夜明け前、いつもの輪島の磯に出かけた。
開幕第二戦である。
幸運にも休日だというのにポイントには先客はいなかった。
予報どおり1.5~2メートルの波、うねりもある。
イカ釣りにしてはちょっと荒いが、いい追い風で悪くはなかった。
ベタ凪よりはましである。
ともあれ3.5号をつけてフルキャスト。
着水後、波がなかったらカウント35のところ、カウント40~45。底を狙った。
大きく二段しゃくり、続いて軽く連続ダート。フォールを待ってまた軽くしゃくる。手首を返す程度の。
時々、藻に掛かるが、殆どは上の柔らかい葉の部分を引きちぎって回収できる。
そのためにラインは0.8号(17.8ポンド)、リーダーは3号をつけてある。
すぐにでもヒットすると思ったが、そうではなかった。
20分後、やっと来た。

まあまあの、この時期にしてはいいサイズ。
今回はこんな調子か、ぼつぼつだな
なんて思ったのだが、
その後、全く釣れなかった。
イカがいる気配がない。さわりもしない。
うんともすんとも、なんともはや、である。
荒れているせいか?
水温のせいか?
餌がいないのか?
ただいないのか?
いや、そんな筈はないだろう。
きっといるに違いない。
そう遠くはないが、私の手の届かないところに。
予報では次第に波は収まると言っていたし、確かに少し収まって来たようだった。
それを期待しよう。
頭はくるくると空転する。
そのうち周囲が明るくなって来て、釣り師が隣にやって来た。
どこかで見た顔、
「ゴロスケさんですよね」と親密な笑顔。
時折、釣り場で出会い顔なじみになっている輪島の釣り師K名人だった。
早速彼も竿を振り始める。
手際よいシャクリ、空を切る音が小気味いい。
しかし、彼もヒットの気配はなかった。
「昨年は来る度に40杯は釣れたのにな~」とこぼす。
彼は仕事の関係で昼専門だが、どういうわけか今年は釣れないのだという。
確かに、この時期は型は小さいが、昼に数釣りが出来る時期である。
夏のシュノーケリングで赤ちゃんイカを例年になく沢山見かけたし、
さぞ今年のイカ釣りはいいだろうと期待したのだが・・・・
波は少し落ちて追い風。悪くない状況なのだが、
やはり釣れなかった。
K名人も。
ちょっと気分転換にとルアーを替えてみた。
トップウォーターのレッドペッパーである。
昨秋、10月の終わり、イカのアタリがパタリと止んだので、こいつを投げたらヒラマサがヒットした。
軽いのに弾丸のようによく飛び、動きも面白い。
私の気に入りのルアーで、いつもバッグに忍ばせている。
まさかこの時期にヒラマサはいないだろうが、ともあれ気分転換。
右手に突き出た岩の沖の、渦巻いている潮目を狙う。
チョン、チョンと軽くトィッチを入れて水面を泳がす。
と、ガバッ!!と何かが食らいついた。
鋭く走った。青物の引きである。
唸るドラグを締める。
イカ用に緩めにしてあったのだ。
ゆっくりと引き寄せると、フクラギだった。

小振りだが、刺身でいけそうだ。さっぱりと美味いだろう。
トップでの釣りはやはり面白い。
暫くこれで楽しむことに。
チョン、チョン、チョン・・・ガバッ!!と来る。
が、弾かれて乗らないこともしばしば。
掛ける確率を上げるには引いて来るスピードも関係ありそうだ。
いろいろやってみる。時には止めてみたり。
と、乗った。
二匹目は少しサイズアップ。
その後、空振りしたり、乗ったもののバレたり。
で、もう一匹追加。
しかし、こんなやつらがウロウロしていたんではイカはいないわな~。
と、思いきや、名人がイカをヒットさせた。流石名人。
その後、フクラギの気配はなくなり、何気なく正面にフルキャストすると、
何かがルアーを引ったくった。
先程のフクラギより強烈な引き。締めたドラグが引き出され唸った。
フクラギのでかいやつか、と思ったがどうも違うようだ。
やりとりに少し時間をかけ弱らせてから、引き寄せる。
魚体が見えて来た。その黄金色、シイラだった。
リーダーを掴んで引き上げる。


まだ子供のようだが、その顔はユニークで愛らしい。

しかし、驚いた。
ヒラマサの時もそう思ったが、まさかこんな磯でシイラとは。
その後はシイラ祭りとなった。
もう入れ食い。
投げる度に食いついて来る。
空振りしたり、弾いたり、乗ったり、乗らなかったり。
乗ると走り、ジャンプする。そしてまた走る。
その激しい躍動がラインを直に伝わって来る。
あまりの激しさにレッドペッパーの後のトリプルフックが折れてシンプルフックになっちまった。
他のルアーのフックを取って付け替え、また投げるとまたヒット。まだいる。
なんだかキリがない。
釣りとしては最高に面白いのだが、シイラを沢山釣ってもなあ~。
なんせハゲシク岩の上を飛び跳ね、傷だらけになっちまってリリースが出来ない。
釣った以上は食わんといかんのである。
いつだったか、魚屋さんでシイラの刺身を売っていたし
食えんことはなさそうだが、なんとなく美味そうには見えないし・・・
フクラギなら村の仲間にお裾分けという手もあるのだが。
で、シイラ釣りはやめにし、
気合いを入れ直し、本命のイカ釣り再開。
シイラがうようよいる海にイカはいないだろうが
なんだかこのまま帰る気がしない。
なんといってもイカを釣りに来たのだから。
この状況で名人は釣ったのだし。
シイラは小魚を狙って表層を泳いでいる。
ならば底ベタだ。
藻の陰にじっと隠れ潜んでいるやつを狙おう。
と、名人がまたヒットさせた。
うむ、やっぱり釣れない筈はないのだ。
しかし、やっぱり釣れなかった。
その後、名人も渋く竿を降り続けるがさっぱりのよう。
釣れん時は釣れんのだ。
口惜しいが、諦めよう。
道具をしまい、煙草の吸い殻を拾って、岩をよじ登り、名人と肩を並べ磯を後にした。

(K名人の渋い背中)

開幕第二戦である。
幸運にも休日だというのにポイントには先客はいなかった。
予報どおり1.5~2メートルの波、うねりもある。
イカ釣りにしてはちょっと荒いが、いい追い風で悪くはなかった。
ベタ凪よりはましである。
ともあれ3.5号をつけてフルキャスト。
着水後、波がなかったらカウント35のところ、カウント40~45。底を狙った。
大きく二段しゃくり、続いて軽く連続ダート。フォールを待ってまた軽くしゃくる。手首を返す程度の。
時々、藻に掛かるが、殆どは上の柔らかい葉の部分を引きちぎって回収できる。
そのためにラインは0.8号(17.8ポンド)、リーダーは3号をつけてある。
すぐにでもヒットすると思ったが、そうではなかった。
20分後、やっと来た。

まあまあの、この時期にしてはいいサイズ。
今回はこんな調子か、ぼつぼつだな
なんて思ったのだが、
その後、全く釣れなかった。
イカがいる気配がない。さわりもしない。
うんともすんとも、なんともはや、である。
荒れているせいか?
水温のせいか?
餌がいないのか?
ただいないのか?
いや、そんな筈はないだろう。
きっといるに違いない。
そう遠くはないが、私の手の届かないところに。
予報では次第に波は収まると言っていたし、確かに少し収まって来たようだった。
それを期待しよう。
頭はくるくると空転する。
そのうち周囲が明るくなって来て、釣り師が隣にやって来た。
どこかで見た顔、
「ゴロスケさんですよね」と親密な笑顔。
時折、釣り場で出会い顔なじみになっている輪島の釣り師K名人だった。
早速彼も竿を振り始める。
手際よいシャクリ、空を切る音が小気味いい。
しかし、彼もヒットの気配はなかった。
「昨年は来る度に40杯は釣れたのにな~」とこぼす。
彼は仕事の関係で昼専門だが、どういうわけか今年は釣れないのだという。
確かに、この時期は型は小さいが、昼に数釣りが出来る時期である。
夏のシュノーケリングで赤ちゃんイカを例年になく沢山見かけたし、
さぞ今年のイカ釣りはいいだろうと期待したのだが・・・・
波は少し落ちて追い風。悪くない状況なのだが、
やはり釣れなかった。
K名人も。
ちょっと気分転換にとルアーを替えてみた。
トップウォーターのレッドペッパーである。
昨秋、10月の終わり、イカのアタリがパタリと止んだので、こいつを投げたらヒラマサがヒットした。
軽いのに弾丸のようによく飛び、動きも面白い。
私の気に入りのルアーで、いつもバッグに忍ばせている。
まさかこの時期にヒラマサはいないだろうが、ともあれ気分転換。
右手に突き出た岩の沖の、渦巻いている潮目を狙う。
チョン、チョンと軽くトィッチを入れて水面を泳がす。
と、ガバッ!!と何かが食らいついた。
鋭く走った。青物の引きである。
唸るドラグを締める。
イカ用に緩めにしてあったのだ。
ゆっくりと引き寄せると、フクラギだった。

小振りだが、刺身でいけそうだ。さっぱりと美味いだろう。
トップでの釣りはやはり面白い。
暫くこれで楽しむことに。
チョン、チョン、チョン・・・ガバッ!!と来る。
が、弾かれて乗らないこともしばしば。
掛ける確率を上げるには引いて来るスピードも関係ありそうだ。
いろいろやってみる。時には止めてみたり。
と、乗った。
二匹目は少しサイズアップ。
その後、空振りしたり、乗ったもののバレたり。
で、もう一匹追加。
しかし、こんなやつらがウロウロしていたんではイカはいないわな~。
と、思いきや、名人がイカをヒットさせた。流石名人。
その後、フクラギの気配はなくなり、何気なく正面にフルキャストすると、
何かがルアーを引ったくった。
先程のフクラギより強烈な引き。締めたドラグが引き出され唸った。
フクラギのでかいやつか、と思ったがどうも違うようだ。
やりとりに少し時間をかけ弱らせてから、引き寄せる。
魚体が見えて来た。その黄金色、シイラだった。
リーダーを掴んで引き上げる。


まだ子供のようだが、その顔はユニークで愛らしい。

しかし、驚いた。
ヒラマサの時もそう思ったが、まさかこんな磯でシイラとは。
その後はシイラ祭りとなった。
もう入れ食い。
投げる度に食いついて来る。
空振りしたり、弾いたり、乗ったり、乗らなかったり。
乗ると走り、ジャンプする。そしてまた走る。
その激しい躍動がラインを直に伝わって来る。
あまりの激しさにレッドペッパーの後のトリプルフックが折れてシンプルフックになっちまった。
他のルアーのフックを取って付け替え、また投げるとまたヒット。まだいる。
なんだかキリがない。
釣りとしては最高に面白いのだが、シイラを沢山釣ってもなあ~。
なんせハゲシク岩の上を飛び跳ね、傷だらけになっちまってリリースが出来ない。
釣った以上は食わんといかんのである。
いつだったか、魚屋さんでシイラの刺身を売っていたし
食えんことはなさそうだが、なんとなく美味そうには見えないし・・・
フクラギなら村の仲間にお裾分けという手もあるのだが。
で、シイラ釣りはやめにし、
気合いを入れ直し、本命のイカ釣り再開。
シイラがうようよいる海にイカはいないだろうが
なんだかこのまま帰る気がしない。
なんといってもイカを釣りに来たのだから。
この状況で名人は釣ったのだし。
シイラは小魚を狙って表層を泳いでいる。
ならば底ベタだ。
藻の陰にじっと隠れ潜んでいるやつを狙おう。
と、名人がまたヒットさせた。
うむ、やっぱり釣れない筈はないのだ。
しかし、やっぱり釣れなかった。
その後、名人も渋く竿を降り続けるがさっぱりのよう。
釣れん時は釣れんのだ。
口惜しいが、諦めよう。
道具をしまい、煙草の吸い殻を拾って、岩をよじ登り、名人と肩を並べ磯を後にした。

(K名人の渋い背中)
