永遠に、幸せになりたい。    by gorosuke

真夜中、いいおっさんが独り海に向かって延々と竿を振る。
アホだな。でもこのアホ、幸せなんだよなあ。

ソルトベイトフィネス。

2012-05-15 | メバル


昨年あたりからベイトフィネスという言葉が目にちらついていた。

これはあくまでもブラックバスのカテゴリーだが、ベイトリールが好きな私としてはちょいと気になるんである。

ベイトリールは小さなルアーを使えないというのが常識だが、
最近、極めて軽いスプールが開発され、小型ベイトリールにそれをつけて5グラム前後の小さなルアーでも使えるようになったのだ。

何故そこまでしてベイトリールなのかというと、それなりの理由がある。


さる軽量スプールのメーカーが言うベイトフィネスのメリットである。


A:ラインセレクトの自由度は6~10ポンドラインの中から自由にラインを選べ、ストラクチャーやシチュエーション、バスの大きさに対して、 ラインブレイクを激減させ、根ズレ強度に優るフロロカーボンの使用を可能とした。

B:手返しの効率UPでキャスト回数を稼ぎバスとの遭遇率を飛躍的に向上させた。

C:距離感のコントロール時、サミングで距離や弾道を的確にコントロールが出来る。

D:ベイトの方が飛ぶと言う新事実。ベイトではガイド抵抗も少なく、6ポンド以上の使用時ならベイトの方が飛距離を出せる。

E:ロッドの本数が限られるオカッパリでは、高い汎用性(ライトリグ~小型ハードベイト)やラインブレイクの不安が少ないベイトフィネスのメリットが最大限生かされる。


ベイトフィネスにはデメリットは無いのか?

 ベイトリールのデメリットはバックラッシュ。ベイトフィネスであってもバックラッシュを抑止することが最大のテーマであり、スプールレスポンスとブレーキセッティングが不可欠であります。
 ベイトフィネスに対応するリールの条件はスプール自重(ライン含む)による回転慣性が小さい事です。回転慣性が小さければ回転の立ち上がりも早く軽くキャストしただけで飛距離も充分に得られます。


ということらしい。
メーカーの言うことを頭から信じることは出来ないが、確かになあ、と思えるところもある。



私は釣りのイロハを越前の釣り師つーさんに習ったが、そのイロハの中にはスピニングリールは存在しなかった。
スズキ釣りから始まったが、リールは何の問題もなくベイトリールだった。
磯でスズキを狙うため、専ら11フィートや13フィートのロッド(Gクラフト、セブンセンス)にベイトリールを付けてスズキを釣っていた。

その後、メバルをやるようになりジグヘッドなどの極小ルアーを使うことで初めてスピニングリールを使うようになった。

今はメバルやアオリイカなどの釣りが主流になってきてスピニングを使うことが多いが、それでもスズキを釣るときは今だにベイトリールを使ったりもする。

要するに、基本的にベイトリールが好きなんである。

だから当然のこと、このベイトフィネスをメバル釣りにと考える。
2グラムのジグヘッドがキャスト出来るというのだから使えない筈はないだろうと。

私にとってのメリットはまず6~10ポンドのフロロを使うのだから根掛かりに強いだろうし、ラインブレイクをしてもすぐに直せること。システムがシンプルだということ。
そしてPEラインに比べ値段が安いということ。
また、サミングやフリーフォールがし易そうだし、大物とのやり取りもスプールを抑えることでコントロールし易いのではないかと想像する。

メーカーお抱えの釣り師たちがスピニングより飛ぶと言っているが、それはちょいと信用出来ないな。

とにかく、やってみる価値はありそうだし、新しいことに挑戦するのは想像するだにワクワクするではないか。
そしてこの冬、想像が膨らみワクワクがバクハツしてとうとうフィネススプール装着の中古のリールを手に入れてしまった。(アブガルシア、エリート)

しかし、ロッドが問題だった。
バス用なので、みんな短くて長くても7フィートだ。
私は基本的に長いロッドが好きで、メバルでも一番多用しているのは9.3フィートだ。
ベイトリールとのバランスもあるのだろうが、8フィートは欲しいところ。
で、いろいろ考えているうちに、ある知り合いのことを思い出した。

彼は大阪で手作りロッドの店(マタギ)を経営していて改造などもやっていると聞いていたので、早速電話してスピニングロッドをベイトフィネス用に改造出来るか聞いてみると友人価格でやってくれるという。

それならばと、改造してもらうことに決め、8.3フィートのロッドを送ったのだ。

それから数ヶ月後、ついにその改造されたロッドが届いた。
日にちは掛かったが、丁寧な仕事でとても改造とは思えない仕上がりだった。

前置きが長くなっちまった。


そんなわけで、昨日天気もよく凪だったのでベイトフィネスの試し釣りに出かけた。

場所は輪島のとある漁港。突堤の先のテトラ。投げ易く、水深も適当にあり試し釣りには最適な場所である。

先ずはメバル用6グラムのプラグを投げてみる。
これは問題なく飛んでくれる。とてもいい感じでバックラッシュの心配は全くなかった。
しかし、軽量スプールはラインを沢山巻けないという欠点がある。
スプールの軽さが命なので、6~10ポンドラインでせいぜい40メートルくらいか。
今回は8ポンドを40メートル巻いてみた。
フルキャストすると殆どラインが出てしまうが、そのことを頭に置いておけばそう問題はなかった。

その後、5グラムのフロートリグをキャストしてみる。
これも問題なく飛んでくれる。使えそうだ。

次に問題のジグヘッド。
先ずは4グラムのジグヘッドをキャストしてみる。
狙ったところより左にずれて着水するが、そのことを頭に入れてキャストすると大体狙ったところには落とすことができる。
30メートル前後は飛んでくれる。

そして3グラムのジグヘッド。
この日のメインの試験だ。
やはりキャストするのにコツがいる。
左に流れて着水する傾向は4グラムより強い。恐らく常に掛かるブレーキのせいだろうと思われる。
投げる時、テイクバックを大きくし、早めに指を離す必要がある。
手首だけで鋭く投げようとするとバックラッシュだが、大きいアクションでロッドにルアーの重さを乗せてキャストすればバックラッシュはなかった。
飛距離は20メートル、上手くキャスト出来た時で25メートルくらいか。
慣れればもう少し飛ばせるだろう。
メバルを釣る場合、殆どはテトラ際や磯際で釣るわけで、20メートルも飛べば問題はないのだ。
遠方を狙うのでないならば、かえって無駄がなくていいかもしれない。


今回の試しの殆どの時間は3グラムジグヘッドの練習だった。これに慣れれば2グラムも使えるようになるだろうと。

このスタイルはフロロラインということもあり、どちらかというと横の釣りではなく縦の釣りに適しているように思える。
キャストし、テンションフォールやフリーフォールで底まで落とし、シェイクさせたり、ワインドで引いてみたり、ずるずる引いたり、大きくリフトさせフォールさせたり、なんだか小さなイカ釣りのようなアクションだが、全体にそれらのアクションがやり易いと思った。


表層ではまったく釣れる気配のない漁港内のベタ凪の海だが、底ではなにかと反応がある。

先ずは小さなカサゴクン。



その後、こいつ。


小生のルアーでの最小記録だろうな。

そして記念すべきベイトリールでの初メバル。


ちっちゃ。

ソイクンも来た。これも小さいやつ。



続いて今度はまあまあの引き、ソイクン。




赤メバルクン。




そしてロッドも絞り込まれ、なかなかのファイトを見せたカサゴクン。27センチ。



その他、時折アジなども。



今回はキャストなどの試しが目的で釣ることは問題外だったが、このスタイルで実際魚が掛かるのは初めてのことで小さいながらも楽しいのだった。

なにせ底での釣り、何度も根掛かりしたが、流石にフロロは強くて殆どはフックを伸ばしながらも回収出来たが、それでもジグヘッドのロストは二度あった。
しかし、PEラインのようにラインの途中からブレイクなんてことはなく、ジグヘッドとの結び目が切れただけでその修復の簡単なこと。
これは面倒くさがり屋の私にとっては大きいメリットだ。



さて、これからの実際のデカメバル釣りにどのくらい使えるのか分からないが、テトラ際や磯際、底を狙うなど、根掛かりし易い場面では出番がありそうだし、
プラグやフロートリグなども比較的近距離を狙う場合、回転良く使えそうだ。



次回はこのスタイルで尺を狙ってみよう。









友の笑顔

2012-05-09 | メバル
ちょっと遅くなっちまったが、やはり書いておこう。
友の笑顔があまりに印象的だったから。

連休に京都から友人福ちゃん一家が遊びに来ていた。

彼らに釣りたてのメバルの刺身を食わせてやりたいと一家のお父さんである福ちゃんとでかけた。

彼はサビキでのアジ釣りくらいしかやったことがないので
いきなり暗闇でのキャストは無理だろうと少し明るさが残っている時間に出かけた。

海の状況は悪くなかった。
このところの凪が前日突然荒れて、その日ちょうど収まって来たところ。
1.5メートルの波か、適当なサラシが出来ていて風も追い風だった。
なんだか釣れそうな雰囲気が充満していた。

ただ、先客がいた。今年初めての先客だ。
しかし、どういうわけか左の釣り座だったので、われわれは右の釣り座を陣取った。
メバル釣りなら右の釣り座の方が本命なのだ。運がいいとしか言いようがない。
後から聞いてみると、彼は朝まづめの青物が本命で、その場所取りに前夜の夕方から来てメバルやアジを釣って朝を待っているのだという。
青物なら左の釣り座なのだ。このところ朝まづめにヒラマサやガンドが釣れるらしく、それを狙っての釣り師も多いらしい。
いや、前の晩から場所取りとは気合の入った釣り師である。

我々はあくまでもメバル。
まだ明るさの残っているこの時間、先ずは福ちゃんに飛ばしウキだけを付け、キャストの練習をしてもらう。
私は様子見にキャスト開始。

思った通り、暫くすると頻繁にアタリはじめ、先ずはヒット。23センチ。



次のキャストもヒット、22センチ。



サイズは小さいが、活気がある。時合いだ。

友人もバランスが悪いながらもなんとか飛ばしウキを海へ運ぶことができるようになったようだったので、リグを装着、早速やってもらう。
今がチャンス、なんとしても彼に釣ってもらいたいわけだ。

ところがなかなかうまくいかない。
足元の磯に根掛かりしたり、ライントラブルの連続で、とうとうラインがぐちゃぐちゃに縺れてしまった。
既に辺りは暗くなり、暗闇へのキャストなわけで、初心者には何がなんだか分からないというのも当然のこと。

縺れをほどき、リーダーを付け直してやりたいが、今が時合いである。
メバルの時合いは短い。
彼らに刺身を食わせたいし、彼に釣ってももらいたい。

この矛盾、焦りを彼は読み取ってくれ、直すのは後にして今は釣ってくれと言う。

この時合いは言葉に甘えることにして、釣ることの一連の動作を見学してもらい、とにかく釣る。


23センチ。


24センチ。みんなでかくはないが、形がよかった。

その後小さいの数匹、やはり短い時合いだった。


その後、最初の時合いほどではないものの、アタリはぽつぽつあり、ぽつぽつ掛かった。


やっとデカメバルらしいやつ、26センチ。


23センチ。


25センチ。

まあこんな感じで、まあまあコンスタントに掛かるのだがサイズは26センチどまりだった。

中クラスの群れだったようだ。


先客もメバルのタックルに変えてメバルを狙うが掛かっている様子がない。
彼の釣り座からの方向にはメバルはいないのだろう。
後からやって来てこちらだけが釣り上げているのはなんとなく気持ちが落ち着かず、彼に声をかけ場所を譲ってみるのだが、やはり釣れない。

不思議なのだ。彼も飛ばしウキを使い、ワームも同じ、投げる方向も同じなのに釣れない。
何故か掛かるのは私だけなのだ。

福ちゃんにヒットしないわけはハッキリしている。ルアーが魚のいる場所に届かないからだ。
しかし、先客はキャストを見ても相当のベテランである。しっかり届いている筈なのに、釣れない。
こういったことはよくある。原因は分からない。

微妙なレンジの違いかと、ジグヘッドまでのリーダーの長さも同じにしてもらったのだが、やはりかからないのだ。
私が彼の立場なら、頭に来て帰るところだが、彼はその状況を笑っている。
まあ、本命が青物だから余裕があるのだろう、いや、ひょっとして相当練れた釣り師なのかもしれない。

福ちゃんは相変わらずトラブルの連続で飛ばしウキのストックもなくなって来た。
優しいやつでそのことに気を使うのだが、問題はない。
なくなったら、なくなったときなのだ。

それより、彼がまともな釣りが出来ないことが残念だった。
やはり、初めてでいきなり夜のキャストは難しかったとみえる。
で、一度、見本に私がキャストしてしてみせ、彼に引かせてみた。
すると、かかった!!


22センチ。

とにもかくにも初めて釣ったメバルだが、彼の顔は満足していない。


その後、私が根掛かりラインブレイク。
ラインを編み直している間、
彼の叫び声!

見ると、彼のロッドが絞り込まれているではないか。
ロッドの曲がりから案外でかいのではないか。
巻けー!!巻けー!!と思わずでかい声を出しちまった。

そしてバレずに上がって来た。
26センチ。

ついに彼が釣ったのだ。彼自身のキャストで。



やはり、先程の顔とは違い、心からの笑顔である。
ともあれ一匹釣るという彼の目標は達成されたのだった。
そして、私としてもこの写真を撮るのがその夜の一番の目標だったのだ。


その後、アタリは遠のいたので、プラグでやってみると



先客さんもプラグに付け替え、
すると、掛かった。

「やっと掛かった!」と満面の笑顔でメバルを我々のバケツへ。
ありがとう。


その後、とうとう飛ばしウキもなくなり、アタリもなくなったのでオシマイにした。


全体に久しぶりのメバルの活気だったが、ついに尺クラスにはお目にかかれなかった。
釣果は22~26センチ20匹だった。




明くる日、福ちゃん一家はたらふくメバルの刺身を食べ、京都に帰って行ったのだった。


福ちゃん、これに懲りずにまたやろうな。

次回はきっとうまくキャスト出来るよ。