健康を科学する!

豊橋創造大学大学院健康科学研究科生体機能学のつぶやき

失われた言語の痕跡

2014-11-29 08:30:40 | 研究
海外へ養子縁組に出された子どもたちは、たとえ生まれて間もない頃に聞いた言葉を覚えていなくても、脳の中にその言葉が刻まれ続けているとした研究論文が発表されたそうです(AFPBB NEWS)。研究では、9歳~17歳の少女48人を対象に実施。少女達は、それぞれ「フランス系住民の家庭で生まれ育ち、フランス語だけを習得」、「中国で生まれてフランス系住民の家庭に引き取られた後、フランス語だけを習得」、「中国で生まれてフランス系住民の家庭に引き取られた後に中国語とフランス語を習得」の3つのグループに分類。ちなみに、養子に出された時期は平均で12.8か月だったそうです。33グループ全ての子どもたちの脳を磁気共鳴画像(MRI)を用いてスキャンを行いながら、異なった声調で発せられる中国語の音声を聴かせたそうです。例えば「ママ」といった言葉は、中国語を話さない人たちにとってはどの声調でも同じ音として聞こえるそうですが、中国語の知識がいくらかでもある人は、その声調によって「マ」が母親、麻、馬、罵りなど異なる意味があることを認識できるそうです。研究では、被験者たちに複数の音声を聞いてもらい、その声調の違いが認識できるか否かをボタンを押して答えてもらったそうです。その結果、参加者の正答率は非常に高かったというもの。フランス語だけを話す被験者には右脳の活動がみられ、一方の中国語とフランス語を話す被験者と幼い頃に聞いた中国語を忘れた被験者には、右脳および左脳で活動がみられたそうです。これは赤ちゃんの頃に中国語を聞いていた子どもたちは、たとえ覚えていなかったとしても、聴いた音声を言葉、もしくは何かしらの意味を有するものと判別できていることを示しているというのです。
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