時空人 goo blog「脳トレ宇宙論ー人類の見果てぬ夢」

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霧の玉手箱23(ウイルソンの霧箱)

2017-05-10 07:22:20 | 数楽絵草紙

実験の様子、感想、衝撃、目撃、興奮

1.ラジウムの青い光

1トンのピッチブレンドから分離精製できたラジウム塩化物はわずか、0.1グラムほどです。したが、次の1トンそして次の1トンと精製を重ねるうちに、放射性元素は着々と濃縮されていきます。

そしてある夜のこと、精製を続け、凝縮したラジウム塩化物をマリーが試験管から蒸発皿へ移したときのことです。蒸発皿が何やら、青白く光っているように見えたのです。最初は連日の疲れから、天上のランプの光に蒸発皿が反射しているのかと思いましたが、そのランプを消してみたところ、確かに蒸発皿全体が青白く光っているではありませんか!

後年、マリーはこのときの光を「青白い妖精のようだった」と語っています。こうして、1902年3月、マリーとピエールは世界で初めて、純粋なラジウムに限りなく近い濃縮試薬の抽出に成功しました。出来上がった試料のスペクトルを計ってみたところ、ラジウム固有のものであることも確認でき、暗い実験室の中で青白く光る純粋ラジウム塩の青い光を、二人は手をつないでいつまでも眺めていました。


2.人類最初の連鎖反応(最初の原子炉CP-1)

 原子炉は最初の計画ではシカゴ郊外のアルゴンヌの森の中に建設されることになっていたが、建物の完成を待てなかったため、シカゴ大学のフットボール場のスタンドの下を利用した建設を急いだ。1942年11月4日に炉の組み立てが始まり、一か月後の12月2日に試運転が行われた。
 ウラン燃料約42トン、黒鉛減速材350トン、制御棒にはカドミニウム板とボロン含有鋼鉄板が用いられた。
 原子炉の開発に参加した43人が試運転に立ち会った。フェルミを始め、コンプトン、シラード、ウィグナー、ジンなど有名な学者も含まれていた。試運転はフェルミの総指揮の下に行われた。 
 (臨界に達したときの様子を、フェルミの助手を務めたアンダーソンの手記から引用)
「カドミニウムの制御棒は一段一段ゆっくりと引き抜かれた。最終段階に到達したとき、次の段でフェルミは原子炉が臨界に達する確信を得た。カドミニウム棒を必要な位置まで引き出したとき、中性子強度の増加は目に見えて早くなった。最初、計数管の音はチクタク、チクタクと聞こえていたが、この音は急速に増え、しばらくするとゴウゴウとうなるような音になった。計数管はもはやこれに追随できない。この瞬間グラフを描くスイッチが入る。すべての人は急に押し黙り、記録のペンが山なりに振れるのをじっと見つめた。それは恐ろしいような沈黙であった。だれもがスイッチの意義を理解していた。あまりに高い強度の領域を相手にしているので、もはや計数管はこれ以上対応できないのである。何度も何度も記録計の目盛りを切り換えねばならなかった。ますます急増する中性子の強度に呼応する必要があったからである。急にフェルミが手を上げた。そして、”炉は既に臨界に達した。”と宣言した。そこにいる人はだれもそれを疑わなかった。そして、どうしてフェルミが炉を停止させないのかと皆がいぶかり始めた。しかし、フェルミは全く冷静そのものだった。彼はそのあと1分、そしてまた1分待った。皆の心配が頂点に達したように見えたとき、彼は命令した。”ジップをおとせ。”ジンがジップのロープをゆるめた。制御棒が落下して炉に挿入され、中性子の強度は突如として低下した。----- だれも笑わなかった。だれもが興奮していた。彼らは歴史の中の偉大な瞬間の証人となったのである。」
 

3.トリニティ実験( Trinity)

1945年7月16日にアメリカ合衆国で行なわれた人類最初の核実験である。
現地時間 5時29分45秒に爆弾は爆発し、TNT換算で約19kt(87.5 TJ)のエネルギーを放出した。この爆発で砂漠の爆心地には放射能を帯びたガラス質の石からなる深さ3m、直径330mのクレーターが残された。爆発の瞬間、実験場を取り囲む山々は1秒から2秒の間、昼間よりも明るく照らされ、爆発の熱はベースキャンプの位置でもオーブンと同じくらいの温度に感じられた、と報告されている。観察された爆発の光の色は紫から緑、そして最後には白色へと変わった。衝撃波による大音響が観察者の元に届くまでには40秒かかった[6]。爆発の衝撃波は160km離れた地点でも感じることができ、キノコ雲は高度12kmに達した。

4.忌まわしい核実験

1962年10月、アメリカで行われた核実験を地球の外から撮影した写真です。
これはすごいです...核爆発で発生した煙に地球が覆われています。
核出力400キロトン、上空50キロ弱にも舞い上がるキノコ雲...。言葉が出ません。 

5.素朴な驚き・感激

ウイルソンのように霧の美しさに感激して研究心をもったり、

子どものときの夜空の星々の美しさに感動したり、望遠鏡で土星の衛星を見たり、輪を視たりして感激した少年もいるだろう。

また科学の実験で驚いたり、不思議に思ったことも忘れられない思い出に残る。

人間は好奇心満々の動物である。