goo blog サービス終了のお知らせ 

永遠に、幸せになりたい。    by gorosuke

真夜中、いいおっさんが独り海に向かって延々と竿を振る。
アホだな。でもこのアホ、幸せなんだよなあ。

釣りに出かける理由。

2011-10-11 | アオリイカ
釣りに出かけるにいろいろと理由がある。

私の場合、釣りはブログのタイトル通り、私が直球で幸せになれる行為だが、だからといって毎日釣りをしている訳じゃない。
釣りに出かけるには何かの動機と契機がある。

その日、連れ合いのパート仲間の女の子が泊まりに来ることになった。彼女は最近離婚し、近々金沢に引っ越してやり直すのだという。
引っ越す前に連れ合いと是非話がしたかったらしい。
女同士の積る話もあるのだろうと、その夜私は釣りに出た。

イカ釣りシーズン後半はイカも成長し深場へと移り、夜釣りが主流になるが
この時期、まだ夜釣りには早かった。

しかし、ぼつぼつ来た。





サイズも少し上がって来たようだ。


日中の釣りと違って夜釣りはラインを伝わって来る微妙な魚信が頼りとなる。
視覚的な情報が少ないので、かえってイカとのやり取りに集中できる。

基本的には底を狙う。まず深さを測る。カウントしてどのくらいで底に到達するか。
同じ深さでも風や波、潮流に寄って落ちるスピードは違う。
だからその時、その時のカウントがある。

その夜はカウント40で底に着いた。
カウント35で鋭い2段シャクリやタンタンタンと振り幅の小さいジグザグダートでエギを動かし、またフォールさせる。そしてまたエギを動かす。
エギを鋭く動かすことと、シャクリのパターンを作らないこと、また夜の場合はエギを小さく動かすことが肝心かと思われる。
そして底の少し上あたりの位置を保つ。

フォール時、ラインには常に軽いテンションを掛けているが、そのテンションに違和感を察知したら、それがアタリである。
もわっと重くなったり、急に軽くなったり、突然引ったくったり、また、そうっと引っぱるような感触。

私はそうっと引っぱるようなアタリが好きである。
その時はラインを少し出してやり、ワンテンポ置いて合わせる。
するとぐっと重さが乗る。してグイグイ引っぱる。
こいつが楽しい。

違和感を感じても乗らない時がある。その時はエギの周囲にイカたちがいることをしっかりイメージして誘ってみる。エギをあまり移動させず鋭く動かして待つ。それを繰り返す。
それでも乗らない時はエギを追っかけて来ていることが多いので、足元まで気を抜かないことだ。

底でアタリがなければ、表層も狙ってみる。
水深3メートルくらいのレンジ。
時折、このレンジで入れ乗りすることがある。

しかし、この夜は表層はサッパリだった。

ベタ底でなんとかぼつぼつである。





曇り空で月もなくただ暗い海だった。
目の前に広がる闇と波のざわめき、そして我がロッドが空を切る音だけだった。

連れ合いの同僚はほんわかとした空気の可愛い女性である。
離婚は旦那の浮気が原因らしい。
結婚して4年目だという。
2年悩んだ挙げ句、別れることを決意したのだとか。

まあ生きていればいろんなことがある。
いいことも悪いことも。
そしてまた、いいことも悪いことも二つ続かない。

離婚は若い彼女にとって一大事だったに違いないが、なんてことはない。
今の世、掃いて捨てるほどある。
そのうちいい男と出会いまた結婚すればいい。
故河合隼雄氏も理想の結婚は二回目の結婚だといっているではないか。
美味いイカ食って新たな出発だ。

と、・・・・掛かった!!



うっは!!マイカ。

この夜の釣果は20センチ弱が15杯。

翌日、彼女はシャキシャキのイカ刺しをたらふく平らげ、でかいお椀のご飯もお代わりし、
いい顔で帰って行ったのだった。





その2日後、横浜で暮らしている娘たんぽぽが幼馴染みの結婚式で帰って来た。
久しぶりに帰って来た彼女に何が食いたい?と訊くと
「イカ刺し食べたい。」と言う。

誰かに美味い魚を食わせたい、というのは私の釣りに出かける大きい動機である。
してそんな時は多くの場合、釣れるんである。
いや、釣れるまで帰らないのかも。

彼女が食べるに5杯もあったら十分だろうとタカをくくり
軽い気持ちで昼前に出かけたのだが、これが甘かった。

先日40杯釣れたポイントであるが、
釣り始めに20センチが釣れ



いい調子だと思いきや、
その後、サッパリ釣れない。

ここは確実に釣れるポイントだと確信していたが、
このポイントでも昼を過ぎると駄目らしい。
風も悪かった。
右からの強い横風。

しかし、テトラ帯の中程でやっている人には時々釣れているようだった。
いないわけではないが、私の守備範囲ではなかった。
私の釣り座はいつも通りテトラ帯の先端なのである。

だからといってテトラ帯の中程の、その釣り師の隣に移動する気にはならない。
しかし5匹は釣りたい。
とうとういても立ってもいられず、テトラ帯の根元に移動した。
ここは浅いが目の前に潮目があり、あぶくの帯ができている。
そのあぶく帯を狙ってみようと思ったのだ。

がしかし、ここもサッパリである。
なんだかな、どこかタイミングがズレている。
釣りは追っかけてはイケナイ。というのが持論である。
まあ人生も同じだな。
うまくいっている人の真似をしたり追っかけても駄目である。自分なりのやり方で生きる。

気持ちを落ち着け、先端の釣り座に戻った。
ここは潮の流れもあり深くていいところなのだ。ここでじっくりでかいのを狙おう。
改めて目の前の海と対峙する。
海と自分と。それだけの世界。

沖に向かって風上の正面、低い弾道でキャストする。
3.5号のエギは案外飛んで釣りになる距離に着水する。
カウント50、ベタ底を狙ってみる。

掛かった。

案外の重さ、20センチだった。



その後もぼつぼつと掛かり始めた。




いつの間にか隣の釣り座に若いカップルが登場していた。
なんだか楽しそうにやっている。
彼女と釣りに出かける。それほど楽しいことがあろうか。

ぎっちょの彼氏のキャストが独特で面白く、イカ釣りに慣れた様子で時折イカを引き寄せていた。
なんでも毎週末金沢からここにやって来てイカ釣りをやっている二人なんだそうだ。
道理でここのテトラを知り尽くしている感じだったし、的確な釣りであった。



この日は土曜であったが、いつになく道路には車が多く走っているし、ざわついた雰囲気があった。
珍しい車の渋滞を見て「明日はダイワ主催のイカ釣り大会が輪島で開催されるので、ポイントの下見にやって来てるんです。」と彼が言う。
毎年この時期に行われる大会で金沢富山から釣り師が250人程度参加するらしいが、なんと彼は昨年のチャンピオンで彼女は3位だったのだとか。
勿論、明日の大会にもエントリーし、連覇を狙っているのだそうだ。

彼は18センチが釣れてもリリースし
「こんなんじゃ優勝出来ませんね」と笑うのであった。
で、そんな彼氏を嬉しそうに見守る彼女なんである。
ナイスカップル、いいね、このやろー!!

そうこうしているうちに周囲は薄暗くなり、二人は爽やかな印象を残し姿を消したのだった。
名前はフクシマさんというらしい。またどこかで会えるだろう。

で、私。
この時点で既に5杯はクリアしていたが、なかなか帰れなかった。
この一投で帰ろうと思うと掛かり、
また最後の一投で掛かるんである。

で、最後の最後でまた掛かる。
そいつは根を引き剥がすような重さがあり、引きもこれまでになく強かった。バレるなよと慎重に引き寄せ、よいしょと抜き上げる。
思ったほどの大きさではなかったが、それでも今季の最大であった。


21センチ。

で、泣いても笑ってもこの一投で
またこいつが掛かり、これで終わりにしたのだった。



マイカ。


釣果は結局20杯。

釣れたとは言えないが、目一杯の釣りだった。


言うまでもなく、たんぽぽは美味い!!美味い!!の連発でイカ刺しを貪り食ったのだった。
まず横浜ではこんなプリプリのイカは食えないのだ。







ところで、福井のおみつさんからメールが届いた。おみつさんはつーさんの嫁さんである。
今年の12月、彼女のギャラリー・ゲッコウカフェで展覧会をすることになっている。
メールの最後にはこう書いてあった。

「釣りもいいけど版画もね!」

うっひゃ~~!!






【お知らせ】

師匠つーさんが釣り雑誌にデビューした。
つーさんは釣り師としてすでに北陸周辺では知られた存在だが、釣りだけでなく文学や哲学にも造詣が深く、いい文章を書く。
そのことは彼のブログ「星空キャスティング」に明らかだ。(ブックマーク参照)

その彼が雑誌に記事を書くというのはまさに水を得た魚のごとくなんである。
雑誌の名は「イカプラス」。東海・北陸のイカ釣り情報満載の釣り雑誌売れ行きナンバーワンのメジャー雑誌である。
今回の記事はアオリイカ釣りについて。特に秋のイカ釣りシーズン後半の釣り方として常識となっている底をとるやり方をひっくり返し、表層を狙うという提案が目を引く。
彼の釣りの素晴らしさは常識をしっかりと踏襲しながら、それに固執しない視野の広さと柔らかい感性で独自のテクニックを開いていくところにあるが、イカ釣りでも惜しみなくそのテクニックが披露されているわけだ。

このブログに立ち寄った貴方に是非、手に取っていただきたい。貴方の釣りにとって何か光るものを手に出来ること請け合いである。

12月には彼の真骨頂デカメバル釣りの世界がさらに大きい紙面で展開される予定だ。
楽しみに。

















イカの海

2011-10-06 | アオリイカ
10月4日、朝早くからぷらりと出かけた。

昨夜の雨が少し残ってはいたが、西の空は明るかった。

予定のポイントは風が悪く波が強過ぎた。潮も濁っている。
二投して諦め、移動する。

海沿いの道を走りながらこの状況で釣りが出来そうなポイントを探した。

能登外浦の、とあるテトラ。

ここも荒れ気味だったが、湾なので最初のポイントほどではなかった。
1~1.5メートルの波というところ。
時折やって来る大きなうねりがテトラにぶち当り、飛沫がかかる程度。
風はうまい具合に追い風であった。

先客は二人いたが、うまいぐあいに先端の釣り座は空いていた。
釣り座は宙空に斜めに突き出したテトラなので慎重な人は行かないのだろうな。


少し濁りがあるのでオレンジカラー3.5号エギを正面にフルキャスト。風に乗ってよく飛び、遠くのうねっている波に着水する。
この海悪くない。なんだか活気がありワクワクするものがあった。

ボトムの少し上、深層を狙う。
およそ30数えて二段しゃくり。そして適当に軽い連続ダート。フォール。またしゃくる。
その繰り返し。決まったパターンはない。
ただ深層をキープすることだけを心がける。

入れ食いとはいかないものの、釣りはじめからいい調子で釣れ続けた。
続けて掛かったかと思えば暫く間があき、また釣れる、という調子。








頭の中でカウントしてはしゃくり、またしゃくる。
そのうちカウントしなくても身体がリズムを覚えやっている。





まんべんなく掛かるのだが、みんな15センチ前後。20センチを超えるやつが来ない。

今年の特徴は釣れる場所と釣れない場所がハッキリしていること。全般に小さいが稀に予想だにしない大物が釣れたりもするということらしい。
どうやらこのポイント、ぴたりストライクのようだった。
こうなったら数にこだわってみようか。
食って美味いのはこのサイズなのだ。

目の前には美しい海。水平線は緩やかな弧を描き、そのうえに可愛い綿雲がたなびいている。何も考えることはない。この景色をただ見つめ、竿を振る。
身体の隅々に海と風と秋の陽光がしみ込むようだ。




イカの乗り方にはいろいろある。

まずはよくある、しゃくった瞬間ガツンと掛かるやつ。
これは掛けたのではなく、掛かったのだな。
下手すると身切れするので、大きく鋭くしゃくる時はタンと軽くしゃくっておいて大きくしゃくることにしている。



次に、フォール時、引ったくるように持って行くやつ。
こいつはなかなか乗せられないが、乗ったら触腕一本に掛かっている場合が多い。
だから、掛かった場合、そうっとゆっくりと引いて来る。



その次にフォール中、ぐっと重さが乗って来る時。
こいつはしっかりフッキングしている。



またフォール中、そうっと触っているのが分かる時。
やがてやつはエギを少し引っぱる。ラインを少し出してやり、ワンテンポ間を作って合わせるとぐっと重さが乗る。
これはしっかり掛けたのだ。この乗り方が一番楽しい。



エギが足元まで来ても、気を許してはいけない。
足元にいるやつは小さいやつが多いが、沖からエギを追っかけて来たやつもいる。
エギをギリギリ見えるところまで上げておいて、暫くその周りに大きいやつが追っかけて来ていないか確かめる。
そんなやつはエギが岸に近づくと慌てるように寄って来て抱きつくことが多い。




今回はラインに注視した。
日中などラインが見える時、ラインの動きでアタリをとる。
師匠つーさんの得意技だ。こいつを会得すると釣果が倍違うと彼は言うのだが、これがなかなかに会得し難し。
なにせ、波があり風があるのだ。寄せ波引き波でラインはふけたり引っぱられたり、風で膨らんでよく分からない。

しかしだ、じっと見ていると確かにそういったラインの動きとは違う動き方をするときがある。
違和感のあるフケ方、引っぱられ方、それがアタリである。
特に、フケる時、よく見ていないと見逃してしまうが、こいつはイカがしっかり抱きついているのでまずはバレない。
一二度そのアタリで掛けたが、それで掛けるとなんだか嬉しい。当り!!って感じだ。




イカたちは美しい。何度見ても見飽きない。形、模様、同じやつはいない。丸くてでっかい目。
釣り上げるとエンペラを前後にバタバタと動かし、そのうち水をブシューと噴く。思いっきりだ。
水ならいいが、墨も噴く。顔も衣服も現代アートだ。
ともあれイカたちは活き活きと躍動するんである。

嗚呼、なんと楽しいことか。


日が高くなるに釣れて風向きが変わって来た。右からの横風。
俄然釣りにくくなってきた。

釣れる間隔も長くなって来る。



しかし、粘る。
粘るのが私の得意技。




我慢をして粘るのではない。
気分がいいし楽しいから、知らず長くなる。


気がつくとベルトに付けていた小さなバッグが見当たらない。
何かやっているうちに外れ海に落ちたらしい。
道具を海に落とすのも私の得意技だ。
リーダーとハサミ、スナップが入っていた。
根掛かりでエギをロストし、どうすることもできず終わりにした。

日は頭上にあり、いい時間になっていた。
6時間はテトラの先っちょに立っていたことになる。
いい年こいて何やってんだ、と思うがしかたない。
海に出るとついこうなっちまうんである。


久しぶり、クーラーボックスはずんと重く、テトラを渡るのが危うかった。

大して釣れない日が多いが、

こんな日もある。





帰って数えたら40だった。最大は17センチ。




嗚呼、イカ釣り!!ベイトでやってみた。

2011-10-01 | アオリイカ
8月はシュノーケリングでの海遊び。9月はじめは名古屋方面での展覧会でほぼ2ヶ月あまり釣りから遠ざかっていた。

展覧会の仕事も終わった9月23日、さいたまから友人Gさんが男の子二人を連れてやって来たのでみんなでイカ釣りに出かけた。
今季初のイカ釣りだし、友人と子供たちにもイカ釣りの楽しさを味わってもらおうと期待したが全く釣れなかった。
釣れないというより、イカの存在がなかった。

そんな状況だったが、最後にやっとこGさん釣り上げた。
小さいやつだったが、子供たちも生きているアオリイカを見ることができ、よかった!!




地元の漁師さんたちも今年はアオリイカが少ないと言う。
連れ合いが言うには魚屋さんでは小さいのが一杯400円もするのだそうだ。

昨年はいい年だったが、今年は駄目なのか。
しかし、そう思いたくはない。
まだ本格的にイカ釣りをやった気がしなかった。



Gさんたちが帰って3日目、28日。
気合いを入れ、朝まづめを狙って昨年の本命ポイントに出かけてみた。
輪島の磯である。

海は荒れ気味だったが、風は追い風、先客もいず悪くなかった。
3.5号エギを付けてフルキャストする。
追い風に乗って遠くまで飛び着水する。
朝の海に独り立ちルアーを投げる。
何も考えることなく、目の前の海と水平線だけである。
なんだかワクワクと嬉しいのであった。

しかし、噂通り渋かった。海は美しいが、沈黙したままだ。
キャストを始めて2時間、釣れたのは小さいのが一匹。
イカの釣り方を忘れたのか?
昨年のことを思い出しながら二段しゃくりや連続ダートなどやってみるのだがアタリはなかった。
でも、帰る気にはならない。時間はたっぷりとある。

気分転換、ロッドを替えてみた。
ベイトロッドである。
この冬からベイトでのイカ釣りを考えていたのだが、偶然オークションに出ていたイカ用ベイトロッドを安く手に入れた。リールはスズキ釣りに使っているアンタレスだ。して今日がそれらベイトタックルでの初挑戦というわけである。
フルキャストしてみる。やはり飛距離はスピニングに比べ5メートルくらい短い。
シャクリも案外簡単に出来るが、慣れないせいか違和感がある。
その感じは新鮮でもあり、楽しくもある。
違和感のないシャクリ方を探しているうちに、ゴッと重さが乗った。
紛れもなくイカだった。
アンタレスでイカを引き寄せる。初の体験、面白かった。
15センチクラスだったが、兎にも角にもベイトでの初イカである。



そして、次のキャスト、続けてヒット。



その次も掛かった。



突然の爆釣モードである。
時合いらしかった。
時計を見ると7時半を回ったところ。

その後もヒットは続いたが、






長くは続かず少しアタリが遠のいた。
群れが移動したのかも知れぬ、スピニングに替え遠くを狙ってみる。

しかし、アタリは戻って来ない。

30分も経っただろうか、遠くの底辺りで一際重い感触、藻の塊とも思ったがそうではなかった。グイグイと引く。ロッドの先端がお辞儀する。
遠くからゆっくりと引き寄せる。これぞイカ釣りの醍醐味である。



暫くしてやはり遠くのボトム、重さが乗った。
先程よりさらに重かった。引きも強い。
引き寄せる。
ああ!!楽し!!



18センチ。このサイズになるとやはり嬉しい。


その後、もう一匹。




そして、アタリは途絶えた。

時間は10時半。太陽は高く昇り、暑いくらいだった。

釣果は5時間粘って15杯。
その殆どは7時半前後の1時間弱のベイトでの釣果である。
大した釣果ではないものの、釣れないことはないということを確信した。



ベイトタックルでの初体験も楽しかった。
遠くは狙えないものの、手返しは良く、近場の数釣りには適しているかも知れない。
私は基本的にベイトリールが好きなので、これからこいつでのシャクリ方、釣り方を作っていくのも楽しみだ。



ロッド;オリムピック カラマレッティプロトタイプ862MH  ダイワ エメラルダスST84MB
リール;ダイワ セルテートフィネスカスタム2506    シマノ アンタレスDC
ライン;ラパラ ラピノヴァ-X マルチゲーム0.8号(セルテート) ラパラ チタニウムブレイド1.5号(アンタレス) 
リーダー:フロロカーボン3号
ルアー;デュエル アオリーQ3.5号  ヤマシタ エギ王Q3.5号各色




うっは!!27センチ、938グラム。しかし輪島ダービー甘くない。      10月23日

2010-10-25 | アオリイカ
9日にダービーに参加したものの、その後、仕事に追われ気ままに釣りに出られなかった。

それでも12日、15日、20日と3度出かけた。

12日は輪島のいつもの磯、朝まづめを狙ってみるが最大胴長20センチその他数匹。





15日は珠洲方面にでかけてみるが、大荒れと強風で本命ポイントは釣りにならず、
帰りになんとか釣りの出来るところを見つけやってみると、これが案外釣れたが、やはり胴長21センチが最高。あと15杯程度。


(強風。チッコイやつが釣れるとこのとおり。)



しかし、この21センチは登録してあるやつの三番目より大きいので入れ替えてもらうべく塩谷釣具へ。
参加した時は4位だったが、数日の間に11位に転落しており、入れ替えてなんとか9位に浮上。
いや、ダービーは甘くはないと実感する。
輪島の熱き釣り師たちは仕事前、後にと朝晩毎日やっているし、イカも日に日に成長しているのだ。


20日はもう一度珠洲方面。前回大荒れで釣りにならなかったポイントへ。
釣れるのは釣れたが、大物が出ない。
やはり胴長21センチどまり。これでは入れ替えが出来ない。
例えそれが登録したものより僅かに大きくてもそれで10位くらいを争うのは面白くない。
キロクラスが出なければ入れ替えしても意味がない。






そして23日。
この日は薪ストーブの薪作り、トラック一台分を済ませ、夕方から海に向かった。
満月だし、予報では追い風、波は0.5メートルと静かすぎるが夜の釣りには申し分なかった。
この夜だ。キロクラスを狙って一晩中粘ってやろうと心に決めていた。

夕方輪島のいつもの磯は予想通り先客が二人いた。土曜の夕方なのである。
でも、小生の好きな釣り座は空いていた。
この釣り座はちょっと離れた岩であり、行き難いということとキャストする方向が限られるので普通ここに来る人はこの岩の上でやろうとは思わない。

このポイントの一番人気の釣り座でやっていた先客に「釣れますか?」と訪ねてみると駄目だという返事が帰って来た。

さて釣り座に立ってみると予想通りいい追い風である。海はやはり凪いでいた。
この静けさでは日中は釣れないだろうなと。でも夜は分からない。

暗くなりはじめた海に第一投フルキャスト。
エギは3.5号茶色系だ。
カウント25で二段シャクリ、そして連続ダート。フォール。
着底を確認してまた連続ダートでエギを動かす。
と、乗った。
18センチ。



釣れるではないか。

第二投目、同じところ、さらに遠くに飛んだ。
着水し浅いところで軽くダートさせると、乗った。
ちょっとドラグが出るがおかまいなしに巻き上げる。
いい引き。竿先が激しく上下する。

22センチだった。
ダービーに登録してある一番でかいのと同じくらい。
いいじゃないか。よし!!




その後もバタバタと数匹釣れるが、大物は出ない。
20センチ弱。




いい感じだと思ったが、その後突然アタリはとまった。
忘れた頃にぽつっと釣れるくらい。

気が付くと、夕方の先客たちの姿は消えていて、暫くすると新たな釣り人が入ってキャストを始めた。
激しくしゃくる人で、またしゃくるのが上手い。彼の間断なくしゃくる音が暗闇に鳴り響く。
どうやらキャスト後の間とシャクリの間隔から表層を狙っている様子。

小生はあまり激しくしゃくらない。底を狙うからキャストしてからの待ち時間が長いし、シャクリも比較的おとなしい。時々激しくしゃくるが。
シャクリの彼と小生とは狙うレンジもシャクリも対照的である。さてどちらに軍配が上がるか。
しかし、小生は釣れず、彼も釣れた様子はなかった。

一晩中粘るつもりだったが、2時間もアタリがないと流石に嫌になって来た。
腹も減ったことだし、一時違う磯でやってみる手もあるなと中断、車を置いてある道路に上がってみると、エギンガーさんがいた。
彼もここでやろうと来てみたが我々がいるので入れず、様子を見ていたのだ。
9時半だったが、彼が言うにはこの時間は釣れない時間帯らしい。

握り飯を頬張りながら、しばらくエギンガーさんと話をした。
このところキロオーバーを釣り上げた人がいて、トップだったエギンガーさんは今、暫定3位であること。
キロクラスを釣らなければダービーの上位は狙えないこと。
大物を狙える他の磯は今夜は人がいっぱいで入れないということ。その他諸々。

ということは、やはり今夜はここでやるしかないのだ。
彼の笑顔と快活な話し振りになんだかやる気が蘇る。

再度釣り座に戻り気を新たにキャスト再開。
シャクリの彼も延々としゃくり続けている。

天頂近くのまん丸お月さんはくまなくまん丸で煌煌と海面を照らしていた。
ライトがなくとも足下が見える。

エギは定番のアオリーQ茶色、そいつを正面にフルキャストする。
アオリーQは動きが小さいので一番気に入っているエギだ。
数投目、遠くでヒット。
良く引いた。
リールを巻くのに手が疲れるほど。
デカイかも知れないと、玉網ですくうが、大したことなかった。(実はこの日初めて玉網を持参したのだ)
といっても、22センチを少し越えたか。



その後、根掛かりでラインを切ってしまった。
FGノットを組み直していると
シャクリの人がなにやら声を掛けて来た。
振り向くと、デカイやつをぶら下げているではないか。
「25センチくらい、800グラムくらいありそうだ!!表層だった!!」
と嬉しそうだ。

うむ、シャクリの彼に軍配が上がるのか、
いんや、そうはさせじと夜の本命オレンジのエギを付け、正面の浮き根近く潮の流れが強いポイントを狙ってフルキャスト。
なんだか気持ちが高ぶってくるではないか。

数投後、底でもわっとした鈍い感触、そしてすーっと引っぱられるような・・・すかさず合わせる!!
瞬間、重さがロッドに乗った。ロッドをぐいと引くと、重さは底から剥がれたように離れた。

水中での猛烈なジェット噴射。リールが巻けない。
激しく竿がグングンおじぎする。
大人しくなるのを待って巻く。そしてまた待ち、また巻く。
この重さ、引き、それは未経験の領域だった。

海面に浮き上がったイカは激しく水を噴射する。元気がいい。
この光景はとても愉快だ。

寄せて来るとやはりでかかった。
玉網ですくいあげた。
玉網を持って来て正解だった。先程の玉網入れが練習となりスムーズにいった。
写真を撮るのに、ぶら下げる左手がきつかった。



早速測ってみた。
おお!!27センチ。
25センチをしっかり越えていた。



シャクリの彼にイカを見せる。
「おお、よかった!!粘った甲斐があった!」
と、初めて会ったとは思えない温かい言葉。
「27センチでしたよ。」
と言うと
「一キロあるかもな」と。
えっ、これがキロクラスなのか・・・
ピンと来ないが、やんわりと嬉しさが身体に広がっていく。

この夜にキロクラスを釣るぞ、という想いが突然実現したのだ。
想いは必ず実現するんである。
勿論、秋のイカ釣りでの新記録だ。

丁度深夜0時のことだった。

シャクリの彼も小生もほぼ同じ時刻にデカイのが釣れた。
デカイやつの群れが回遊して来たのか。
しかし、彼は表層だというし、小生は底だった。
群れというより、大物が食いつく時合いだったとも考えられる。
いや、回遊して来て表層にいるやつがエギを追っかけて底で掛かったのかもしれない。

その後、二匹目を狙って延々とキャストするも
20センチクラスがぼつぽつ釣れたものの大物は掛からなかった。




気が付くと、いつの間にかエギンガーさんもシャクリの彼の隣でキャストを始めていた。

2時になるとアタリはパタリとなくなり、睡魔が襲って来て暫し休憩。
岩の上に仰向けに寝転んだ。
まん丸お月さんがわれわれのアホさ加減をじっと見ている。

寒さに震え目が覚めた。
大して眠らなかったようだ。
風が強くなっていた。
何もせずじっとしていると寒かった。

さて、朝まづめの釣りである。
この時間帯に期待した。

しかし相変わらず釣れないのであった。
20センチ弱の小さいのが2つ。
それだけであった。

周囲が明るくなり、ベタ凪の海に釣れる気配なく
三人とも釣りを終えた。

思い返せばなんと13時間もしゃくり続けたのである。
粘りに粘って狙い通りのキロクラス一匹。
この夜の事件は長く記憶に残るに違いない。


その後、三人して塩谷釣具へ直行。
シャクリの彼もダービーに参加していたのだ。

小生の27センチは938グラムだった。
他の2匹も500グラムを越えていたので、結局三匹とも総入れ替えで計1971グラムとなり20数位に落下していたのが暫定7位に再浮上したのだった。

シャクリの彼、ふみさんも800グラムを越えていたので1896グラムで暫定8位となった。小生の隣である。
まあ、今夜のところはどちらにも軍配が上がり、いい勝負だったということだな。
釣り師の顔見知りが一人増えた。




エギンガーさんはいいのが釣れなかったが3位は譲らないのであった。


(RTHがエギンガーさん)


2キロを越えれば3位圏内。後一匹キロクラスを釣りあげればトップに躍り出る。

小生のダービーの締め切りは31日ではなく28日である。
29日からは展覧会で家を空けなければならぬ。

さて、釣りに出かけられるのは後一回か二回、うまくキロを釣り上げられるか。
極めてキビシーのであるが、

しかし、

あきらめるわけにいかない。



(登録の三匹)


ロッド;オリムピック カラマレッティ862MH プロトタイプ
リール;ダイワ セルテート2506+ブリーデンダブルハンドル
ライン:ラパラ ラピノヴァ ダブルエックスシーバス 1.0号17lb リーダー フロロカーボン4号
エギ;ヨーズリー アオリーQ、プレミアムアオリーQ, ヤマシタ エギ王Q  3.5号、4号




この一匹。輪島イカダービー初参加。        10月9日

2010-10-10 | アオリイカ
金沢からイカ大好きの友人が来るという。
イカ刺しを馳走するに5杯もあればいいだろうと散歩がてら、午後から出かけた。

いつもの輪島の磯。
曇り空で雨が降りそうだったが、海は凪いでいた。
あまりいい状況ではないがイカ刺しくらいは釣れるだろうとキャストを始めた。

その一投目。
まだ集中出来ていなくてエギがどのくらい沈んだか分からないまましゃくった。
と、
根掛かり。
うっひゃ~!!最初から。

二三度しゃくっても外れない。
仕方ない。
ドラグを一杯に締め込んでラインを引っぱった。
と・・・
根が動いた。
あんららら~~~、イカだった。

根掛かりだと思ったらイカだった、ということはよくあるが
そんな時は大抵ワンランクサイズがデカイ。

重かった。もわーっと上がって来る。
そしてギュィーン、ギュィーンと強烈なジェット噴射。

こんなデカイのが掛かることは滅多にないことであって、自分の中では、うわーっ!!あんりゃー!!はずれんなー!!と大騒ぎの大事件で
願わくばもっとじっくり時間をかけてこの大事件を味わいたいのだが、事実はいともあっさりと終わってしまう。
たったの15秒ほどか。

抜き上げるとロッドがハゲシク折れ曲がり、それが抜き上げの限界のように思えた。
堂々としたオスだった。



早速測ってみた。
胴長22センチ。
前回、今季最大の20.5センチだったが、今回更新である。
毎回更新は嬉しいものがある。




ひょっとしたら今日は大物が釣れる日か・・・
気持ちは弾んだが、

その後、サッパリであった。
アタリさえない。

一時間後、全く反対の方向へ投げてひとつ。
18センチ。


(勢い良く水を噴出した瞬間。分かるかな。元気がいい。)

その後、またサッパリ。
キャストを続けるうち、ひとつの考えが浮かんで来た。

今、輪島の釣り具屋さん「しおたに」でイカダービーが行われている。
輪島の釣り師たちは毎年それに参加して盛り上がっている。
が、小生は一度も参加したことがなかった。

10月は例年展覧会で遠方へ出かけることが多く、釣りに集中出来ないのと、
競技というのが基本的に好きではないからだ。あくまでも自分のペースでのんびりやればいいと。
しかし、たまにはみんなと大きさを争うというのも遊びのひとつである。
折角、輪島に住み、釣りが出来る環境にいるのだから参加しない手はない。

ともあれ、この22センチがどのくらいのレベルなのか知りたかった。
しかし、ダービーはイカ3杯の合計重量で競うのだから、参加するにはもう一匹必要だ。

後一匹、まあまあのやつ、20センチクラスを釣りたかった。

しかし、この一匹が釣れない。

本当に渋い。なんちゅう渋さだ。このやろー。


一時間半後、エギを替えてみた。
初めて使うやつ、エギリー、ダートマックス、オレンジ。
なんとなく面白そうなエギなので手に入れていたのだが
信用がないので使ったことがなかった。

真正面にフルキャスト。
沈みがアオリーQより幾分速いようだ。
底あたりでしゃくってみる。
水を噛んだ手応えは軽い。

海中でどんな動きをしているのだろう。
アイの位置が上なので異次元のダートアクションをするらしい。
異次元のダートアクションとは何だ?
よく分からん。
軽く動いていることは分かる。
と、
ゴッと乗った。

久しぶりのイカの手応えだ。
いや、ダートマックス、釣れるんである。

20センチだった。
まあまあだ。よし。




その後、数投するも、それ以上釣れそうもなく切り上げた。


そして、塩谷釣り具さんへ。
久しぶりの塩谷さんである。
早速、ダービー参加の申し込み用紙を書いていると
ひとりお兄さんが入って来て釣ってきたイカを秤に載せた。
いやあ、でっかい!!

なんと、700グラムを越えていた。
胴長は恐らく24センチか。

なんかな、小生の22センチなど話にならんではないか。
ちょい、テンションが下がる。
でも、しかし、量ってもらう。
499グラムだった。

そのお兄さん、やはり一投目でかかったのだという。
興奮を抑えているが、流石に嬉しそうだった。
彼はすでに参加していたので、以前釣ったやつとこのでかいのを入れ替え、暫定トップだったエギンガーさんを抜いてトップに躍り出た。

でもダービーは今月一杯まで。まだこれからだ。
エギンガーさんのことだから、きっと抜き返すに違いない。

小生の3杯の合計は1140グラム。暫定4位となった。

ふっふ、なんか楽しいね。
まあ、ぼちぼちと自分のペースでやって、デカイの釣れたら持ってこよう。
楽しみがひとつ増えた。さて、何等賞になるか。
いろいろ景品もあるらしい。

友人のためのイカ刺し大会はこの3杯で充分の量だった。


釣れない日、釣れる日。                  10月2日、5日

2010-10-08 | アオリイカ
前回は予定外のポイントで思わず今期最高の釣果となったが、あのテトラが頭から離れない。
あのポイントは朝マズメ、いつもあんなに釣れるのか?

その2日後(10月2日)、同じポイントにでかけてみた。

前回と同じ釣り座に立ったのは前回と同じ早朝5時過ぎ。夜明けまで小1時間だ。
早速、キャストを開始する。前回の釣りが蘇りワクワクしながら。

ところが、・・・・・釣れないんである。

海に活気がなかった。前回は周囲では釣りが不可能なほどの荒れだったが、今回は凪いでいた。
まるで偶然のように遠くの底で19センチが一匹、15センチが一匹の2匹だけ。



ぽつぽつ掛かるのは殆ど足元で食いつく小さいやつ。

明るくなってきても釣れそうもなかった。・・・諦めた。
土曜とあって、いつの間にか釣り人がテトラに並んでいた。
移動する釣り座もない。キャストの方向もひとつ、凪いだ変化のない海、そんなところで粘る気がしなかった。

いつもの磯に移動。
そうだろうとは予想していたが、ここも渋かった。

前回女釣り師ミズノと行ったときは荒れ気味だったが今回は凪である。
いつもは周囲が凪ぎでもここは磯の先端にサラシができて波っ気があるのだが
今回はサラシも波っ気もなかった。。水も澄んでいる。

イカ釣りは荒れてない方がいいとよく言われるが、それは人間の都合であって、正確には凪ぎでも釣れないことはない、という意味だろう、と思われてしかたない。
それはメバルも同じだ。春の凪をメバル日和と言うが
イカもメバルもこれまで凪でよく釣れたという記憶がない。
魚はやはり波っ気がないと活気づかない。
どうもそう思える。

しかしその磯はキャストの場所や方向を変えられるし、なんといっても景色がいい。
粘ることが出来る。
凪の晴れた海、どれほど釣れないか試してみる価値はある。

極めて渋いが、場所を変え、キャストの方向を変え、エギの色を変えやっていると全く釣れないことはなかった。時折、思い出したように掛かるんである。








遠くの底を意識しているのでサイズは良かった。
滅多に掛からないので、掛かるとその都度、嬉しかった。
そしてイカはその都度美しかった。
模様の違いでオスとメスが判別出来る。
そういえばそのことを意識したことはこれまでなかった。

オスは横縞でメスは斑紋模様だ。それを確認しながらやると面白かった。
幾分、オスの方が抵抗が激しいような気がする。墨を吐いたり、水を噴出したり、ぶいぶい言うんである。
それに比べメスは色も模様も可愛らしく、性格もなんとなくおっとりしているようである。
小生がオスだからそう思えるのかも知れないな。うっはっは。


オス。横縞模様。


メス。斑紋模様。

オスとメスが半分半分かと思ったが、そうではなかった。
場所によるのか、全体的にか、たまたまなのか、メスの方が多かった。
といっても、数が少ないのだから統計にならないか。うっは。

とにかくいい天気。秋空は高く、気分は爽快だった。
粘っても昼までと思っていたが、こうなったら凪の海と青い秋空に、とことん付き合ってみようか、という気分になっていた。
竿を置き磯に大の字になって空を眺めているうちに眠くなって昼寝した。
岩が温かくて気持ちがよかった。






その後も状況は変わらず、いや、ますます渋くなるようであった。

日は傾いて来て、このまま終わるのかと思うが、
釣り立てのシャキシャキした刺身のことを思うと、最後にいいサイズを1匹釣って帰りたかった。
でも、手を替え品を替え、場所を変え、いろんなことをやってみるが釣れなかった。
イカはどうしたら釣れるのか?前回の釣りが夢幻のように思える。

日暮れ近く、王道ピンクのエギを付け、ラストの一投、真正面の海にフルキャストした。
底まで落とし、底を感じながらしゃくり続ける。延々と繰り返した動作だ。

でも掛からないだろう・・・・・・・と、掛かった、が、また藻だろう・・・・・
いや!藻ではなかった。
深い底から重い手応えが上がって来る。確かな生体反応。イカだった。それもかなりデカイ。
引きが違った。ロッドはしなり、ジェット噴射の度にリールを巻く手が止められる。
バレるなよと慎重に巻きあげる。
遠くの深いところから、水面に浮上する。元気のいいメスであった。
上げてみると18センチ。引きの割には大したことなかったが、上出来だ。




夕日を眺めながら磯を後にした。

まあな、こんな日もある。



その3日後。10月5日、天気は崩れた。
予報は1.5メートルの波、曇り時々弱雨。3~4メートルの南風、追い風であった。

荒れ気味の天気の方がよく釣れるんではないか、という考えを検証する絶好の状況だ。

勿論、出かけた。

検証するにはまたあのテトラでやるのがいいのだが、風向きが悪かった。テトラからでは真横からの風となる。一番やり難い風だ。
で、輪島に近いお気に入りの磯へ行ってみた。
この磯も10日ほど前、凪の時にやったことがあり、全く活気がなくてすぐに止めたことがあるので、検証にはなる。

波は1.5メートル、予報通り。
慣れない人はちょっと腰が引けるくらいの丁度いい荒れ具合だった。
風も思った通りの真後ろからの追い風であった。
よし!!




早速、早朝の海に向かってフルキャストする。
いや、風に乗って3.5号はよく飛ぶ。
50メートル前方の根のサラシに着水、いい感じだった。
なんだか海全体に活気があって釣れそうな予感に心は踊った。

エギの着底までカウントおよそ35~40であるが、
大きいうねりの波にエギもラインも翻弄され鮮明には分からない。

数投後、グンと重い手応え。乗った。
やはり活性は悪くない。
遠くから引き寄せる。案外の重さ。
胴長17センチ。



その後もどんどん釣れるという状況ではないが
釣れない雰囲気ではなかった。
丁寧に底をキープし、遠くの底に潜んでいるやつを引っぱり出す。
そんな釣りだった。


こいつは胴長19センチ。いい引きだった。



とにかく、遠くの底である。
そこでしか掛からない。

30分アタリがないことも。
普通、こんな状況を渋いというのだろうが、そうは思わない。
イカが大きくなって、近くでどんどん釣れるという時期ではなくなったのだ。

寧ろ、釣りとしてはこの方が面白い。

掛からないなあと思っていると掛かり、掛かると続けて掛かる。そしてまた暫く間があく。
そんなペースだった。










昼前になって雨が降り出した。これも予報通り。
小雨が本降りになって来たので、一時車に戻り昼飯にした。
握り飯を二つ齧り、番茶を飲む。
雨は大粒になり、激しく車の天井を叩いていた。
が、ここで帰ろうとは思わない。
その日の海はアタリは多くはないが、大物が出現しそうな予感があった。

腹ができると眠くなる。
小生の癖だ。
雨が天井を叩くリズムが睡魔を助長する。
車の中で昼寝かます。

目が覚めると雨は小降りになっていた。
少し待っているとさらに小振りに。

いざ、再開である。
そのうちまた雨は降り出すだろうとカッパを着込んだ。

午後の釣りも午前と同じような調子であった。
時折しか掛からないが、粒が揃っている。
掛かると、遠くの底からグン、グン、引きながらやって来る。
ワンヒット、ワンヒットが楽しいのである。







思った通り、また雨が降り出した。

午後から一人顔見知りがやってきた。
輪島のイカ釣り師エギンガーさんである。
彼も午前中からやっていたが、昼前帰っていった。
そしてカッパを付けてやる気満々、再びやって来たのだ。

雨はひどくなり、雨粒が背中をバンバン叩くのだが、
キャストは止めない。
エギンガーさんも雨をものともせず、しゃくり続けていた。



顔が合うと、駄目だなあ~と首を引っ込めて笑う。
しかし、小生もエギンガーさんもアホである。
こんな土砂降りの中、やっているんである。
もうヤケクソの一種独特な開放感がある。
うっはっは。

雨で靄った海面にひたすらキャストし、しゃくり続けた。

と、突然、また釣れ始める。





また止まる。

また釣れる。





いいサイズなんだが、どかっとデカイのが釣りたい。
海はいい感じなんだが。

雨は小振りになり、止むかと思えばまた本降りになった。

と、エギンガーさんが引き上げた。
どうもいいのが釣れなかったらしい。

小生もそろそろ止めにするか、などと思っていると
重いのが掛かった。底から引き剥がす。
もわっと上がって来た。
はやり遠くの底だ。
グン、グンの引きにリールが思うように巻けなかった。
遠くからなのでリールを巻くて手がだってきた。
手応えから今期最大であることは間違いなかった。
とにかく引くんである。
いや楽しい。

上げてみると思ったほどの怪物ではなかったが
今季最大、20センチを僅かに越えていた。
1~2センチ違うだけでこれだけ引きが違うのかと改めて驚いた。






その後、まだデカイのがいるかも知れないと、少し粘ってみたがこれきりだった。

すると、エギンガーさんが三度やって来た。
夕方、子供さんを迎えに行っていたのだとか。
彼は夜もやる気らしい。いやその情熱、スゴイ。

釣りは技術もさることながら、一番は情熱なんである。釣ってやるという執念なんである。
エギンガーさんは輪島のイカ釣りダービーでよくチャンピオンになるが、それもそのはずだと納得するんである。

雨の中、荒れた海での釣りだった。
釣果は胴長20.5センチ、19センチ、18センチ2杯、合わせて25杯。
一日やった割には大した数ではない。

これが、悪天候の方がよく釣れるということの実証になったかどうかは分からないが
今回は数より質の釣りであり、
小生にとっては間違いなく、いい釣りだったといえる。






ロッド;オリムピック カラマレッティ862MH プロトタイプ 
リール;ダイワ セルテート2506 
ライン;ラパラ チタニウムブレイド 0.4号 リーダー フロロカーボン3号
エギ;デュエル アオリーQ3.5号 各種  



朝マズメのテトラ           9月30日

2010-10-04 | アオリイカ
朝マズメを狙ってみた。

普段あまりやらないが、朝早くに目覚め、目が冴えてしまったのと
予報が波1メートル、南からの追い風、というので出かける気になった。

しかし、いつものポイントは予報と違い大いに荒れて一面サラシの渦、釣りどころではなかった。命が危ない。
諦めた。

帰り道、なんとか釣りの出来そうなところを捜す。

とある漁港のテトラ。
そこはイカのポイントであることは知っていたが、大きくて危ないテトラということと、磯が好きだということでこれまで避けてきたところだった。

突堤の先端、海に斜めに突き出したテトラに立った。
足元は狭く、足を踏み替えることもままならない。
眼前のまだ暗い荒れた海にフルキャストする。

しかし、腕だけのフルキャストである。下半身は動かせない。バランスを崩すと海に落下である。
幸運にも追い風、3.5号のエギは遠くに飛んだ。
着底するのに時間がかかった。カウント30、水深10メートルくらいか。
一度大きくしゃくってフォール中、・・・・ぐっと重さが乗った。一投目からである。
おっ、いい感じ。



その後も入れ食いではないがコンスタントによく掛かった。
サイズもいい。






夜が明けると遠くの磯に波が襲いかかるのが見える。
少し収まったようだったが、まだ波高2メートルはありそうだった。




そうしていつもの朝になったが、同じ調子で釣れ続けた。








8時を過ぎるとアタリは次第に遠のいていったが、それでも
キャストの方向を変えたり、エギの色を変えたりしていると、ぽつり、ぽつりとは掛かった。

近くに釣り人がひとりやってきてキャストを始めた。
キャストやシャクリからイカ釣りに慣れた人のようだった。
フルキャストではない。適当に飛ばして近くのイカを狙っているようだった。
釣り人の多くはそのスタイルである。
まあ、その方が効率はいいに違いない。数も釣れるだろう。

小生はあくまで一投一投フルキャストである。
狙うは常に遠くの底である。
一投に時間はかかるし、効率は悪いだろう。

しかし、一投に気合いを入れ全身の力で遠くに飛ばしたい。
遠くの底に落ちたエギに意識を集中させ
あくまでも大物を狙うのだ。

10時になるとアタリは完全に止まり、一時間あまり一匹も釣れなかった。

昼前、流石にやる気も失せて、最後の一投だと、エギのカラーを青にかえキャストしたところ
着水後のフォールで抱きついて来た。



青のエギはこれまで釣れる気がしないのでボックスの中で眠っていたのだが、もうヤケクソで投げてみたのだ。
青色が利いたのかどうか、その後暫く入れ食いになった。








突然の活況である。
帰るに帰れない。
とうとう昼を過ぎ、この一盛りが引いていったのは1時前であった。

考えてみれば、なんと8時間もテトラに立っていたんである。
我ながら、驚いた。
粘るのは元々得意だが、同じ釣り座で8時間というのは滅多にない。

これだけの長居ができたのは、爆釣ではないにしろ釣れ続けたということである。
適当に釣れ続ける。それもいいサイズ。

独り、じっくりと楽しめた釣りであった。

今回の発見はこのテトラがいいポイントであること、そして青色のエギが日中よく釣れるということだった。

また、触腕一本に掛かるということが少なくなり、殆どが足の付け根にフッキングしていたことは嬉しいことだった。


釣果は19センチを最大に45杯(10杯は小さくてリリース)だった。
勿論、今期最高の釣果だ。
重いクーラーボックスを下げてテトラを跳ぶのはちと厳しかった。






ロッド;オリムピック カラマレッティ862MH プロトタイプ 
リール;シマノ ソアレ30 2500HGS
ライン;ラパラ チタニウムブレイド0.4号12lb  リーダー フロロカーボン3号
エギ;ヨーズリー アオリQ3.5号 各種。 ヤマシタ エギ王Q3.5号 各種。

大阪の愉快な面々と女釣り師ミズノ       9月24日 9月26日

2010-09-29 | アオリイカ
大阪のゴム版画家一歩さんとその仲間たちがイカ釣りにやって来た。

この夏始めてやって来て一緒に海遊びをしたが、その折、面々の一人であるおのさんがイカ釣りをやりたくて道具を買ったが、まだ一匹もイカを釣ったことがないのだと目線を落とし寂しそうに漏らした。

ならば、秋にもう一度来い。
必ず釣らしちゃる。
そして記念すべく初イカの写真を撮ろうではないか。
と、ポンと胸を叩き、固い男の約束をしたのであった。

しかし、釣りは必ず釣れるとは限らない。
遠路やって来る彼らは仕事もあり一日釣りが出来るのはたった一日なんである。
それになんといっても彼らは初心者、釣りやすい、いい場所を選ばなくてはならない。
彼らがやって来る日が近づいて来るにしたがって多少心配になって来た。

このところイカ釣り三昧だったが、実はそれらはこのための調査釣行だったのだ。
調査釣行の結果は上々だった。出かける度に沢山釣れた。
今年はイカの当たり年かも知れない。
これなら大丈夫、何処へ行ってもちゃんと釣れるだろうと胸を撫で下ろしていた。

ところが、である。

彼らがやって来る日になって突然天気は崩れ、雷雨となり海は荒れ狂った。
釣りに出かける日の予報は3メートルの波、9メートルの北からの向かい風であった。
最悪である。釣りが出来る状況ではなかった。

しかし、チャンスはこの日しかなかった。
この状況で釣りが可能な場所を考えた。
波裏になり、追い風になるポイント。
一カ所あった。

今期、初めてイカ釣りに出かけ40杯釣れたポイント。
斜め左に突き出た磯の先である。
内側の海は磯が沖からの荒波を防いでくれるし、追い風になる。
そのポイントへ向かった。

今回の面々は一歩さんとコンちゃん、おのさんと嫁さんのかおるちゃん、それとおのさんの釣り友すーさんの5人である。



海沿いの道を走る。
水平線は凸凹に尖り、高波は恐ろしい形相で磯に噛み付いていた。
やべ~~、海を見るみんなの表情はそう語っていた。

でも目的のポイントは思った通り波裏で、かろうじて釣りが出来そうであり、強い向かい風も追い風になっていた。
ひょっとしたら釣れるかも知れない・・・・

早速、イカ釣りの基本を簡単に伝え、釣り開始。
おのさん、かおるちゃん、すーさんが並んでキャストし、一歩さんコンちゃんは岩の上から高みの見物である。

しかし、一向に釣れない。
イカたちもこの荒波に何処かへ避難したようだった。



30分経ち、駄目かも知れない・・・と思いかけたその時、
おのさんが何やら叫んだ。
彼を見ると、おお!!
彼のロッドのラインの先、海面にイカの姿、墨を吐きながら近づいて来る。
でかくはないがまあまあのサイズ。
おのさん、やったー!!釣ったー!!つったー!!やったー!!
もう欣喜雀躍、飛んだり跳ねたり悶えたりの大騒ぎ。



なんちゅう顔か。



しかし、驚いた。
いとも簡単に
いきなり、目標は達成されたのであり
固い男の約束は果たすことが出来たのであった。

おわり。


ということにはならんで、

釣りを続ける。

href="http://">

が、釣れなかった。
とても渋く厳しい釣りであった。

でも、諦めない。粘る。
と、そのうちかおるちゃんの悲鳴にも似た歓声。


(かおるちゃんの弾ける顔。こいつは名写真だ。)


そして、岩の上で見物したり本を読んだりしていた一歩さんもかおるちゃんのロッドを借りてワンキャストしてみた。
すると、あんらら・・・




で、この渋いおっさんも。



で、釣っていないのはスーさんだけになってしまい、
自ずとみんなの意識がスーさんに集まる。

でもスーさん釣れない。
どうもリールの具合が悪いらしく、ルアーが遠くに飛ばないようなので
差し出がましくも、小生の予備のリールを使ってもらうことに。

すると、飛ぶではないか。
で、間もなく



みんな集まってやったやったの大騒ぎ。
よかった。ほんと。

その後、スーさんがもう一匹追加。
なんとかみんなで10杯程度、イカの刺身が食える量にはなった。
そこで打ち止め、帰ることに。

まあ、この状況でこの結果、みんな大いに頑張ったといえる。

帰り道、夕日が素晴らしかった。



車を停めて記念写真。




帰ってから早速、イカ刺し大会。



やはり釣ってきたアオリイカはシャキシャキとして甘くて美味いのだ。
この顔を見よ。
みんなイカが大好きなのだ。







なにはともあれ、腹一杯になり、
楽しくシアワセな一日だった。

そうして明くる日、面々は手を千切れんばかりに振り帰って行ったのだ。

おしまい。


いや、まんだ終わらない。


大阪の面々が帰った夜、福井から女釣り師ミズノがやってきた。
彼女も福井ではまだ小さいの一匹しか釣っていないという。

で、明くる日、早朝からでかけた。
大阪の面々と出かけた日の二日後である。

天候は俄にゆるくなった。
波1.5メートル、4メートルの風である。
決して穏やかとはいえないが、二日前に比べれば大人しい海である。

大阪の面々と行ったポイントは釣れそうな感じがしなかったので
逆の方向へ向かった。

とある、磯。
やはり海に突き出した磯で好きな場所だが
昨年はあまり釣れず、足が遠のいていたポイントだった。

磯の先端に並んで立ち、キャストを始めた。




さて、釣れるか・・・・・・・・釣れたんである。




それもいいサイズがどんどこ、である。
いきなり入れ食いモードに突入であった。












しかし、入れ食いはそう長くは続かず、
その後はぽつり、ぽつり。

昼飯のおにぎりを齧り、一服した。

遠くではイカ釣りおばちゃんがやはりイカを釣っていた。
この場所に来ると必ず出会うおばちゃんだ。
ここいらは地元のおじちゃんおばちゃんが日常的にイカを釣ったり、タコを捕ったりしている。




午後になって一転アタリは止まり極めて渋い釣りとなったが、粘るミズノが一際でかいのを釣り上げた。



計ってみると19センチ。勿論、彼女の自己記録であった。



午後遅くなって、少しアタリが戻って来たようでおいらにもでかいのひとつ。



19.5センチ。今季最大。

その直後、二人同時のヒット。





おっとイカが水を噴射した。しかしカメラは大丈夫だった。同じ失敗はしないのだ。うっは。

夕暮れの海は美しい。
一日海を眺め、目一杯釣りを楽しんだ。




釣果はいいサイズが揃って27杯。
帰りの磯道、クーラーボックスの重かったこと。




大阪の面々にもこれを体験してもらいたかったのだが、
たったの二日違いで、と思うのである。
しかし、これが釣りであり、釣りの面白さでもある。

肝心なのは魚の釣果ではなく、心の釣果なんである。

時として、釣った魚より、逃がした魚の方が記憶に残るんである。

おのさん、みんな、またやろう。

おわり。


ほんとにおわりだ。



満月の下の祭り。         9月21日

2010-09-23 | アオリイカ
連日のイカ釣りである。

午前中は便所の肥汲み作業。午後からまた輪島に野暮用が出来た。
輪島まで片道25キロ。用事だけ済ませて帰ることはないんである。
午後遅くからだったが、再び懐かしの磯に出向いた。
夕暮れまでやってみようと。

昨日と同じく風は強かった。昨日は追い風だったが今日は多少追い風ながら左からの横風であった。
波は幾分収まっているようだったが、静かな海ではない。
やはり人は誰一人いなかった。

磯に降りてまずは一投、思い切り遠くへ。
左からの風は想像以上に強く3.5号エギは右へと流される。
着水後、すぐにフケをとるが、ラインは大きく右にカーブを描く。
水深は8メートル、普段ならカウント25で着底するが、30を過ぎても着底しない。
風に引っ張られスムーズに沈んでくれないのだ。

とにかくしゃくってみる。2段シャクリ。
しゃくる方向とラインの方向が一致しないのでうまくいかない。
おまけに海が荒れているので波にラインが引っ張られてアタリが分からない。

なるほど。これじゃあ人がいない訳だ。
難しい釣りだが、まるで釣りが不可能な訳ではないだろう。
時々風は弱くなったり、方向が変わったりもするのだ。

うまくしゃくれないが、しゃくっているうちゴッと重さが乗った。
大したサイズじゃないけど、とにかく釣れないことはないらしい。



しかし、その後一時間、まったく掛からなかった。
もう日暮れは迫っていた。
風向きからして右斜め前方ばかりに投げていたが考えを改める。
風上に向かって左斜めにキャストしてみる。
飛距離は短くなるが、エギの沈みは少しはましなようだった。

エギの色をスケルトン色に替えて数投目。
風が少し弱くなったタイミングでフルキャスト。
ラインはあまり膨らまず、とにかく着底するのを待った。
時間はかかるが、着底はする。
ラインに僅かなテンションを掛け、ラインを伝わってる信号に集中すれば、この状況の中でも着底を知ることは出来た。

前方の沈み根の左根元に着底。
すかさずタンタンタンと連続ジャーク、エギをジグザグにスライドさせながら浮き上がらせる。たるみを作り、カウンター気味にシャクルとエギはキビキビと動く。
そして、また落とす。

再び着底するとそーっと引いてみる。
なんだか、もわっとした重さを感じる。
微妙に引っ張っているような。この感じだ。
少し間を置いて、軽くしゃくるように合わせる。
ぐんと重さがロッドに掛かった。

根掛かりしたような重さだった。しかし、ロッドを引くと、その重さがついてきた。
おお、重い。藻の塊を引きちぎったかと思ったが、そうではない。
竿先がグングン、ググンとしなるではないか。
その重さはこれまでのやつとは格段に違った。
バレるなよ、とリールを巻いた。

えいやっと抜き上げる。
やはりでかかった。
胴長20センチオーバーか!!



メジャーで測ってみた。
どう計っても19センチだった。



左方向はでかいのだと思った。
右方向はたぷんと深く比較的静かなのだが、左手は沈み根や浮き根が多く、波が荒くてサラシも出来ている。
イカにしてもメバルにしてもデカイやつは荒いところにいるんである。

それ以後、でかいのを狙って左を狙うが、風が一段と強くなり、ルアーは流され思うようにいかなかった。
足元で時折小さいのがかかるが、これは流石にリリース。
結局2杯である。

その頃、仕事を終えた若者がやってきてキャストしていたが、やはり釣れそうな雰囲気はなかった。

磯の夕暮れは美しかった。
「兄ちゃん、夕日綺麗だね」と声をかけると、にやっと笑い
「ごろすけさんでしょう」と言う。
何故知っているのかと訪ねたが、笑うだけであった。
そういえば、どこかで会ったような顔である。
小生と同じロッド、カラマレッティ86MHlを握っていた。



辺が薄暗くなって来たところでお兄さん、顔で挨拶して帰って行った。
くりくりとした目、丸顔に愛嬌のあるお兄さんだった。


さて、どうしよう。帰ろうか。
ちょっと夕暮れまでと思ってやりはじめたが、2杯ではちょっと悔しいではないか。

空を見上げると、山の端から満月が顔を出していた。
満月の下のイカ釣りは悪くない。
イカたちもきっと満月の明かりに誘われてダンスを踊り出すに違いない。
急いで帰る用事なんかないのだ。
ここはゆっくり満月の釣りをやってみるか。

日が水平線に沈むと俄に状況が変わって来た。
まず風向きが変わった。まともな追い風だ。それに波も幾分静かになった。
月の明かりが海面の波を微かに照らし出していた。いい感じである。

エギはオレンジの3.5号。左の闇に向かってフルキャストする。
もうエギが何処へ着水したかは見えないが、およその見当はつく。
風向きは良くなったが、それでもラインは膨らんでいた。
しかし、着底はしてくれる。
およそカウント20である。
ラインを少し張り、意識を集中させ着底を読む。
エギが底に当たる微妙な手応え。
パンパンパンとハイピッチ、スラックジャークをかます。
そして待つ。また着底。
そっと引いてみる。
また連続ジャーク。その繰り返し。

夜はいいと思った。
ラインや波が見えない分、余計なことを考えない。
ひたすらラインを伝わって来る信号に神経を集中させることができる。
そして、エギの様子や、イカの様子を鮮明にイメージ出来るのだ。

そのうち、着底したエギが底を撫でるようにそっと引くと微妙なイカのアタリ。
ここで慌ててはいけない。
ちょっと間を置いて合わせてみる。
乗った。
鈍く重いものがグン,グンと抵抗しながら上がって来る。こいつもでかいか。
17センチだった。



次も全く同じパターン。
やはり掛かった。
16センチ。



そして、次もヒット。



ワンキャストワンヒットとなった。
期待通り、満月の明かりに誘われイカたちが心うきうきダンスを始めたらしい。
ダンスの相手は勿論、エギである。
エギが踊れば、イカも踊るんである。

しかし、バクハツという感じではない。
キャストし、確実に底まで落ちるのを待ち、それからシャクルのである。
ワンキャストに時間がかかる。
底に潜むやつを誘い引っ張り出し、丁寧に一匹、一匹をかけるという具合なのだ。

もう、ワンパターンである。
キャストし、カウント20で4~5回の連続しゃくり、少し待って確実に着底させる。
そして、そっと引いてみる。
気配がないときや、藻や岩に触わったところでまたしゃくる。
イカが周囲にいる気配がある時、大きく跳ね上げる必要はないと思った。

自分がイカになってみる。
目の前の餌らしいものが、大きく跳ね上がり、突然目の前から姿を消すよりは
ちょこちょこと怪しい動きをしてくれる方が気になる。
シャクリも数回スライドさせて浮かせてやるが、スライドの幅も小さい方がいいようだ。
あくまでもエギが生きているように見せるだけでいい。
エギはすぐにまた着底するが、それでいいのだ。

フォールの間に抱きつくこともあるが、底で小さく動いているほうが確実にアタックして来るように思える。
底をそっと引きずってみる。
藻にかかったのではない微妙な重さを感じる時、
イカが近寄って触っているのだ。

闇の中、それらをラインから手に伝わる触覚だけで察知する。
合わせるタイミングが微妙で面白い。
早すぎるとかかっても引き寄せる途中でバレてしまう。
そんなことが幾度かあった。
遅過ぎてもいけない。イカがエギを離してしまう。

そのワンパターンを繰り返すだけでヒットし続けた。















時折、右方向へ投げてみる。やはり底を狙うと掛かったが小さいやつばかり。
思った通り、左方向で掛かったやつは、大体いいサイズだった。




いや、なんという釣りだったろう。
手の感覚だけで勝負したのだ。
それも、イメージのままにかかってくれた。

何度も同じことをやり、なんども同じように掛かる。
底を狙う釣りをこれだけ意識的にやったことはない。

頭上にはまん丸のお月さん。
時間を忘れて集中した。

これほど楽しいことがあろうか。


再び横風が強くなり出し、底を感じることが難しくなると
途端にアタリは遠のいて行った。

腕時計を見ると10時だった。

自分流かもしれない。が、イカ釣りのひとつのパターンというものが掴めたようであった。
これからもそれが通用するとは限らない。
しかし、それが宝のひとつになったことは確かだった。

嬉しいことがもうひとつ。
それはあれだけ底を狙ったにかかわらず、エギのロストが全くなかったことだった。

なんだか夢幻のような釣りだった。
イカたちは踊り、小生も踊ったのだ。

2杯だった釣果はいつのまにか35杯になっていた。
またみんなにおすそわけだな。





ロッド;オリムピック カラマレッティ86MHプロトタイプ 
リール:シマノ ソアレ30 2500HGS
ライン;ラパラ チタニウムブレイド0.4号 リーダー フロロ3.0号
エギ;ヨーズリー プレミアムアオリQ 3.5号 ヤマシタエギ王Q 3.5号 ピンク、オレンジ、ブルー ブラウン 

イカの逆襲と懐かしの磯            9月17日

2010-09-22 | アオリイカ
初釣りの二日後、二匹目のドジョウを狙って同じポイントに出かけた。
時間も入れ食いになった午後2時を狙った。
しかし、というか、やはり柳の木の下に二匹目のドジョウはいないのである。

天気は快晴、申し分ない日だった。
しかし、活性は極めて低かった。釣れそうな雰囲気がないのである。
一昨日の爆釣は単なる偶然だったのか、いや、その日は午後になって俄に雲が出てどんよりとしてきての爆釣だった。
快晴は良くないのかもしれない。
いろいろ理由を考えてみるが、実際のところ分からない。

しかし、そのうちやっと一匹目がかかった。
サイズもまあまあ。で、ともあれの一匹だと記念写真を撮ろうとカメラを出した。
それもでっかい目をアップで撮ってやろうとカメラをぐっと近づけた。
その瞬間!!・・・・ブッシュー!!!
やつは勢い良く水を噴出した。

あっ!!と思ったが遅かった。見事水はカメラに命中。ずぶ濡れ。
慌ててスイッチを切ったが、カメラはジジジーと嫌な音を立てレンズを引っ込める途中で止まり固まっちまった。
まだ新しかったデジカメは完全に昇天しちまったのだ。

このやろー!!とイカを睨みつけたが、イカはまん丸い可愛い目のまま、何もなかったようにこちらを見つめている。
これはイカの逆襲なんである。
と思った。
まあ致し方ない。

気を取り直し、逆襲に負けてたまるかと釣り続けた。
活性は変わらず悪いままだったが、
時折ぽつり、またぽつりと全く釣れない訳ではなかった。

粘りに粘って20杯の釣果。最大は16センチ。

金沢から友人が遊びに来ていたが、彼女に刺身を馳走するに十分な量であった。

しかし迂闊であった。コノヤロ。

というわけで、生きのいい写真はないのだった。




その三日後、9月20日
釣り用デジカメを買いに輪島に出かけた。
釣った魚の写真はなるべく撮ろうと思っている。
写真は小生にとって、確かにお前というやつを釣り上げ、お前を殺し食ったのだ。という出会いの儀式であり弔いなんである。

壊れたカメラを修理出来るかと一応聞いてみると、修理代がその機種の新しいモデルと同じ値段だと言う。新しいモデルを買った。

昼過ぎ、輪島に出たついでに懐かしいポイントを覗いてみた。
輪島市街近くの磯である。
気に入って何度も通ったところだが、昨年は輪島近辺は不調だったので足は遠のいていた。
二年ぶりであった。
ここはイカで知られたポイントなので人が多いかと思いきや誰もいなかった。
波は1.5メートルとみた。イカ釣りには荒れ過ぎだ。それで誰もいないのかも知れぬ。
小生はどちらかというと荒れ気味の方が好きである。
これは好都合だと、とにかくやってみることに。

荒れているものの風は追い風だった。
3.5号をフルキャストすると遠くの波間に着水する。
いい感じだ。暫くエギを沈ませ軽くしゃくってみる。
と、掛かった。
あんりゃ、釣れるではないか。
早速買ったばかりのカメラで撮影してみる。安物だが使いやすそうだ。
イカが水を噴射しても大丈夫な位置で構える。まあひとつ勉強した訳である。



さて、次のキャストでまた掛かった。
中層から深層である。



その次もヒット、いきなりの入れ食いである。



しかし、一時間も続かない。10杯程度の連続で終わってしまった。

暫し一服。
少し前やってきて小生の10メートル離れたところで餌釣りを始めたおばあちゃんが可愛いシマダイを釣り上げた。
そのおばあちゃんと顔が合った。
小さなシマダイ、恥ずかしかったのか、おばあちゃんがにんまりと笑った。
なんと楽しそうな顔であることか。心底遊んでいるのだな。
しかし、こんな磯の崖である。怖くはないのだろうか。
不思議なおばあちゃんであった。



その後はぽつり、ぽつりの釣りであった。
サイズはまあまあ。あまりに小さいのはリリース。





ふと空を見上げると、夕暮れの空を雁の編隊が飛んでゆく。何処かのねぐらに帰るのだ。



小生も暗くなる前に帰ろうと思った。

釣果は25杯。最大は15センチだった。

この懐かしいポイントは今もちゃんと生きていた。
しっかり釣れたのだ。
そいつが嬉しかった。