健康を科学する!

豊橋創造大学大学院健康科学研究科生体機能学のつぶやき

殺虫剤DDTの胎内暴露と乳がん

2015-06-30 08:30:34 | 研究
米国で50年超にわたって行われた研究の結果、母親の胎内にいたときに殺虫剤DDTに大量にさらされた子どもは将来、乳がんを患うリスクが4倍になるとの研究結果が、Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism電子版に掲載されたそうです(AFPBB NEWS)。DDTは数十年前に多くの国々で使用が禁止されていたそうですが、アフリカやアジアではいまだに広く使われているそうです。研究対象となったのは、DDTが米国で広く使用されていた1960年代に母親の胎内でDDTにさらされた女性。当時、2万754人の女性の妊娠を調査した「小児の健康と発達に関する研究(Child Health and Development Studies)」のデータを分析し、このうち産んだ娘たちが52歳までに乳がんと診断された母親118人に着目。保存されていた血液サンプルから、妊娠中もしくは出産直後にDDTにさらされた程度を調べたそうです。その結果、母親の乳がん既往歴にかかわらず、母体の血液中のDDT濃度が高いと、その娘が乳がんにかかるリスクが4倍近く高まることが明らかになったというもの。また乳がんと診断された娘たちのうち83%は、ホルモン感受性が陽性の乳がんだったとも。さらに、DDTへの暴露が最も多かった母親グループの娘は、暴露がなかった母親の娘たちに比べ、進行がんと診断される確率が高かったそうです。内分泌かく乱物質(通称、環境ホルモン)として知られるDDTは体内に取り込まれると、女性ホルモン(エストロゲン)様に振る舞い、ホルモン作用を乱す恐れがあるそうです。
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