名古屋の家にはガスコンロがない。
普段は相方が一人で生活してるが、自炊するような
時間もなく深夜帰宅が続いているので必要ない。
なので今は私が卓上コンロ1個で料理している。
コンロが1個しかないのはかなり不便。
同時に複数の調理が出来ない。
しかもガスボンベがなくなると買いに行かねばならない。
今回はメニューの選択ミス。
加熱に時間のかかる「牛すじ煮込み」と
「本格的なカレー」を作ってしまった。
牛すじは茹でこぼしたり長時間煮込んだり。
カレーなんて簡単に作ろうと思えば鍋一つで出来る。
しかし今回は何故か本格的カレー。フライパンで
カレー用牛肉をソテーしたり、玉ねぎを炒めたり。
あたふたしながら料理しているうちに相方が帰宅。
どっちの料理も中途半端に未完成・・・。
というわけで近所の沖縄料理屋へ出かけた。
スタッフ全員沖縄の人でみんな身内。ディープ沖縄。
期待できそうな予感にワクワクする。
海ぶどう・ゴーヤチャンプルー・ラフテー・ミミガー・
島らっきょう・てぃびち煮込みなど定番メニューを注文。
相方はビール。私は車を運転しなきゃならんのでさんぴん茶。
二人でガッツリ食べていると、隣のオジサン二人が話しかけてきた。
見るからに沖縄顔。大城さんという兄弟だった。
大城兄弟はこっちで仕事してるらしい。泡盛を飲みながら
店の片隅にあった三線を取り出して、弾きながら歌い始めた。
す、すごい。普通のオジサン客二人がさりげなく演奏する。
こんなところで生の琉球ライブが聴けるとはビックリだ。
琉球民謡は恋の歌が多いらしい。その次は教訓唄。
おじいやおばあが三線を弾きながら、子供達に歌って聞かせ
伝えていったそうだ。
たとえば有名な「てぃんさぐぬ花」。これは沖縄を代表する教訓唄。
「てぃんさぐぬ花」とはホウセンカのことで、花の色は紅、桃、白。
(てぃんさぐの花は爪先に染めて、親の教えは心に染めなさい)という意味らしい。
以下、心を磨きなさい、親を大事にしなさい、誠意をもってあたりなさい。
何事も努力が大事と諭すように歌っている。
かつて、沖縄では女の子がてぃんさぐの花を取り、それをつついた汁を
爪先に塗って遊んでた、そこから来ている唄だそう。
こんな深い意味のある歌詞だとは初めて知りました、私。
沖縄の人って誰でも三線弾けるんですか?と相方。
好きじゃなきゃ弾けないねぇ、と大城兄。
でも店の若いスタッフも弾けるという人が多かった。
8時過ぎ頃から1時近くまで飲んで食べて話して歌って。
内容の濃いひとときだった。
普通に沖縄に旅行しても地元との人とこんなに話をする
機会はないかもしれない。思わぬ場所で思わぬ出会い。
このお店に来れて良かった。
タクシーもなかなかつかまらない深夜1時。大城兄弟を車で
自宅へ送っていくことに。
大城弟:あらっ。この車は左ハンドルだねぇ~。久し振りだよ。
大城兄:私らが車の免許取った当時、自動車学校の車は
左ハンドル、道路は右側走行だったからねぇ~。
大城弟:沖縄が日本に返還されたと同時に左側走行になって
バスが事故起こしたさぁ~。急には無理だもんね~。
アメリカだった時代。通貨がドルだった時代。
歴史を肌で感じた夜だった。