健康を科学する!

豊橋創造大学大学院健康科学研究科生体機能学のつぶやき

2型糖尿病治療薬

2010-10-13 08:07:32 | 研究
2型糖尿病の治療薬「リラグルチド」の誤使用で死者が出たようです。この薬剤は、グルカゴン様ペプチド(GLP-1)という物質のアナログです。GLP-1は、消化管から分泌されるホルモン、つまり消化管ホルモンです。このGLP-1は膵臓からのインスリン分泌を促す作用があります。これにより血糖値が下がるというものです。さらに都合がよいことに、この作用は血糖値が高い時のみ働き、低血糖時には働かないというのです。インスリン注射を行っている糖尿病患者では、インスリンが効きすぎて著しい低血糖となり、昏睡状態に陥る等の危険性がありましたが、このGLP-1ではそうした危険性はないという画期的なものです。また、胃内容物の排泄を遅らせて、満腹感を高めることで食欲抑制作用もあります。そのため、体重抑制作用もあります。しかし、完全にインスリン注射の代わりなるわけではなく、例えば1型糖尿病ではインスリンが作れないことが原因ですので、この薬剤は全く機能しません。また、2型糖尿病によっては、他の薬剤などで血糖値がコントロールできない場合はインスリン注射が必要となり、この場合もこの薬剤は効果が期待でないことになります。したがって、GLP-1の投与には十分な注意が必要であるということになります。
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