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永遠に、幸せになりたい。    by gorosuke

真夜中、いいおっさんが独り海に向かって延々と竿を振る。
アホだな。でもこのアホ、幸せなんだよなあ。

シイラだった。

2013-09-23 | 青物
夜明け前、いつもの輪島の磯に出かけた。

開幕第二戦である。


幸運にも休日だというのにポイントには先客はいなかった。

予報どおり1.5~2メートルの波、うねりもある。

イカ釣りにしてはちょっと荒いが、いい追い風で悪くはなかった。

ベタ凪よりはましである。


ともあれ3.5号をつけてフルキャスト。

着水後、波がなかったらカウント35のところ、カウント40~45。底を狙った。


大きく二段しゃくり、続いて軽く連続ダート。フォールを待ってまた軽くしゃくる。手首を返す程度の。

時々、藻に掛かるが、殆どは上の柔らかい葉の部分を引きちぎって回収できる。

そのためにラインは0.8号(17.8ポンド)、リーダーは3号をつけてある。

すぐにでもヒットすると思ったが、そうではなかった。

20分後、やっと来た。



まあまあの、この時期にしてはいいサイズ。

今回はこんな調子か、ぼつぼつだな 


なんて思ったのだが、

その後、全く釣れなかった。

イカがいる気配がない。さわりもしない。

うんともすんとも、なんともはや、である。


荒れているせいか?

水温のせいか?

餌がいないのか?

ただいないのか?

いや、そんな筈はないだろう。

きっといるに違いない。

そう遠くはないが、私の手の届かないところに。

予報では次第に波は収まると言っていたし、確かに少し収まって来たようだった。

それを期待しよう。

頭はくるくると空転する。



そのうち周囲が明るくなって来て、釣り師が隣にやって来た。

どこかで見た顔、

「ゴロスケさんですよね」と親密な笑顔。

時折、釣り場で出会い顔なじみになっている輪島の釣り師K名人だった。

早速彼も竿を振り始める。

手際よいシャクリ、空を切る音が小気味いい。

しかし、彼もヒットの気配はなかった。

「昨年は来る度に40杯は釣れたのにな~」とこぼす。

彼は仕事の関係で昼専門だが、どういうわけか今年は釣れないのだという。

確かに、この時期は型は小さいが、昼に数釣りが出来る時期である。

夏のシュノーケリングで赤ちゃんイカを例年になく沢山見かけたし、

さぞ今年のイカ釣りはいいだろうと期待したのだが・・・・


波は少し落ちて追い風。悪くない状況なのだが、

やはり釣れなかった。

K名人も。



ちょっと気分転換にとルアーを替えてみた。

トップウォーターのレッドペッパーである。

昨秋、10月の終わり、イカのアタリがパタリと止んだので、こいつを投げたらヒラマサがヒットした。

軽いのに弾丸のようによく飛び、動きも面白い。

私の気に入りのルアーで、いつもバッグに忍ばせている。


まさかこの時期にヒラマサはいないだろうが、ともあれ気分転換。

右手に突き出た岩の沖の、渦巻いている潮目を狙う。

チョン、チョンと軽くトィッチを入れて水面を泳がす。

と、ガバッ!!と何かが食らいついた。

鋭く走った。青物の引きである。

唸るドラグを締める。

イカ用に緩めにしてあったのだ。

ゆっくりと引き寄せると、フクラギだった。



小振りだが、刺身でいけそうだ。さっぱりと美味いだろう。

トップでの釣りはやはり面白い。

暫くこれで楽しむことに。

チョン、チョン、チョン・・・ガバッ!!と来る。

が、弾かれて乗らないこともしばしば。

掛ける確率を上げるには引いて来るスピードも関係ありそうだ。

いろいろやってみる。時には止めてみたり。

と、乗った。

二匹目は少しサイズアップ。

その後、空振りしたり、乗ったもののバレたり。

で、もう一匹追加。


しかし、こんなやつらがウロウロしていたんではイカはいないわな~。


と、思いきや、名人がイカをヒットさせた。流石名人。



その後、フクラギの気配はなくなり、何気なく正面にフルキャストすると、

何かがルアーを引ったくった。

先程のフクラギより強烈な引き。締めたドラグが引き出され唸った。

フクラギのでかいやつか、と思ったがどうも違うようだ。

やりとりに少し時間をかけ弱らせてから、引き寄せる。

魚体が見えて来た。その黄金色、シイラだった。

リーダーを掴んで引き上げる。





まだ子供のようだが、その顔はユニークで愛らしい。



しかし、驚いた。

ヒラマサの時もそう思ったが、まさかこんな磯でシイラとは。


その後はシイラ祭りとなった。

もう入れ食い。

投げる度に食いついて来る。

空振りしたり、弾いたり、乗ったり、乗らなかったり。

乗ると走り、ジャンプする。そしてまた走る。

その激しい躍動がラインを直に伝わって来る。

あまりの激しさにレッドペッパーの後のトリプルフックが折れてシンプルフックになっちまった。

他のルアーのフックを取って付け替え、また投げるとまたヒット。まだいる。

なんだかキリがない。



釣りとしては最高に面白いのだが、シイラを沢山釣ってもなあ~。

なんせハゲシク岩の上を飛び跳ね、傷だらけになっちまってリリースが出来ない。

釣った以上は食わんといかんのである。

いつだったか、魚屋さんでシイラの刺身を売っていたし

食えんことはなさそうだが、なんとなく美味そうには見えないし・・・

フクラギなら村の仲間にお裾分けという手もあるのだが。


で、シイラ釣りはやめにし、

気合いを入れ直し、本命のイカ釣り再開。


シイラがうようよいる海にイカはいないだろうが

なんだかこのまま帰る気がしない。

なんといってもイカを釣りに来たのだから。

この状況で名人は釣ったのだし。



シイラは小魚を狙って表層を泳いでいる。

ならば底ベタだ。

藻の陰にじっと隠れ潜んでいるやつを狙おう。

と、名人がまたヒットさせた。

うむ、やっぱり釣れない筈はないのだ。



しかし、やっぱり釣れなかった。


その後、名人も渋く竿を降り続けるがさっぱりのよう。



釣れん時は釣れんのだ。


口惜しいが、諦めよう。



道具をしまい、煙草の吸い殻を拾って、岩をよじ登り、名人と肩を並べ磯を後にした。



(K名人の渋い背中)









私のアオリイカ開幕

2013-09-21 | アオリイカ

実に半年ぶりの釣りである。

このブログはそれ以上のブランクになっちまった。

春から夏にかけて奈良、松山、大分と立て続けに展覧会があり仕事に没頭した。

仕事に没頭すれば釣りが遠ざかり、釣りに没頭すれば友人たちが心配するほど仕事が遠ざかる。

どうもこのあたり、うまくバランスがとれない性格らしい。


この盆休みに福井のつーさんが久しぶりに家族友人たちと遊びにやって来た。

釣りを初めて10年になるが、切っ掛けはつーさんとの出会いだった。

彼は今、釣り雑誌に記事を書き、かのブリーデンのスタッフにもなって、釣り師としての活躍ぶりはめざましい。

それは釣り弟子として嬉しくも誇らしくもあり、そんな彼と釣りの話をしていると、暫く眠っていた釣りへの想いは刺激されムクムクと蘇って来るのであって

昨シーズン、イカロッドを折ったこともあり、彼の奨めでブリーデンのイカロッド、スペシメントを買っちまったのだった。(ついでにメバルロッド、93PEスペシャル、ホウリーアイランドも。うっひゃ~~。)

新しい釣り道具、特にロッドは嬉しいものだ。

釣りの大先輩、故開高健先生の言葉「大人と子供の違いは高価なオモチャを持っているかどうかだ」がちらと頭をよぎる。

いいではないか、私は大人なのだ。稼いだお金は楽しいことに使うのだ。




というわけで、リールの整備をし、エギも揃えて準備万端イカシーズンの到来を心待ちにしていたのだが、9月初めにまた大阪で展覧会があり

今、やっとそれも終わり、遅ればせながら小生のイカ釣りの開幕となったのだ。

19日は中秋の満月、開幕にはもってこいの夜だった。

心ははやり、まだ明るいうちにポイントに到着。明るいうちにスペシメントの振り心地、感触を確かめたいということもあった。

エギ3.5号をつけてやってみる。

新しいロッドを試すのは楽しい。心ワクワク弾むのだ。

昨年まで使っていたカラマレッティより柔らかく粘りがある感じか。

このところ激しくシャクルことはあまりなく、どちらかというと大人しいシャクリになってきたが、それにはピッタリのような気がした。

でも、このロッドにピタッと合うシャクリが分からない。手に馴染むにはまだ時間がかかりそうだ。



数投やってみるが、釣れる気配はなかった。

この夏、シュノーケリングで例年になく多くのアオリイカの子供たちを見かけた。

漁師さんも今年はイカが多いのではないかと言っていた。

だから今年のイカ釣りは期待したし、今が新子の数釣りの時期である。

それもこのポイントは輪島の一級ポイント、釣れないはずはなかった。

しかし、釣れないんであった。


実はメジャーポイントだけあって、先客が二人いた。

その二人とも釣れている気配はなく、一人は早々に帰っていったのだ。

残ったおじさんは帰る気配もなく、聞いてみると満月の夜を待っているようだった。


ともあれ、夜に期待し、のんびりと待つことにした。


そのうち日は落ちて水平線に沈んだ。





日はゆっくりと水平線に近づき、やがて一気に沈むのだ。

いつ見ても、荘厳な美しさである。

日が沈んで暫くすると、背後の山の端にまん丸お月さんが顔を出した。


暗くなりはじめた頃、おじさんにヒットした。

やはりな、と思う。

いないわけがない。

と、私のロッドにもイカの重さが。

胴長13センチ、小さいが今年初のアオリイカである。



底だった。

次も底ベタでヒットした。こいつは15センチ。



この時期のやつは中層で釣れる筈だが、活性がないのか底でしか掛からない。

おじさんに聞いても底だという。

しかしと思い、時折表層や中層を狙っても掛からない。

ひたすら底を狙う。


着水後、カウント40。

始めのシャクリは大きく、暫く待って小さくパンパンパンとしゃくる。次はリズムや回数を変えてやってみる。その繰り返し。


昨シーズンの終わり頃、ワンキャストワンヒットが5時間も続いた。

それを思い出すが、虚しい限り。

でも、ぼつぼつと来る。





数匹続いたと思うと暫く間があく。


時々空を見上げてまん丸お月さんを眺める。

雲一つない空にあっけらかんと浮かんでいた。

中秋の名月である。

深夜、磯の上で何やらやっているおじさん二人を見て笑っているようだ。

見上げる度にその位置が移動し

真上に来るとライトが要らないほど明るかった。



延々と磯に立ちロッドを振った。

嗚呼、楽しい夜である。

おじさんも帰ろうとしない。



豊かで濃い私の時間である。


「永遠に幸せになりたかったら、釣りを覚えなさい。」


とは中国の古い諺である。




結局20杯ほど。大した釣果ではない。

しかし、おかずには充分だ。





おじさんは輪島の北間さん。お世話になりました。またどこかで会いましょう。