俳優陣営。ジョナサン・プライス、ジャック・ダヴェンポート、英国出身俳優ががっちり脇を固めているそのど真ん中をジョニー・デップが、キース・リチャードをイメージしたというアウトコースぎりぎりを攻める自由な演技を展開といったところか。すごく撮影の雰囲気が楽しそうな映画だ。夏休みには結構こういう映画でのんびりすごすのはいいのかもしれない


散り行く花(D.W.グリフィス監督)

2008-01-15 | Weblog
ストーリー;1919年作品。とある中国の港町。お寺で仏教の修行を積んだ若き僧チェン・ハンは仏陀の教えを西洋にも説こうと英国ロンドンに赴く。しかし10年もたつと現実の苦難に理想はまけ、雑貨を営みつつアヘンをすう毎日となった。そして同じころ13歳のルーシーはボクサーである父親の家庭内暴力に耐えつつある日、家出をする…
出演 ;リリアン・ギッシュ、リチャード・パーセルメス、ドナルド・クリスプ
コメント;演劇をしていたころ、高いある舞台補助装置を「イントレ」「イントレ」と呼んでいた。どうもその「イントレ」というのは「イントレランス」でグリフィスが俯瞰撮影に使ったことから舞台でも「イントレ」と称するようになった…と当時は仲間内ではいわれていたが真偽のほどは定かではない。だが1919年のこの作品をみて思わず引き込まれ、リリアン・ギッシュの美しさに吸い込まれるようになる。アヘンではなくリリアン・ギッシュがそこに存在するだけで時間と映像が連続していくというのが不可思議なほどすばらしい映画だ。粗筋はもちろん今のメロドラマよりも粗雑だし、中国人はリチャード・パーセルメスが演じているのだが、そうした客観的な設定を超えた美しさ。リリアン・ギッシュはもうもちろんだし、リチャード・パーセルメスも名優であることはもちろんだが脇役やエキストラのすべてが自然体で映像にそのまま移り続けて動作をしているのがほんとうに不思議だ。ロンドンの「道」や建物のレンガまでもが美しく、「白い花」というのがこれほどまでに白いということを改めて1919年の映画をみて認識することになるとは思わなかった。オープニング・クレジット(分業化を推し進めたのがグリフィス)、インター・タイトル(現在のハリウッドでもよく用いられる映画の設定を字幕で説明する手法)、立ち位置や二人の構図で力関係を示すエスタブリッシュ・ショットといった技法の数々やクローズアップ、円形に、時には波型にもなる画面といった数々のテクニックがまた細部を際立たせる。歴史に残る名作とよばれるだけのことはやはりある人類の宝ともいうべき映画だろう。ドアを父親が叩き割るシーンは、ジャック・ニコルソンが後にオマージュを、そして現実の前に無力だった青年が美少女と出会い、「善」に目覚めるという設定は、「スパイダーマン」のキルスティン・ダンストが、と今でも連綿と続く「ボーイ・ミーツ・ガール」の伝統的な構図…ととにもかくにもどんどん「連想ゲーム」のようにイメージがつながりさらに芳情な映画の香りが画面から立ち上るかのような至福の時間の87分…。

エクスペリメント(アンドレアス・リンケ監督)

2008-01-15 | Weblog
ストーリー;現代。刑務所が犯罪者であふれ、対策に困った政府は「心理療養プロジェクト」を開発。あくまで個人の希望という形をとって刑務所から希望者をつのり、プロジェクトに送り込む。父親の家庭内暴力に耐えかねた少年は職場にいきなり自動車で乗りつけ、器物は損と傷害罪で2年の実刑判決を受けるが妹のためにそのプロジェクトに応募する…。
出演;マティアス・ケーベルリン、ナタリア・ヴェルナー、アーロン・ヒルデブラント
コメント;ドイツ映画。ストーリーの「矛盾」はあれど、画面にとびかうドイツ語のアクセントの美しさが耳に残る。登場人物の役回りなども含めて役者が全部「顔」で表現しているのがなかなかいい。ただ1時間30分をこの映画をみながら映画館で過ごすのはちょっと辛いかもしれないが。ドイツ映画の中で「ナチスまがい」などと批判の応酬が繰り広げられ、ナチス・ドイツというのは本国でもあまり好感をもたれていないようだ、と推察がつく。またドイツの金融機関の様子なども興味深い。風景がやはりアメリカや英国とはかなり違う雰囲気で、役者の顔つきも「風景」そのものも非常に映画向きの風土ではないかと想う。ヴィム・ヴェンダースがドイツに生まれた理由もわかるような気がする。
 ただ、あまりにも「予測」がつきすぎる展開と、あまり犯罪者の更正とかとは無縁なプログラムが非常に気になる。きつい訓練はまるで軍隊の訓練そのものだが、厳しく運動すれば「更正」する…という流れ自体が、かつて内部には厳しい規律をもって望み外部にはきわめて傲慢な態度をみせた「あの時代」をなんとなく彷彿とさせる。

妖怪大戦争(三池崇史監督)

2008-01-15 | Weblog
ストーリー;とある夏の夜の夢。両親が離婚して別居、現在は祖父と母親と三人で暮らす毎日だが夏祭りで、「麒麟送子」に選ばれる。「世もつもの」といわれる「捨てられた道具」の恨みが集積して、日本の妖怪をとらえてはそのエネルギーを取り込み、まがまがしい形に変形させて、恨みの中心東京への侵略計画を進める「加藤」。タダシは仲間のスネコスリも奪われて戦いを「加藤」に挑む…。
出演 ;栗山千明、豊川悦司、近藤正臣
コメント;三池崇史監督らしい「子供向け」の妖怪映画ではあるが大人がみても楽しめる展開。しかもかなりのビッグネームの役者が勢ぞろいしているのだが、いずれもメイクがあまりにも凄すぎて誰が誰だかわからないという…。栗山千明が「キル・ビル」以上に柔軟な動きを見せる。人工対自然、子ども対大人、資本対環境といった対立軸のようにみえて、実は「面白ければなんでもいいのでは」という遊び心もたっぷり。自然の妖怪では東京まで時間がかかるというので、飛行機を利用するなど、「試してみよう」というチャレンジ精神満載の「ホラー映画」だ。結構残虐なシーンもいろいろ取り込まれていて、徳井優さんが扮する警官が妖怪を撃つつもりで誤射しちゃったりする。
 前半では田舎の風景をとことん実写でみせてくれる三池監督。橋の上で菅原文太が、ただぼけて座っているシーンや、子供にロープでひっぱられて海岸を歩くシーンなどが秀逸。CGなどによる妖怪シーンも結構面白いのだが、やはり海岸とか山のシーン。それにトンネルにバスが乗り入れるシーンなどが「自然」そのままで怖い感じをかもし出してくれていて凄い。2時間を超えるのがちょっと意外な長時間娯楽映画ではあるが、妖怪、美少女、ビール、お祭り、可愛いキャラクターといろいろな小道具をそろえた夏のエンターテイメントといえるだろう。

検屍官(マーカス・ブラウティガム監督)

2008-01-15 | Weblog
ストーリー ;殺人事件などの死体を調べて捜査に協力するヘレン・マースは、夫と微妙な気まずさをかかえつつ、それでも別の男性との密会を重ねる日々。そうした日々の最中に、ハンマーで撲殺された「女性」の死体が運ばれてくる。その「女性」と同居していたドーラという男娼、そして厳格なプロテスタントの両親。捜査を進めるうちに複雑な家庭環境と男娼に対する極端な差別が垣間見えてくる…。
出演 ;カリン・ギゲリッヒ、ティム・ワイルド、ベティーナ・ジマーマン
コメント;わずか90分程度の映画だが、非常にみていて辛かった。ドイツの刑事捜査がこんなに非科学的なわけがなく、検死をしている調査官が捜査の最後の場面で「喉」に異物を発見して真犯人をつきとめるというのはいくらなんでも…。「羊たちの沈黙」でも一番最初の初動調査の段階で「蝶の繭」を発見しているわけで…。
家族愛やらなにやらといろいろ盛り込んだ挙句、物語に収集がつかなくなったサイコ・スリラーといえるのかもしれない。「ほどほど」のところで止めておけばもう少し俳優の熱のこもった演技にも共感できたのかも。ドイツ映画で、ハリウッドとは違うパトカーやら、あるいは河や橋といった日常の光景をこの映画で楽しめる。ドイツ地方のなにやら不可思議なほど生真面目な「宗教心」にもお目にかかれるが…。「公正」とか「真理」という言葉が独り歩きを始めるときがおそらく人間の一番危険な部分なのかもしれない…。


香港国際警察(ベニー・チャン監督)

2008-01-15 | Weblog
ストーリー;銀行強盗のアジトをつきとめ9人の部下とともにチャン警部は乗り込むが、次々にゲーム感覚で9人が殺害。それを機会にチャン警部は酒におぼれてやる気を失うが、署長の命令ということで新たな相棒シウホンが現れる…。
出演;ジャッキー・チェン、ニコラス・ツェー、ダニエル・ウー
コメント;ゲーム感覚で犯罪を楽しむというコンセプトはまさしく「踊る大捜査線」にも通じる不気味な現代犯罪。若手の俳優とまじわり、ジャッキー・チェンももはや警部として管理職としての役回り。やや寂しい感じもするが酒びたりでダメ人間となる様子は往年のクリント・イーストウッドが好んだ役回り。やや演技が過剰ではあるが、周囲の思いやりにも支えれ、部下の信望があつい警部だったことを画面の中に漂わす。香港映画をみているとどうしても「恵まれた階級」とそうでない階級の差異が際立ってきているような気がする。お金持ちの息子・娘がゲーム感覚で警察に兆戦するという筋書きは、パソコンの発達ともにより映画で扱われていく題材といえるのかもしれない。