永遠に、幸せになりたい。    by gorosuke

真夜中、いいおっさんが独り海に向かって延々と竿を振る。
アホだな。でもこのアホ、幸せなんだよなあ。

ラストチャンス          10月27日夜

2010-10-30 | アオリイカとスズキ
27日の夜がイカダービー、一発逆転を狙ってのラストチャンスとなった。

羽咋の若き釣り友O君が一緒である。
「デカイの狙って一晩中、体力の限りやりましょう!!」
と彼はやる気満々燃えていた。


晩飯後、前回の磯へ行ってみると荒れていた。
2メートルの波。ポイントはサラシの渦、おまけに強い横風。
・・・・・・・・・

移動することに。

とある漁港の突堤先端のテトラ。
一ヶ月前、やはり荒れてどうしようもない時、ここに来て40杯釣れた場所であり、
先日、キロオーバーが上がったというポイントでもある。

しかし、いつもは釣り人たちが争うこのポイントに誰もいなかった。
幸運なのか、あるいは・・・・

いざ、竿を担いで危ういテトラを渡り、先端まで行ってみると誰もいない訳が分かった。
暗くて分からなかったが、やはり激荒れなのであった。
波は1.5メートルでなんとか釣りはできそうだが、うねりがあって、時折テトラにぶち当たった大波を背中から被った。
追い風でキャストは出来る。しかし、流れが速過ぎた。
正面に投げたエギが着底も確認出来ないまま、回収するときは右横からやって来る。

それでも底を探っていると一匹掛かった。20センチ。




ほぼ同時にO君も20センチを釣り上げた。

釣れない訳ではないらしい。
いや、こんな日の方がかえって大物が釣れるかも知れない。

底は難しいので潮目を狙い表層をしゃくってみる。

が、駄目である。
とんとアタリがない。

考えられることは全てやった。
カラーを替えたり、重いやつを使ったり、方向やレンジを変えたり、しゃくり方をいろいろやってみたり・・・・・・・

でもかからない。

大物どころではない。
あたりもかすりもしない。

2時間経過・・・・・

一発逆転の期待が遠のいていく。
この夜しかないというのに・・・・

潮を被ってすでに全身ずぶ濡れ。
ああ、これで終わりか・・・

でも粘る、粘る・・・・・

しかし、イカへの気持ちは次第に薄れ
代わりにスズキへの気持ちが頭をもたげる。

こんな日はスズキだよなあ、やっぱり。

右方向、突堤の先の潮が入り乱れて流れているポイントが気になった。

我慢出来ず、スズキのルアー、ショアラインシャイナーMM13を付けて投げてみた。
と、5メートル巻いたところでゴゴン!!ときた。

乗った!!

強烈な引き。
ドラグは先程のエギの根がかりを回収するのに締め込んだまま、緩める暇もない。
イカロッドが心配になるくらい折れ曲がった。

テトラ近くになって潜った。突っ込む!!
その力、凄かった。

思い切りロッドを引くと身体が前に出る。
危ない!!落下寸前。
踏み替えも出来ないほどの不安定な足元である。

竿先が下へ絞り込まれたまま耐える。
だが、とうとうラインブレイク。
見ると、リーダーの先、スナップの結び目が切れていた。

そのことO君に告げると、
「シーバスですよね、やっぱ、今日は」
と彼もルアーを付け替えキャストを始める。

と、彼もすぐにヒット。
足元まで引き寄せ、ランディングだが、これが難しかった。

スズキ用の玉網を持って来てない。あるのはイカ用の小さい玉網だ。
しかも、足場は斜めに突き出したテトラのてっぺん。
そして1.5メートルの寄せ波、引き波である。時々うねりの大波が来る。

一人では到底無理、小生が玉網入れをする。
玉網になかなか入らない。やっと頭を入れ上げようとしたところ、魚は網から飛び出し落ちてしまう。あんりゃりゃ、ごめん、失敗。

そして、小生がまたヒット、今度は慎重に寄せてO君が玉網入れしてくれるが、これがまたなかなかうまくいかない。
もたついている間にフックアウト。

その直後、 O君にまたヒット。
今度はもたついている間に魚が大きい寄せ波にさらわれテトラの奥へ、ラインがテトラに擦れてラインブレイク。

そこでのランディングは難しいと実感。
場所を移動。
テトラではなく、突堤の中程まで戻り、漁港の内側を狙うことに。

このポイントは釣りを始めた頃、専らスズキを狙って通った場所である。
この漁港のスズキ釣りの一級ポイントである。
足場はいいし、ランディングも楽なところだ。
外側と違い波もワンランク落ちている。

O君が定番の釣り座、小生は一段高いところからキャストした。
小生の釣り座は足場が高くあまりやる人はいないが、ヒットすればO君に玉網入れしてもらえばいいのである。

突堤の先のテトラの内側にサラシが出来ていた。そこを狙ってキャストする。
数回リールを巻いたところでガツンと来た。

もうゴリ巻きである。
グングン巻いた。
が、途中根に潜られ動かなくなった。
駄目かと思ったが、ゆっくりと引っぱると出て来た。

それからまた走る。
しかし逃がさない。
重くて素直にリールが巻けない。立てたロッドを倒しながら巻き、また立てる。
ロッドを持つ右腕の筋肉が悲鳴を上げる。
上からなので魚体がよく見える。
近くまで寄せるとラインがコンクリートにこすらないよう気を付け、歩いてO君のところまで誘導する。
うまくいった。
O君が小さい玉網をうまく使って上げてくれた。

計ってみると75センチ。
今年のスズキの最大であった。



しかし、その後、掛からなかった。
何処へ投げても、うんともすんともである。
O君もサッパリだと言う。

で、突堤の先に戻ろうということに。
ランディングが難しいが、ヒットしなければ意味がない。

元の釣り座に戻り、ランディングの段取りを確認し合った。
まず、どちらかがヒットしたら、もうひとりが即座に釣りを止め、玉網を持つ。
そして海に突き出したテトラの先でランディングする。ラインがテトラに接触しにくい位置はそこしかなかった。
足場が狭く二人並ぶことが出来ないので、玉網を持つ方が先に立ち、ロッドを持った方がその後ろに構える。
それが最善策だった。

で、キャスト再開。12時半だった。

案の定、この釣座から右斜め45度にキャストするとすぐにヒットした。
漁港と外海の境目辺り、潮の流れの速いポイントだ。

O君は年間400本はスズキを釣り上げるスズキの名手だ。
ロッドもスズキ用に替え、ルアーも沢山持ってきた。

もう水を得た魚のようにキャストする。

ヒットルアーはブルースコードスリムやバリステックミノーなどのリップレス系だ。

熱かった。

数投に一投はヒットする。
スズキのヒットはやはり楽しいんである。
寄せる途中、波間に白いしぶきが立ち上がり、魚の生々しい躍動が直に伝わってくる。

掛かった!!
の声で、もう1人が直ちにルアーを回収、玉網を持ちテトラの先へ。
ロッドを持った方がその後ろに立ち、寄せた魚をテトラに入られないよう誘導する。
そして玉網入れ。

が、やはりうまくいかなかった。
魚体は目の前に見えているのに寄せ波、引き波が邪魔をする。
もたついている間にフックアウトしたり、波にさらわれテトラの奥へ、揚げ句の果てのラインブレイク。

それを何度くりかえしたか。

一度はうまく玉網に入ってくれたが、上げる途中、とうとう柄が折れてしまった。

うまくランディングできたのは4匹に一匹だった。
うまくいったというのは、玉網に入ったのではなく、魚に掛かったルアーのフックを玉網に引っかけかろうじて抜き上げることができたのである。
その方法しかなかった。









いつしか雨も降り出し、下からは波、上からは雨で、もう全身ビショビショなんであった。
後から客観的に振り返ると、深夜の雨の荒海でなんとアホなことを、と思うのだが、
その時の現場の当事者としてはこんなに面白く楽しいことはないんである。

ふとイカのことが頭をよぎるが、ますます荒れる海を見るにつけ、
諦め切れないイカへの想いを振り切るようにスズキへ集中したのだった。


ヒットが続いたのは2時間ほどだったか、その後は次第にアタリは遠のいていった。
そして、夜明け前に釣りを終えた。
雨は止む様子もなく容赦なく降り続け、寒さと体力の限界だった。


ふたりして20回はヒットしたが
結局、獲ることが出来たのはO君が3本、小生が2本の五本だった。

というわけで、

イカダービーの一発逆転はならなかったものの

予期せぬ、ハゲシク熱い幕切れとなったのだった。





(O君の70オーバー)





ロッド:オリムピック カラマレッティ863 MH プロト
リール;ダイワ  セルテート2506フィネスカスタム スプール2508 ブリーデンWハンドル
ライン;ラパラ ラピノヴァ ダブルエックスシーバス 1.0号17lb リーダー フロロカーボン4号
ルアー;バリスティックミノー100 ブルースコードスリム、レイジー110 モンスーンブレイカー(etc)