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豊橋創造大学大学院健康科学研究科生体機能学のつぶやき

関節軟骨の再生を誘導するステロイドホルモン

2015-04-10 08:30:33 | 研究
グルココルチコイドの一種であるフルオシノロンアセトニドに、強力な軟骨細胞分化誘導能があることが明らかになったそうです(財経新聞)。米国FDAに承認されている薬剤の中から、軟骨細胞分化促進能を有する薬剤を網羅的に探索し、グルココルチコイドの一つであるフルオシノロンアセトニド(FA)が強力に軟骨細胞分化を促進することを発見。ヒト骨髄由来間葉系幹細胞を高密度培養し、軟骨基質合成に与える影響を検討したところ、FAは骨髄由来間葉系幹細胞を軟骨細胞に分化させる誘導因子として知られるTGF-β3と一緒に刺激することで、軟骨基質合成を著明に促進することが明らかに。実際に、マウスの膝関節に軟骨全層欠損を作製し、FAとTGF-β3を用いて軟骨細胞へ分化誘導したhBMSCsを関節軟骨欠損部に移植したところ、欠損部にII型コラーゲン陽性の軟骨組織が再生されている像が確認できたというもの。この発見は、日本国内の患者数は1000万人を超える変形性関節症の治療薬あるいは欠損した軟骨組織を補う手法の開発の期待を持たせるものと考えられます。変形性膝関節症は、関節の炎症、痛み、可動域の制限などにより日常生活の質(QOL)を大きく低下させる疾患で、これまで治療法は確立していません。
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