永遠に、幸せになりたい。    by gorosuke

真夜中、いいおっさんが独り海に向かって延々と竿を振る。
アホだな。でもこのアホ、幸せなんだよなあ。

おいらもルアー作ってみた。

2009-03-18 | ルアーを作る
ふとした出会いからルアーを作ることになった。

つーさんの釣り友にバーブレスさんという人がいる。
仕事は理髪師さんでバーブレスという店を自営しているが、店の名前で分かる通り相当の釣りキチで、
ルアーも自分で作ってしまう。

つーさんから噂は聞いていたし、彼の作ったアート的なルアー(腹の部分には目玉がいっぱい描かれていた)を見せてもらったこともある。
Pボーイというメタルジグでイカを釣る彼独自の釣法は一時福井でセンセーションを巻き起こしたりもした。

でも、彼には一度も 会ったことはなかった。
その彼とブログのコメントでちょこっと会話することになり
彼の作ったルアーの話をしているうちに
「あなたもルアー作ってみませんか?」と言われたのである。
えっ、作る・・・・ルアーを・・・・おれが・・・・・

ルアーを作るなんて考えたこともなかった小生にとって
あまりにも唐突で、簡単な言葉だった。
それだからこそ、ある種のショックがあったし、身体にグッと入って来た。

ルアーは好きである。
でも、店頭に並んでいるルアーたちはプロが研鑽を重ね、実釣実験を繰り返し、そうして初めて並んだものである。
それを使って辛うじて釣れるのであって、自分が作ったいい加減なルアーで釣れる筈ないじゃないか、と思っていた。
だから、プロたちが作ってくれたルアーを買い、おれは釣るのだと。

しかし、釣りの楽しみは釣果だけではない。
確かに釣れることは重要だが。
ルアーでの釣りは想像力の遊びだと思っている。
釣れないことも含めて、いろいろと愉快で奥深い楽しみもあるのだと。

「あなたも作ってみませんか?」・・・・
ルアーの作り手が作ることの楽しさを伝えたかったのだろうと想像する。
それがあまりに作為のないシンプルな言葉だから、
えっ、おれが・・・作る・・・まさか・・・でも・・・作ってみようか・・・・面白いかもな・・
とシンプルに素直に思ったのだった。

考えてみれば、魚を想像し、そいつの気を引くルアーを自分の手で作り、実際それで釣り上げる。
そんな楽しいことはないだろう。
プロの作ったものには遠く及ばないかもしれないが、想いはこもっている。
ベイトが泳ぐようにリアルに泳がないかもしれないが、自然というやつは分からない。
動かないやつや、変な動きをするものに興味を持つ魚だっているに違いない。
人間だって変なやつは沢山いるんだし、魚だって。
そう思うと、突然、ルアー作りが具体的になって来た。

すると、バーブレスさんはそんなこちらの想いを直に感じてくれたのだろう
小生にルアーを1つ作ってくれると言う。
で、そのルアー、ごろすけスペシャルの制作過程を懇切丁寧にブログにアップしてくれたのである。

それを見ると、ますますやる気が湧いて来た。
なぜなら、彼の作り方は小生の肌に合っていた。
木を削って形を作り、穴を掘って錘を入れ込むという、ガキの頃ナイフで何か作ったあの感触そのままだった。
手の直の感触、温もりのあるやり方だ。
これなら出来ると思った。このやり方でやれば、彼の作るあの美しいルアーのようになるのだ。

で、彼がブログで展開してくれている、制作過程をそのまま追っかけることに。
しかし、デザインや動きはともあれ、実際海にキャストできるルアーを作るのは簡単じゃない。
防水や強度、いろいろ面倒な行程がある。
そして、その行程に使う道具や接着剤、塗料、溶剤など、それらを調べ選び、手に入れなければならない。
それを考えるだけで気が遠くなっちまうが、彼はその1つ1つを制作過程で紹介してくれ大いに助かった。
それがあったから、出来たとも言える。

以下は彼の制作を追っかけ、とにもかくにも第一号を作ってみた過程である。


先ず始めにスケッチである。方眼用紙に描いてみる。しかし汚いな。これじゃあ方眼用紙を使う意味がない。



ルアーが入っていたセルロイドの箱を利用して、スケッチの通り切り抜きひな形を作る。




厚さ5ミリのアガチス材にひな形を使って線を入れ、ノコで切り取る。




サンドペーパーで削って線の通りの形にする。へこんだところは棒にペーパーを巻いたやつで削る。




次はボディに入れ込む錘をガン玉を潰して加工する。入るスペースに無駄がないように四角にする。
ガン玉2.2gを二つ。
万力を使えば綺麗にできるが、ないのでプライヤーで潰す。まあ握力を鍛えるのにいいか。




ボディに作った錘とアイが入るスペースを彫る。アイは0.9ミリのステンレス線を使った。
アイを作るのは難しそうだが、やってみると案外簡単だった。まん丸にはならんかったけど。なっは。




そして、接着剤で張り合わせる。この張り合わせる道具はバーブレスさんのまねっこで作った。
こいつは我ながらうまく出来たな。うっし。



乾くとこうなる。



こいつをナイフで削り、ペーパーで整えイメージの形にする。でも、これがなかなかイメージ通りにはならんのだなあ。
写真で見るとそうでもないが、実は6センチ、ちっこい。
ちっこ過ぎて太い指の小生には辛いものが。
でも楽しい作業だ。




エラブタを彫り、テープを丸く切り、目の位置に貼り付け見当をつける。




そして、目の玉が入るように彫る。彫刻刀の丸刀を使うとうまくいった。



ここから塗装工程だが、1つだけでやるのは効率が悪いと思い、急遽二つ作り増す。
乱暴な釣りでロストすることの多い小生だ。1つ作ってすぐロストでは寂しい。
どうせなら、三ついっぺんに作ってやろうと。
少し形も変えてみた。




さて、ここから塗装工程である。
先ずは防水、強度を高めるための下地作り。セルロースセメントにどぶ漬けする。どぶ漬けしては乾かし、またどぶ漬け。8回繰り返す。
この作業は面倒なので省こうと思っていたが、やはり一度体験するのもいいかと、やることに。
地味な作業だが、ここが大事なんであろう。見えないところが。



終わると、目を彫ったところに溜まっているバリをとる。取らないと目の玉がうまく入らない。
アイのバリも取る。その後、さらに2回どぶ漬け。




下地が出来上がった。
いよいよ塗装である。
エアーで吹いた色が飛び散らないように段ボールでラボを作ってみた。が、果たして役に立つかどうか。




さて、エアーブラシ。初めて使うわけで、ワクワクしてくる。
先ず一匹目、スーパーシルバーを吹いてみる。
色はアクリル系顔料。Mrカラーというやつ。模型に付ける色なんだろうな。
いや、なんて綺麗に色がつくのだろう。ドライヤーで乾かしながら3度吹く。




背中と顔にはグリーンメタリックを。
あんまり面白いのでどんどんやっているうちに、やり過ぎて色が垂れて流れて来た。
綺麗なグラデーションにならない。ついやり過ぎちまうなあ。ほどほどちゅうのがわからない。困った性格だ。




仕事場が小さな塗装工場になった。エアーブラシとちっちゃいコンプレッサーは適当なのをオークションで探した。案外安くてに入った。エアーブラシは絵画用というより、模型用だ。ピストル型の楽なやつ。




二匹目は夜に目立つパールを吹いた。



背中と顔はチャートを。今度は垂れないように、ほどほどにと気をつけたが、やはりやり過ぎ、垂れちまった。
アホだな。




綺麗にはいかんが、目玉を入れると俄然、ルアーらしくはなった。




で、最後に仕上げのウレタンクリアーを吹いて、

乾いたらフックを付け

完成!!



なんとか、かんとか、第一号が出来上がった。

少し前まで、自分でルアーを作るなんて考えたこともなかったのに、
今、現実に作ったルアーが目の前にある。
実に不思議なんだよなあ。

ルアーが出来上がった翌日、師匠バーブレスさんからごろすけスペシャル多い日夜用Slimギャラクシーが届いた。





流石、師匠、美しいんである。
もう、魚を釣る道具を超えてアートなんである。

ボディ全体は球状星団か散開星団の1000億もの星たちの広がりゆく光芒である。
それら小宇宙を跨ぐように飛んでこちらにやって来る黄色い彗星。その光の尾が背中を走る。

おお!!そのルアーの名は「多い日夜用Slimギャラクシー」なんである。

で、おいらが作ったルアーの名前はOOI !!MEBARU(おーい!!メバル)としよう。

今、冬からのメバル釣りの流れはちょいと一区切り。
今度の満月、新たに出直すことに。それまでちょいと一休み。

「おーい、メバル」が初めて海を泳ぐのは次の満月。
こんなルアーに興味を示す変わり者のメバル君がいたらいいなあ。

師匠のギャラクシーの能登デビューもその時だ。

ふっふっふ、楽しみである。
こいつらで尺をいわしちゃろーではないか。