時空人 goo blog「脳トレ宇宙論ー人類の見果てぬ夢」

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霧の玉手箱28(ウイルソンの霧箱)

2017-05-15 10:09:49 | 数楽絵草紙

あとがき

私たちの周りの大気や地殻の中には自然放射線が存在し身近なものである。それを目で見たり肌で感じることはできないが、実際に霧箱で観察すると、放射線はいろんなものから出ていることが実感される。現在、放射線は物質の解析、材料の改良、食物の品種改良、医療などの分野に大変役立っている。また膨大な放射線エネルギーの利用も盛んである。一方、原爆や原子力発電所の放射線漏れなどの危険な面もある。しかしながらどれほどの人が「放射線」を学校できちんと学んでいるか、また社会に出て正確に認識しているだろうか。

さて霧箱は比較的簡単に作ることが出来て、学校での教材にもなっている。宇宙放射線の実際の飛跡を見るとき、これが何千光年の彼方からやってきた粒子が残していると思うと、それは神秘的であり、感動的な光景ですらある。そして古今東西の多くの先達が観測して研究を重ね、宇宙物理学や原子物理学を発展させた努力の歴史を思いながら、その疑似体験をすると新たな知的興奮が湧き出てくる。さらに、もしかすると我々が常日頃見ている自然現象の中にまだまだ大きな発見の種が埋もれているかもしれない。そして、夢や好奇心を持ち、ものづくりの楽しさを知れば我々の心はもっと豊かになるだろうこと請け合いである。(2017.2)

 

参考文献・資料

1.CHARLES T. R. WILSON、“On the cloud method of making visible ions and the tracks of ionizing particles”, Nobel Lecture, December 12, 1927

2.P ATRICK M. S. BLACKETT、“Cloud chamber researches in nuclear physics and cosmic radiation”、

Nobel Lecture, December 13, 1948

3.エミリオ・セグレ著 久保亮五、矢崎裕二訳、「X線からクォークまで-20世紀の物理学者たち-」、

Emilio Segre , “From X-rays to Quarks; Modern Physicists and Their Discoveries”, みすず書房、1982.

4.WEB;霧箱、宇宙線、原子核物理、科学者人名など

5.WEBには実際に実験可能な放射線源による種々の核分裂や粒子生成放射、原発放射能などの霧箱の写真

  が多数ある。また霧箱の基礎諸元、新型霧箱、応用分野などの研究や卒論が多数あり参考に事欠かない。