永遠に、幸せになりたい。    by gorosuke

真夜中、いいおっさんが独り海に向かって延々と竿を振る。
アホだな。でもこのアホ、幸せなんだよなあ。

ラストチャンス          10月27日夜

2010-10-30 | アオリイカとスズキ
27日の夜がイカダービー、一発逆転を狙ってのラストチャンスとなった。

羽咋の若き釣り友O君が一緒である。
「デカイの狙って一晩中、体力の限りやりましょう!!」
と彼はやる気満々燃えていた。


晩飯後、前回の磯へ行ってみると荒れていた。
2メートルの波。ポイントはサラシの渦、おまけに強い横風。
・・・・・・・・・

移動することに。

とある漁港の突堤先端のテトラ。
一ヶ月前、やはり荒れてどうしようもない時、ここに来て40杯釣れた場所であり、
先日、キロオーバーが上がったというポイントでもある。

しかし、いつもは釣り人たちが争うこのポイントに誰もいなかった。
幸運なのか、あるいは・・・・

いざ、竿を担いで危ういテトラを渡り、先端まで行ってみると誰もいない訳が分かった。
暗くて分からなかったが、やはり激荒れなのであった。
波は1.5メートルでなんとか釣りはできそうだが、うねりがあって、時折テトラにぶち当たった大波を背中から被った。
追い風でキャストは出来る。しかし、流れが速過ぎた。
正面に投げたエギが着底も確認出来ないまま、回収するときは右横からやって来る。

それでも底を探っていると一匹掛かった。20センチ。




ほぼ同時にO君も20センチを釣り上げた。

釣れない訳ではないらしい。
いや、こんな日の方がかえって大物が釣れるかも知れない。

底は難しいので潮目を狙い表層をしゃくってみる。

が、駄目である。
とんとアタリがない。

考えられることは全てやった。
カラーを替えたり、重いやつを使ったり、方向やレンジを変えたり、しゃくり方をいろいろやってみたり・・・・・・・

でもかからない。

大物どころではない。
あたりもかすりもしない。

2時間経過・・・・・

一発逆転の期待が遠のいていく。
この夜しかないというのに・・・・

潮を被ってすでに全身ずぶ濡れ。
ああ、これで終わりか・・・

でも粘る、粘る・・・・・

しかし、イカへの気持ちは次第に薄れ
代わりにスズキへの気持ちが頭をもたげる。

こんな日はスズキだよなあ、やっぱり。

右方向、突堤の先の潮が入り乱れて流れているポイントが気になった。

我慢出来ず、スズキのルアー、ショアラインシャイナーMM13を付けて投げてみた。
と、5メートル巻いたところでゴゴン!!ときた。

乗った!!

強烈な引き。
ドラグは先程のエギの根がかりを回収するのに締め込んだまま、緩める暇もない。
イカロッドが心配になるくらい折れ曲がった。

テトラ近くになって潜った。突っ込む!!
その力、凄かった。

思い切りロッドを引くと身体が前に出る。
危ない!!落下寸前。
踏み替えも出来ないほどの不安定な足元である。

竿先が下へ絞り込まれたまま耐える。
だが、とうとうラインブレイク。
見ると、リーダーの先、スナップの結び目が切れていた。

そのことO君に告げると、
「シーバスですよね、やっぱ、今日は」
と彼もルアーを付け替えキャストを始める。

と、彼もすぐにヒット。
足元まで引き寄せ、ランディングだが、これが難しかった。

スズキ用の玉網を持って来てない。あるのはイカ用の小さい玉網だ。
しかも、足場は斜めに突き出したテトラのてっぺん。
そして1.5メートルの寄せ波、引き波である。時々うねりの大波が来る。

一人では到底無理、小生が玉網入れをする。
玉網になかなか入らない。やっと頭を入れ上げようとしたところ、魚は網から飛び出し落ちてしまう。あんりゃりゃ、ごめん、失敗。

そして、小生がまたヒット、今度は慎重に寄せてO君が玉網入れしてくれるが、これがまたなかなかうまくいかない。
もたついている間にフックアウト。

その直後、 O君にまたヒット。
今度はもたついている間に魚が大きい寄せ波にさらわれテトラの奥へ、ラインがテトラに擦れてラインブレイク。

そこでのランディングは難しいと実感。
場所を移動。
テトラではなく、突堤の中程まで戻り、漁港の内側を狙うことに。

このポイントは釣りを始めた頃、専らスズキを狙って通った場所である。
この漁港のスズキ釣りの一級ポイントである。
足場はいいし、ランディングも楽なところだ。
外側と違い波もワンランク落ちている。

O君が定番の釣り座、小生は一段高いところからキャストした。
小生の釣り座は足場が高くあまりやる人はいないが、ヒットすればO君に玉網入れしてもらえばいいのである。

突堤の先のテトラの内側にサラシが出来ていた。そこを狙ってキャストする。
数回リールを巻いたところでガツンと来た。

もうゴリ巻きである。
グングン巻いた。
が、途中根に潜られ動かなくなった。
駄目かと思ったが、ゆっくりと引っぱると出て来た。

それからまた走る。
しかし逃がさない。
重くて素直にリールが巻けない。立てたロッドを倒しながら巻き、また立てる。
ロッドを持つ右腕の筋肉が悲鳴を上げる。
上からなので魚体がよく見える。
近くまで寄せるとラインがコンクリートにこすらないよう気を付け、歩いてO君のところまで誘導する。
うまくいった。
O君が小さい玉網をうまく使って上げてくれた。

計ってみると75センチ。
今年のスズキの最大であった。



しかし、その後、掛からなかった。
何処へ投げても、うんともすんともである。
O君もサッパリだと言う。

で、突堤の先に戻ろうということに。
ランディングが難しいが、ヒットしなければ意味がない。

元の釣り座に戻り、ランディングの段取りを確認し合った。
まず、どちらかがヒットしたら、もうひとりが即座に釣りを止め、玉網を持つ。
そして海に突き出したテトラの先でランディングする。ラインがテトラに接触しにくい位置はそこしかなかった。
足場が狭く二人並ぶことが出来ないので、玉網を持つ方が先に立ち、ロッドを持った方がその後ろに構える。
それが最善策だった。

で、キャスト再開。12時半だった。

案の定、この釣座から右斜め45度にキャストするとすぐにヒットした。
漁港と外海の境目辺り、潮の流れの速いポイントだ。

O君は年間400本はスズキを釣り上げるスズキの名手だ。
ロッドもスズキ用に替え、ルアーも沢山持ってきた。

もう水を得た魚のようにキャストする。

ヒットルアーはブルースコードスリムやバリステックミノーなどのリップレス系だ。

熱かった。

数投に一投はヒットする。
スズキのヒットはやはり楽しいんである。
寄せる途中、波間に白いしぶきが立ち上がり、魚の生々しい躍動が直に伝わってくる。

掛かった!!
の声で、もう1人が直ちにルアーを回収、玉網を持ちテトラの先へ。
ロッドを持った方がその後ろに立ち、寄せた魚をテトラに入られないよう誘導する。
そして玉網入れ。

が、やはりうまくいかなかった。
魚体は目の前に見えているのに寄せ波、引き波が邪魔をする。
もたついている間にフックアウトしたり、波にさらわれテトラの奥へ、揚げ句の果てのラインブレイク。

それを何度くりかえしたか。

一度はうまく玉網に入ってくれたが、上げる途中、とうとう柄が折れてしまった。

うまくランディングできたのは4匹に一匹だった。
うまくいったというのは、玉網に入ったのではなく、魚に掛かったルアーのフックを玉網に引っかけかろうじて抜き上げることができたのである。
その方法しかなかった。









いつしか雨も降り出し、下からは波、上からは雨で、もう全身ビショビショなんであった。
後から客観的に振り返ると、深夜の雨の荒海でなんとアホなことを、と思うのだが、
その時の現場の当事者としてはこんなに面白く楽しいことはないんである。

ふとイカのことが頭をよぎるが、ますます荒れる海を見るにつけ、
諦め切れないイカへの想いを振り切るようにスズキへ集中したのだった。


ヒットが続いたのは2時間ほどだったか、その後は次第にアタリは遠のいていった。
そして、夜明け前に釣りを終えた。
雨は止む様子もなく容赦なく降り続け、寒さと体力の限界だった。


ふたりして20回はヒットしたが
結局、獲ることが出来たのはO君が3本、小生が2本の五本だった。

というわけで、

イカダービーの一発逆転はならなかったものの

予期せぬ、ハゲシク熱い幕切れとなったのだった。





(O君の70オーバー)





ロッド:オリムピック カラマレッティ863 MH プロト
リール;ダイワ  セルテート2506フィネスカスタム スプール2508 ブリーデンWハンドル
ライン;ラパラ ラピノヴァ ダブルエックスシーバス 1.0号17lb リーダー フロロカーボン4号
ルアー;バリスティックミノー100 ブルースコードスリム、レイジー110 モンスーンブレイカー(etc)














うっは!!27センチ、938グラム。しかし輪島ダービー甘くない。      10月23日

2010-10-25 | アオリイカ
9日にダービーに参加したものの、その後、仕事に追われ気ままに釣りに出られなかった。

それでも12日、15日、20日と3度出かけた。

12日は輪島のいつもの磯、朝まづめを狙ってみるが最大胴長20センチその他数匹。





15日は珠洲方面にでかけてみるが、大荒れと強風で本命ポイントは釣りにならず、
帰りになんとか釣りの出来るところを見つけやってみると、これが案外釣れたが、やはり胴長21センチが最高。あと15杯程度。


(強風。チッコイやつが釣れるとこのとおり。)



しかし、この21センチは登録してあるやつの三番目より大きいので入れ替えてもらうべく塩谷釣具へ。
参加した時は4位だったが、数日の間に11位に転落しており、入れ替えてなんとか9位に浮上。
いや、ダービーは甘くはないと実感する。
輪島の熱き釣り師たちは仕事前、後にと朝晩毎日やっているし、イカも日に日に成長しているのだ。


20日はもう一度珠洲方面。前回大荒れで釣りにならなかったポイントへ。
釣れるのは釣れたが、大物が出ない。
やはり胴長21センチどまり。これでは入れ替えが出来ない。
例えそれが登録したものより僅かに大きくてもそれで10位くらいを争うのは面白くない。
キロクラスが出なければ入れ替えしても意味がない。






そして23日。
この日は薪ストーブの薪作り、トラック一台分を済ませ、夕方から海に向かった。
満月だし、予報では追い風、波は0.5メートルと静かすぎるが夜の釣りには申し分なかった。
この夜だ。キロクラスを狙って一晩中粘ってやろうと心に決めていた。

夕方輪島のいつもの磯は予想通り先客が二人いた。土曜の夕方なのである。
でも、小生の好きな釣り座は空いていた。
この釣り座はちょっと離れた岩であり、行き難いということとキャストする方向が限られるので普通ここに来る人はこの岩の上でやろうとは思わない。

このポイントの一番人気の釣り座でやっていた先客に「釣れますか?」と訪ねてみると駄目だという返事が帰って来た。

さて釣り座に立ってみると予想通りいい追い風である。海はやはり凪いでいた。
この静けさでは日中は釣れないだろうなと。でも夜は分からない。

暗くなりはじめた海に第一投フルキャスト。
エギは3.5号茶色系だ。
カウント25で二段シャクリ、そして連続ダート。フォール。
着底を確認してまた連続ダートでエギを動かす。
と、乗った。
18センチ。



釣れるではないか。

第二投目、同じところ、さらに遠くに飛んだ。
着水し浅いところで軽くダートさせると、乗った。
ちょっとドラグが出るがおかまいなしに巻き上げる。
いい引き。竿先が激しく上下する。

22センチだった。
ダービーに登録してある一番でかいのと同じくらい。
いいじゃないか。よし!!




その後もバタバタと数匹釣れるが、大物は出ない。
20センチ弱。




いい感じだと思ったが、その後突然アタリはとまった。
忘れた頃にぽつっと釣れるくらい。

気が付くと、夕方の先客たちの姿は消えていて、暫くすると新たな釣り人が入ってキャストを始めた。
激しくしゃくる人で、またしゃくるのが上手い。彼の間断なくしゃくる音が暗闇に鳴り響く。
どうやらキャスト後の間とシャクリの間隔から表層を狙っている様子。

小生はあまり激しくしゃくらない。底を狙うからキャストしてからの待ち時間が長いし、シャクリも比較的おとなしい。時々激しくしゃくるが。
シャクリの彼と小生とは狙うレンジもシャクリも対照的である。さてどちらに軍配が上がるか。
しかし、小生は釣れず、彼も釣れた様子はなかった。

一晩中粘るつもりだったが、2時間もアタリがないと流石に嫌になって来た。
腹も減ったことだし、一時違う磯でやってみる手もあるなと中断、車を置いてある道路に上がってみると、エギンガーさんがいた。
彼もここでやろうと来てみたが我々がいるので入れず、様子を見ていたのだ。
9時半だったが、彼が言うにはこの時間は釣れない時間帯らしい。

握り飯を頬張りながら、しばらくエギンガーさんと話をした。
このところキロオーバーを釣り上げた人がいて、トップだったエギンガーさんは今、暫定3位であること。
キロクラスを釣らなければダービーの上位は狙えないこと。
大物を狙える他の磯は今夜は人がいっぱいで入れないということ。その他諸々。

ということは、やはり今夜はここでやるしかないのだ。
彼の笑顔と快活な話し振りになんだかやる気が蘇る。

再度釣り座に戻り気を新たにキャスト再開。
シャクリの彼も延々としゃくり続けている。

天頂近くのまん丸お月さんはくまなくまん丸で煌煌と海面を照らしていた。
ライトがなくとも足下が見える。

エギは定番のアオリーQ茶色、そいつを正面にフルキャストする。
アオリーQは動きが小さいので一番気に入っているエギだ。
数投目、遠くでヒット。
良く引いた。
リールを巻くのに手が疲れるほど。
デカイかも知れないと、玉網ですくうが、大したことなかった。(実はこの日初めて玉網を持参したのだ)
といっても、22センチを少し越えたか。



その後、根掛かりでラインを切ってしまった。
FGノットを組み直していると
シャクリの人がなにやら声を掛けて来た。
振り向くと、デカイやつをぶら下げているではないか。
「25センチくらい、800グラムくらいありそうだ!!表層だった!!」
と嬉しそうだ。

うむ、シャクリの彼に軍配が上がるのか、
いんや、そうはさせじと夜の本命オレンジのエギを付け、正面の浮き根近く潮の流れが強いポイントを狙ってフルキャスト。
なんだか気持ちが高ぶってくるではないか。

数投後、底でもわっとした鈍い感触、そしてすーっと引っぱられるような・・・すかさず合わせる!!
瞬間、重さがロッドに乗った。ロッドをぐいと引くと、重さは底から剥がれたように離れた。

水中での猛烈なジェット噴射。リールが巻けない。
激しく竿がグングンおじぎする。
大人しくなるのを待って巻く。そしてまた待ち、また巻く。
この重さ、引き、それは未経験の領域だった。

海面に浮き上がったイカは激しく水を噴射する。元気がいい。
この光景はとても愉快だ。

寄せて来るとやはりでかかった。
玉網ですくいあげた。
玉網を持って来て正解だった。先程の玉網入れが練習となりスムーズにいった。
写真を撮るのに、ぶら下げる左手がきつかった。



早速測ってみた。
おお!!27センチ。
25センチをしっかり越えていた。



シャクリの彼にイカを見せる。
「おお、よかった!!粘った甲斐があった!」
と、初めて会ったとは思えない温かい言葉。
「27センチでしたよ。」
と言うと
「一キロあるかもな」と。
えっ、これがキロクラスなのか・・・
ピンと来ないが、やんわりと嬉しさが身体に広がっていく。

この夜にキロクラスを釣るぞ、という想いが突然実現したのだ。
想いは必ず実現するんである。
勿論、秋のイカ釣りでの新記録だ。

丁度深夜0時のことだった。

シャクリの彼も小生もほぼ同じ時刻にデカイのが釣れた。
デカイやつの群れが回遊して来たのか。
しかし、彼は表層だというし、小生は底だった。
群れというより、大物が食いつく時合いだったとも考えられる。
いや、回遊して来て表層にいるやつがエギを追っかけて底で掛かったのかもしれない。

その後、二匹目を狙って延々とキャストするも
20センチクラスがぼつぽつ釣れたものの大物は掛からなかった。




気が付くと、いつの間にかエギンガーさんもシャクリの彼の隣でキャストを始めていた。

2時になるとアタリはパタリとなくなり、睡魔が襲って来て暫し休憩。
岩の上に仰向けに寝転んだ。
まん丸お月さんがわれわれのアホさ加減をじっと見ている。

寒さに震え目が覚めた。
大して眠らなかったようだ。
風が強くなっていた。
何もせずじっとしていると寒かった。

さて、朝まづめの釣りである。
この時間帯に期待した。

しかし相変わらず釣れないのであった。
20センチ弱の小さいのが2つ。
それだけであった。

周囲が明るくなり、ベタ凪の海に釣れる気配なく
三人とも釣りを終えた。

思い返せばなんと13時間もしゃくり続けたのである。
粘りに粘って狙い通りのキロクラス一匹。
この夜の事件は長く記憶に残るに違いない。


その後、三人して塩谷釣具へ直行。
シャクリの彼もダービーに参加していたのだ。

小生の27センチは938グラムだった。
他の2匹も500グラムを越えていたので、結局三匹とも総入れ替えで計1971グラムとなり20数位に落下していたのが暫定7位に再浮上したのだった。

シャクリの彼、ふみさんも800グラムを越えていたので1896グラムで暫定8位となった。小生の隣である。
まあ、今夜のところはどちらにも軍配が上がり、いい勝負だったということだな。
釣り師の顔見知りが一人増えた。




エギンガーさんはいいのが釣れなかったが3位は譲らないのであった。


(RTHがエギンガーさん)


2キロを越えれば3位圏内。後一匹キロクラスを釣りあげればトップに躍り出る。

小生のダービーの締め切りは31日ではなく28日である。
29日からは展覧会で家を空けなければならぬ。

さて、釣りに出かけられるのは後一回か二回、うまくキロを釣り上げられるか。
極めてキビシーのであるが、

しかし、

あきらめるわけにいかない。



(登録の三匹)


ロッド;オリムピック カラマレッティ862MH プロトタイプ
リール;ダイワ セルテート2506+ブリーデンダブルハンドル
ライン:ラパラ ラピノヴァ ダブルエックスシーバス 1.0号17lb リーダー フロロカーボン4号
エギ;ヨーズリー アオリーQ、プレミアムアオリーQ, ヤマシタ エギ王Q  3.5号、4号




この一匹。輪島イカダービー初参加。        10月9日

2010-10-10 | アオリイカ
金沢からイカ大好きの友人が来るという。
イカ刺しを馳走するに5杯もあればいいだろうと散歩がてら、午後から出かけた。

いつもの輪島の磯。
曇り空で雨が降りそうだったが、海は凪いでいた。
あまりいい状況ではないがイカ刺しくらいは釣れるだろうとキャストを始めた。

その一投目。
まだ集中出来ていなくてエギがどのくらい沈んだか分からないまましゃくった。
と、
根掛かり。
うっひゃ~!!最初から。

二三度しゃくっても外れない。
仕方ない。
ドラグを一杯に締め込んでラインを引っぱった。
と・・・
根が動いた。
あんららら~~~、イカだった。

根掛かりだと思ったらイカだった、ということはよくあるが
そんな時は大抵ワンランクサイズがデカイ。

重かった。もわーっと上がって来る。
そしてギュィーン、ギュィーンと強烈なジェット噴射。

こんなデカイのが掛かることは滅多にないことであって、自分の中では、うわーっ!!あんりゃー!!はずれんなー!!と大騒ぎの大事件で
願わくばもっとじっくり時間をかけてこの大事件を味わいたいのだが、事実はいともあっさりと終わってしまう。
たったの15秒ほどか。

抜き上げるとロッドがハゲシク折れ曲がり、それが抜き上げの限界のように思えた。
堂々としたオスだった。



早速測ってみた。
胴長22センチ。
前回、今季最大の20.5センチだったが、今回更新である。
毎回更新は嬉しいものがある。




ひょっとしたら今日は大物が釣れる日か・・・
気持ちは弾んだが、

その後、サッパリであった。
アタリさえない。

一時間後、全く反対の方向へ投げてひとつ。
18センチ。


(勢い良く水を噴出した瞬間。分かるかな。元気がいい。)

その後、またサッパリ。
キャストを続けるうち、ひとつの考えが浮かんで来た。

今、輪島の釣り具屋さん「しおたに」でイカダービーが行われている。
輪島の釣り師たちは毎年それに参加して盛り上がっている。
が、小生は一度も参加したことがなかった。

10月は例年展覧会で遠方へ出かけることが多く、釣りに集中出来ないのと、
競技というのが基本的に好きではないからだ。あくまでも自分のペースでのんびりやればいいと。
しかし、たまにはみんなと大きさを争うというのも遊びのひとつである。
折角、輪島に住み、釣りが出来る環境にいるのだから参加しない手はない。

ともあれ、この22センチがどのくらいのレベルなのか知りたかった。
しかし、ダービーはイカ3杯の合計重量で競うのだから、参加するにはもう一匹必要だ。

後一匹、まあまあのやつ、20センチクラスを釣りたかった。

しかし、この一匹が釣れない。

本当に渋い。なんちゅう渋さだ。このやろー。


一時間半後、エギを替えてみた。
初めて使うやつ、エギリー、ダートマックス、オレンジ。
なんとなく面白そうなエギなので手に入れていたのだが
信用がないので使ったことがなかった。

真正面にフルキャスト。
沈みがアオリーQより幾分速いようだ。
底あたりでしゃくってみる。
水を噛んだ手応えは軽い。

海中でどんな動きをしているのだろう。
アイの位置が上なので異次元のダートアクションをするらしい。
異次元のダートアクションとは何だ?
よく分からん。
軽く動いていることは分かる。
と、
ゴッと乗った。

久しぶりのイカの手応えだ。
いや、ダートマックス、釣れるんである。

20センチだった。
まあまあだ。よし。




その後、数投するも、それ以上釣れそうもなく切り上げた。


そして、塩谷釣り具さんへ。
久しぶりの塩谷さんである。
早速、ダービー参加の申し込み用紙を書いていると
ひとりお兄さんが入って来て釣ってきたイカを秤に載せた。
いやあ、でっかい!!

なんと、700グラムを越えていた。
胴長は恐らく24センチか。

なんかな、小生の22センチなど話にならんではないか。
ちょい、テンションが下がる。
でも、しかし、量ってもらう。
499グラムだった。

そのお兄さん、やはり一投目でかかったのだという。
興奮を抑えているが、流石に嬉しそうだった。
彼はすでに参加していたので、以前釣ったやつとこのでかいのを入れ替え、暫定トップだったエギンガーさんを抜いてトップに躍り出た。

でもダービーは今月一杯まで。まだこれからだ。
エギンガーさんのことだから、きっと抜き返すに違いない。

小生の3杯の合計は1140グラム。暫定4位となった。

ふっふ、なんか楽しいね。
まあ、ぼちぼちと自分のペースでやって、デカイの釣れたら持ってこよう。
楽しみがひとつ増えた。さて、何等賞になるか。
いろいろ景品もあるらしい。

友人のためのイカ刺し大会はこの3杯で充分の量だった。


釣れない日、釣れる日。                  10月2日、5日

2010-10-08 | アオリイカ
前回は予定外のポイントで思わず今期最高の釣果となったが、あのテトラが頭から離れない。
あのポイントは朝マズメ、いつもあんなに釣れるのか?

その2日後(10月2日)、同じポイントにでかけてみた。

前回と同じ釣り座に立ったのは前回と同じ早朝5時過ぎ。夜明けまで小1時間だ。
早速、キャストを開始する。前回の釣りが蘇りワクワクしながら。

ところが、・・・・・釣れないんである。

海に活気がなかった。前回は周囲では釣りが不可能なほどの荒れだったが、今回は凪いでいた。
まるで偶然のように遠くの底で19センチが一匹、15センチが一匹の2匹だけ。



ぽつぽつ掛かるのは殆ど足元で食いつく小さいやつ。

明るくなってきても釣れそうもなかった。・・・諦めた。
土曜とあって、いつの間にか釣り人がテトラに並んでいた。
移動する釣り座もない。キャストの方向もひとつ、凪いだ変化のない海、そんなところで粘る気がしなかった。

いつもの磯に移動。
そうだろうとは予想していたが、ここも渋かった。

前回女釣り師ミズノと行ったときは荒れ気味だったが今回は凪である。
いつもは周囲が凪ぎでもここは磯の先端にサラシができて波っ気があるのだが
今回はサラシも波っ気もなかった。。水も澄んでいる。

イカ釣りは荒れてない方がいいとよく言われるが、それは人間の都合であって、正確には凪ぎでも釣れないことはない、という意味だろう、と思われてしかたない。
それはメバルも同じだ。春の凪をメバル日和と言うが
イカもメバルもこれまで凪でよく釣れたという記憶がない。
魚はやはり波っ気がないと活気づかない。
どうもそう思える。

しかしその磯はキャストの場所や方向を変えられるし、なんといっても景色がいい。
粘ることが出来る。
凪の晴れた海、どれほど釣れないか試してみる価値はある。

極めて渋いが、場所を変え、キャストの方向を変え、エギの色を変えやっていると全く釣れないことはなかった。時折、思い出したように掛かるんである。








遠くの底を意識しているのでサイズは良かった。
滅多に掛からないので、掛かるとその都度、嬉しかった。
そしてイカはその都度美しかった。
模様の違いでオスとメスが判別出来る。
そういえばそのことを意識したことはこれまでなかった。

オスは横縞でメスは斑紋模様だ。それを確認しながらやると面白かった。
幾分、オスの方が抵抗が激しいような気がする。墨を吐いたり、水を噴出したり、ぶいぶい言うんである。
それに比べメスは色も模様も可愛らしく、性格もなんとなくおっとりしているようである。
小生がオスだからそう思えるのかも知れないな。うっはっは。


オス。横縞模様。


メス。斑紋模様。

オスとメスが半分半分かと思ったが、そうではなかった。
場所によるのか、全体的にか、たまたまなのか、メスの方が多かった。
といっても、数が少ないのだから統計にならないか。うっは。

とにかくいい天気。秋空は高く、気分は爽快だった。
粘っても昼までと思っていたが、こうなったら凪の海と青い秋空に、とことん付き合ってみようか、という気分になっていた。
竿を置き磯に大の字になって空を眺めているうちに眠くなって昼寝した。
岩が温かくて気持ちがよかった。






その後も状況は変わらず、いや、ますます渋くなるようであった。

日は傾いて来て、このまま終わるのかと思うが、
釣り立てのシャキシャキした刺身のことを思うと、最後にいいサイズを1匹釣って帰りたかった。
でも、手を替え品を替え、場所を変え、いろんなことをやってみるが釣れなかった。
イカはどうしたら釣れるのか?前回の釣りが夢幻のように思える。

日暮れ近く、王道ピンクのエギを付け、ラストの一投、真正面の海にフルキャストした。
底まで落とし、底を感じながらしゃくり続ける。延々と繰り返した動作だ。

でも掛からないだろう・・・・・・・と、掛かった、が、また藻だろう・・・・・
いや!藻ではなかった。
深い底から重い手応えが上がって来る。確かな生体反応。イカだった。それもかなりデカイ。
引きが違った。ロッドはしなり、ジェット噴射の度にリールを巻く手が止められる。
バレるなよと慎重に巻きあげる。
遠くの深いところから、水面に浮上する。元気のいいメスであった。
上げてみると18センチ。引きの割には大したことなかったが、上出来だ。




夕日を眺めながら磯を後にした。

まあな、こんな日もある。



その3日後。10月5日、天気は崩れた。
予報は1.5メートルの波、曇り時々弱雨。3~4メートルの南風、追い風であった。

荒れ気味の天気の方がよく釣れるんではないか、という考えを検証する絶好の状況だ。

勿論、出かけた。

検証するにはまたあのテトラでやるのがいいのだが、風向きが悪かった。テトラからでは真横からの風となる。一番やり難い風だ。
で、輪島に近いお気に入りの磯へ行ってみた。
この磯も10日ほど前、凪の時にやったことがあり、全く活気がなくてすぐに止めたことがあるので、検証にはなる。

波は1.5メートル、予報通り。
慣れない人はちょっと腰が引けるくらいの丁度いい荒れ具合だった。
風も思った通りの真後ろからの追い風であった。
よし!!




早速、早朝の海に向かってフルキャストする。
いや、風に乗って3.5号はよく飛ぶ。
50メートル前方の根のサラシに着水、いい感じだった。
なんだか海全体に活気があって釣れそうな予感に心は踊った。

エギの着底までカウントおよそ35~40であるが、
大きいうねりの波にエギもラインも翻弄され鮮明には分からない。

数投後、グンと重い手応え。乗った。
やはり活性は悪くない。
遠くから引き寄せる。案外の重さ。
胴長17センチ。



その後もどんどん釣れるという状況ではないが
釣れない雰囲気ではなかった。
丁寧に底をキープし、遠くの底に潜んでいるやつを引っぱり出す。
そんな釣りだった。


こいつは胴長19センチ。いい引きだった。



とにかく、遠くの底である。
そこでしか掛からない。

30分アタリがないことも。
普通、こんな状況を渋いというのだろうが、そうは思わない。
イカが大きくなって、近くでどんどん釣れるという時期ではなくなったのだ。

寧ろ、釣りとしてはこの方が面白い。

掛からないなあと思っていると掛かり、掛かると続けて掛かる。そしてまた暫く間があく。
そんなペースだった。










昼前になって雨が降り出した。これも予報通り。
小雨が本降りになって来たので、一時車に戻り昼飯にした。
握り飯を二つ齧り、番茶を飲む。
雨は大粒になり、激しく車の天井を叩いていた。
が、ここで帰ろうとは思わない。
その日の海はアタリは多くはないが、大物が出現しそうな予感があった。

腹ができると眠くなる。
小生の癖だ。
雨が天井を叩くリズムが睡魔を助長する。
車の中で昼寝かます。

目が覚めると雨は小降りになっていた。
少し待っているとさらに小振りに。

いざ、再開である。
そのうちまた雨は降り出すだろうとカッパを着込んだ。

午後の釣りも午前と同じような調子であった。
時折しか掛からないが、粒が揃っている。
掛かると、遠くの底からグン、グン、引きながらやって来る。
ワンヒット、ワンヒットが楽しいのである。







思った通り、また雨が降り出した。

午後から一人顔見知りがやってきた。
輪島のイカ釣り師エギンガーさんである。
彼も午前中からやっていたが、昼前帰っていった。
そしてカッパを付けてやる気満々、再びやって来たのだ。

雨はひどくなり、雨粒が背中をバンバン叩くのだが、
キャストは止めない。
エギンガーさんも雨をものともせず、しゃくり続けていた。



顔が合うと、駄目だなあ~と首を引っ込めて笑う。
しかし、小生もエギンガーさんもアホである。
こんな土砂降りの中、やっているんである。
もうヤケクソの一種独特な開放感がある。
うっはっは。

雨で靄った海面にひたすらキャストし、しゃくり続けた。

と、突然、また釣れ始める。





また止まる。

また釣れる。





いいサイズなんだが、どかっとデカイのが釣りたい。
海はいい感じなんだが。

雨は小振りになり、止むかと思えばまた本降りになった。

と、エギンガーさんが引き上げた。
どうもいいのが釣れなかったらしい。

小生もそろそろ止めにするか、などと思っていると
重いのが掛かった。底から引き剥がす。
もわっと上がって来た。
はやり遠くの底だ。
グン、グンの引きにリールが思うように巻けなかった。
遠くからなのでリールを巻くて手がだってきた。
手応えから今期最大であることは間違いなかった。
とにかく引くんである。
いや楽しい。

上げてみると思ったほどの怪物ではなかったが
今季最大、20センチを僅かに越えていた。
1~2センチ違うだけでこれだけ引きが違うのかと改めて驚いた。






その後、まだデカイのがいるかも知れないと、少し粘ってみたがこれきりだった。

すると、エギンガーさんが三度やって来た。
夕方、子供さんを迎えに行っていたのだとか。
彼は夜もやる気らしい。いやその情熱、スゴイ。

釣りは技術もさることながら、一番は情熱なんである。釣ってやるという執念なんである。
エギンガーさんは輪島のイカ釣りダービーでよくチャンピオンになるが、それもそのはずだと納得するんである。

雨の中、荒れた海での釣りだった。
釣果は胴長20.5センチ、19センチ、18センチ2杯、合わせて25杯。
一日やった割には大した数ではない。

これが、悪天候の方がよく釣れるということの実証になったかどうかは分からないが
今回は数より質の釣りであり、
小生にとっては間違いなく、いい釣りだったといえる。






ロッド;オリムピック カラマレッティ862MH プロトタイプ 
リール;ダイワ セルテート2506 
ライン;ラパラ チタニウムブレイド 0.4号 リーダー フロロカーボン3号
エギ;デュエル アオリーQ3.5号 各種  



朝マズメのテトラ           9月30日

2010-10-04 | アオリイカ
朝マズメを狙ってみた。

普段あまりやらないが、朝早くに目覚め、目が冴えてしまったのと
予報が波1メートル、南からの追い風、というので出かける気になった。

しかし、いつものポイントは予報と違い大いに荒れて一面サラシの渦、釣りどころではなかった。命が危ない。
諦めた。

帰り道、なんとか釣りの出来そうなところを捜す。

とある漁港のテトラ。
そこはイカのポイントであることは知っていたが、大きくて危ないテトラということと、磯が好きだということでこれまで避けてきたところだった。

突堤の先端、海に斜めに突き出したテトラに立った。
足元は狭く、足を踏み替えることもままならない。
眼前のまだ暗い荒れた海にフルキャストする。

しかし、腕だけのフルキャストである。下半身は動かせない。バランスを崩すと海に落下である。
幸運にも追い風、3.5号のエギは遠くに飛んだ。
着底するのに時間がかかった。カウント30、水深10メートルくらいか。
一度大きくしゃくってフォール中、・・・・ぐっと重さが乗った。一投目からである。
おっ、いい感じ。



その後も入れ食いではないがコンスタントによく掛かった。
サイズもいい。






夜が明けると遠くの磯に波が襲いかかるのが見える。
少し収まったようだったが、まだ波高2メートルはありそうだった。




そうしていつもの朝になったが、同じ調子で釣れ続けた。








8時を過ぎるとアタリは次第に遠のいていったが、それでも
キャストの方向を変えたり、エギの色を変えたりしていると、ぽつり、ぽつりとは掛かった。

近くに釣り人がひとりやってきてキャストを始めた。
キャストやシャクリからイカ釣りに慣れた人のようだった。
フルキャストではない。適当に飛ばして近くのイカを狙っているようだった。
釣り人の多くはそのスタイルである。
まあ、その方が効率はいいに違いない。数も釣れるだろう。

小生はあくまで一投一投フルキャストである。
狙うは常に遠くの底である。
一投に時間はかかるし、効率は悪いだろう。

しかし、一投に気合いを入れ全身の力で遠くに飛ばしたい。
遠くの底に落ちたエギに意識を集中させ
あくまでも大物を狙うのだ。

10時になるとアタリは完全に止まり、一時間あまり一匹も釣れなかった。

昼前、流石にやる気も失せて、最後の一投だと、エギのカラーを青にかえキャストしたところ
着水後のフォールで抱きついて来た。



青のエギはこれまで釣れる気がしないのでボックスの中で眠っていたのだが、もうヤケクソで投げてみたのだ。
青色が利いたのかどうか、その後暫く入れ食いになった。








突然の活況である。
帰るに帰れない。
とうとう昼を過ぎ、この一盛りが引いていったのは1時前であった。

考えてみれば、なんと8時間もテトラに立っていたんである。
我ながら、驚いた。
粘るのは元々得意だが、同じ釣り座で8時間というのは滅多にない。

これだけの長居ができたのは、爆釣ではないにしろ釣れ続けたということである。
適当に釣れ続ける。それもいいサイズ。

独り、じっくりと楽しめた釣りであった。

今回の発見はこのテトラがいいポイントであること、そして青色のエギが日中よく釣れるということだった。

また、触腕一本に掛かるということが少なくなり、殆どが足の付け根にフッキングしていたことは嬉しいことだった。


釣果は19センチを最大に45杯(10杯は小さくてリリース)だった。
勿論、今期最高の釣果だ。
重いクーラーボックスを下げてテトラを跳ぶのはちと厳しかった。






ロッド;オリムピック カラマレッティ862MH プロトタイプ 
リール;シマノ ソアレ30 2500HGS
ライン;ラパラ チタニウムブレイド0.4号12lb  リーダー フロロカーボン3号
エギ;ヨーズリー アオリQ3.5号 各種。 ヤマシタ エギ王Q3.5号 各種。