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永遠に、幸せになりたい。    by gorosuke

真夜中、いいおっさんが独り海に向かって延々と竿を振る。
アホだな。でもこのアホ、幸せなんだよなあ。

 ひねもすのたり のたりかな

2012-04-11 | クロダイ
久しぶりの更新。

釣りを忘れたわけじゃない。

3月に入ってさてと二度ばかり出かけたが、
二度とも予想外の荒れと強風、寒さで釣りにならなかった。

なんだか今年は季節が二週間、いや一ヶ月くらい遅れているのではないかとも思われた。

そんな思いと仕事のこと。

今年に入って、新しいスタイルで仕事を始めた。
怠け者の私が、とにかく一日一つは版画を彫る、と決め、それを続けて2ヶ月を過ぎた。
自分でも信じられないくらい毎日彫刻刀を握っているのだが、その仕事のリズムと流れが先行してしまい、釣りへのタイミングを逃してしまうことが多かった。
まあ、新しいスタイルが案外面白かったのである。

そうして気が付けば、4月である。

部屋の隅に置いてあるロッドもリールも静かに眠り込んでいた。
そろそろ起こしてやってもいいか。
私の錆びかけた釣りの心も磨きなおそう。

予報を見ると、1メートルの波、風も良し、気温も10度。
やんわりと釣りへのイメージが蘇って来る。
早めに晩飯を掻き込み、ロッドとリールを叩き起こした。

先ずは本命ポイント。
というか、デカメバルが期待出来そうなポイントを他に思いつかないのだ。
いや、我がポイントの少なさよ。

釣り座に立ったのは7時過ぎ。辺りはまだかすかに夕方の余韻を残していた。
風は追い風3メートル、やんわりとした春の風だが
海はあんらら・・・・ベタ凪だった。

なんだか期待出来そうもない状況だが、ともあれプラグから始めることに。
アスリートリップレスを風に乗せてフルキャストした。
9.3フィートのロッドである。よく飛び、何処に着水したか分からない。

先ずは表層をゆっくり引いて来る。
魚が食い付いて来る感触を思い出しながら。

二投目、遠くでガツンと来た。
プラグに食いつく独特の感触。
案外の引きと重さだった。
久しぶりのメバルの躍動がピキピキと伝わって来る。いい感じ。

暗い海面にメバルの暴れる白い波が見える。
ゴリ巻く。

メバルが白い筋となって近づいてくる。
えいやっ!!と抜き上げる。


26センチだった。


久しぶりのメバルの顔、形だった。
何度も見た姿だが、ナマの顔はやはりいいもんだ。

ベタ凪だが、いいスタート。

期待するが、その後ぷっつり。


プラグからワーム、カブラとルアーを替えてみたし
方向も、レンジもいろいろと思いつく限りのことをやってみるのだが音沙汰なし。

やはり凪ぎはこんなもんか。
だが、帰るにはまだ早い。


暫し一服。ポットに入れた熱いコーヒーを喉に流し込み、煙草に火をつける。

月はなく、正面に北斗七星がいる。左手の低いところに惑星が一際大きく輝き、海面にボンヤリと光の道筋を作っている。木星か土星だろうが分からない。

静かでまったりとした春の海であった。


まさに蕪村の句の通りである。

「春の海 ひねもすのたり のたりかな 」



気を入れ直し、キャスト再開。

いろいろやってみるが、結局のところ、フロートリグに長めのリーダー(1メートル強)、0.5グラムのジグヘッド+ガルプを遠くにキャストし、ゆっくりと、ほんのゆっくり移動させながら小さいアタリに集中する、というのがまだしも一番可能性があった。

時折アタリが出はじめ、2度まあまあのをバラしたが、時合いや群れのようなまとまったものではなく、てんでバラバラのものだった。

当るも八卦、当らぬも八卦、なんだかとりとめのない釣りである。

と、当った!!

23センチ。



その数投後、小さいアタリ、グググと言うような、妙なアタリ、
合わせるとグンと重さがロッドに乗った。
いきなり走った。
下へ潜ろうとするのを強引に浮かせる。

抜けるなよ・・・・

抜けなかった。



28センチだった。



このサイズ、やはりいないわけじゃない。


時計を見ると9時を過ぎたところ。

さて、これからだ、と再び気を入れ直し、
28センチが食いついた辺りを集中して狙うが、
突然風が強くなって横風となり、キャストもままならなくなってきた。

それでも風向きを計算に入れたキャストで粘っては見るが、
23センチが一つ、バラシが一つ。




粘ることが得意な私だが、風はますます強くなり、突風に身体が持って行かれそうになる。
アブナイ!!と感じた。


11時

諦めた。



大した釣果ではないが

私の遅い春メバル一番だった。







28.26センチの胃の中からこんなやつが出てきた。

みんな一様に消化されていないところを見ると、釣れた時間は違うけど、その時がその魚の時合いだったのだろう。






ポッパークロダイは愉快だな。                          7月19日

2011-07-20 | クロダイ
釣り友O君と朝まづめのクロダイ釣りに出かけた。

7月のこの時期、メバルが終わった頃、ルアーでのクロダイ釣りのシーズンが始まる。
昨年はこの釣りをやらなかったので2年ぶりである。

O君からの誘いに一も二もなく乗ったのは、この釣りが極めて面白いからだ。
トップウォーターでの釣りである。トウッチでのルアーの動きやルアーに食いつく魚の様子もよく見えてそれは楽しいのである。もう想像するだにワクワクしてくるではないか。

午前4時、夜の帳が開け始めた頃、待ち合わせ場所に到着。
間もなく軽トラに小さなボートを積んでO君がやって来た。いつもの笑顔である。ほんと男というものは釣りとなるともう手放しと言うか、少年の笑顔になるのだ。

さて現場に到着、田んぼの畦を歩き二人でボートを海辺まで運び、道具を積んでいざ乗り出した。
軽トラに積めるくらいのサイズのボートである。これで二人乗れるのかと思ったが、意外とそう窮屈な感じはしない。只、キャストする方向は同じか逆かそのふたつに限られるのだが。
勿論、オールで手漕ぎであるがそれがまたいいのである。

基本的に遊漁船に乗っての釣りは釣りとは思っていないが、このような小さな手漕ぎボートでの釣りはまずお金がかからないこと、そしてポイントも道具も自分で考えるということから私の釣りの範疇に入ると思っている。陸からの釣りとそう変わらない。

水深2~4メートルの浅い海である。底にはアマモなどの海藻が繁茂し緩やかな潮の流れに任せて揺れている。凪の奇麗な海である。



先ずはポッパーをキャストする。
軽くトウッチを入れると、シュポ!シュポ!!という音を立て、水を弾きながら動くのだが、その様子がいかにも「ここだ、ここにいるぞ」と周囲の魚たちに知らせているようで面白い。

と、何かが水面を跳ねた。
ボラか、と思ったが
「シーバスですね」とO君。
スズキもボラのように魚体を全て海面から出し跳ねるのである。
ただし、その様子はボラとは違いジャンプ後、イルカのように頭から海面に突っ込むようだ。

その方向にキャストしてみる。
と、ガバッとスズキがジャンプ、ルアーにアタックした。
それは何とも素敵な光景だった。
よく釣具ショップのロゴになりそうな光景。魚がジャンプしてルアーにアタックしている、その図柄そのままの光景だった。

「でかいですね」とO君。
ロッドは絞り込まれ、ドラグが出てゆく。
ロッドはメバル用だが、このディープ83は少々のスズキは大丈夫。
よし!と寄せにかかる。
激しく走るスズキ。いい感じ、と思いきや
そこで、すこん、と抜けちまった。

まあいい。
今日はクロダイ釣りなのだ。

と、気持ちを入れ直し、クロダイに集中。
ボートはアンカーなるものがないので、自然にゆっくり流され、船も回転するわけで自ずとルアーが着水するポイントも違ってくる。これがいい。

暫くすると、出た!!
魚が出る、という表現があるが、まさにトップでの釣りにはピッタリの言いようである。
ガバッと出る。下から来てポッパーに襲いかかった。
そしてうまく乗った。

クロダイの引きは独特である。
鋭くて激しく、強い。もう最高の手応えである。
銀色の魚体を翻しながら上がってくる。
O君が玉網ですくってくれる。
40センチオーバー、いい型だった。
「とにかく釣れましたね。」と喜んでくれる彼である。




その後、出て来るものの乗らない。
途中でバレてしまう、というのが続いた。
「ルアーでのクロダイ釣りはバラシが多いです。」
「口が小さいですからね。」と彼。
納得。

しかし、魚がいないわけではない。

オールで漕いで少し場所を移動し、またキャストを繰り返す。

30分も経ったろうか、
O君と喋りながらルアーを引いていると、出た。
乗った。でもまたバレるか、いやバレなかった。
しっかりフッキングしていた。
こいつもいい引きだった。



その直後、また出た。
こいつは大きかった。
始めはスズキかと思うほど重く、強かった。
何とか引き寄せ、魚体が見えた。やはりデカイ。よし。
そして、やつの顔が見え、身を翻したその瞬間、
カクン、と抜けちまった。

バラシが多いとはいえ・・・・・残念無念。


その後、アタリは途絶え、また移動。

海底は藻から沈み根が多くなった。潮の流れが強くなったとみえ、ボートが流される速度が速くなった。

今回、気がつけば不思議なことが一つあった。
アタリが私に集中しているのである。どういう訳かO君にアタリが来ない。
はっきり言って私はクロダイ釣りに関しては殆ど初心者であり、彼はスズキと同様猛者である。このポイントも彼のフィールドであり、釣り方も熟知している。
なのに、である。

私のやり方はよく分からないということもあって、とにかくアタリのあったルアー(ジャクソン、RAポップ、シラスカラー)を只ひたすら投げ続け、同じリズムでトウィッチし続けているだけなのである。
トウィッチのリズムも少し速すぎるらしい。もう少し遅い方がいいと彼は言うのだが、せっかちな性格なのか、つい速くなっちまう。
しかし、この時はその私のやり方、タイミングがピッタリと合っていたのではないか、と彼は言う。
いや、私の投げるルアーがたまたま魚の目の前に落ちただけ、とも思えるのだが、ともあれ、彼にはバラしどころかアタリさえなく、私だけに当るのである。

3匹目も私に来た。





流石にこうなると、彼も少しは焦るんである。いろいろと考えルアーを次々に交換したりしてやってみる。

と、やっと来た。クロダイ用のペンシルであった。
ガバッと水面が盛り上がるように彼のルアーに飛びかかった。
「やっと来ましたねぇ、ボクにも」と笑う彼。
しかし、バレてしまった。デカイやつだったが。

その後も彼に来る。
でもやはりバラしてしまう。

その後は二人とも時折ヒットするものの、乗らなかった。

気がつけば、ボートは相当遠くまで来てしまっていたので
帰りながらの釣りとなった。

日は高くなり、時刻も8時を回っていた。

「クロダイの時合いは決まっていません。いつでも釣れたりします。」
と彼は言うのだが、この朝は日が高くなるにつれてアタリは遠のいた。

ここで一息、朝飯の握り飯を頬張り、お茶を乾いた喉に流し込む。
凪いで穏やかな海、時々落ちてくる雨粒が涼しくて気持ちよかった。




半分くらい戻ったところで、突然のように私に来た。
ルアーが突然姿を消し、ロッドが絞り込まれた。
強い引きだったが、近くまで引き寄せ見えた魚体は引きの割にはデカくなかったがしっかりとフッキングしていた。





暫くして、とうとうO君に来た。
「やっときました!」

引き寄せる彼。バレるなよ。
今度こそはしっかりフッキングしていた。
しかし・・・
あがったのはクロダイに違いないが・・・うっはーー!!



もう苦笑いの彼であった。


その後はアタリは途絶え、我々の釣りは終わったのだ。

結局、私4匹、O君ゼロ、ということになった。うっはっは。
偶然だとは思うが、悪い気はしない。
まあ、たまにはこんなこともあっていいではないか。

いつもは逆なのだから。

クロダイのデイゲームは実に楽しい。
近いうちにまたやろう、と別れた。

その夜は遠方からの来客もあり、黒鯛の刺身、塩焼きの大宴会。
海が綺麗なせいだろう、もう感動の美味さだった。


O君ありがとう。

でした。



(最大42センチ)