不道徳
2016-09-15 | 昔々
大人になってからのこと
ある日母が
鬼の形相で
拳を握りしめながら
声を震わせた
あの女
死ねばいいのに
女の影を感じた母が
父の携帯を見て確信したようで
私は知らないけど
家にも遊びに来たことのある
父の部下の女だったらしい
その時の私は
驚きはしたものの
母のような感情にはならなかった
父も普通の人だったんだって
ぼんやり思っただけ
その数年後にその女は
癌で本当に死んでしまったのだけど
癌だとわかった時ぐらいだろうか
父からその女に宛てたメールが
私の携帯に間違って送信されてきた
名前が似ていたから
アドレス帳の上下だったのだろう
そのメールは
思いやりに溢れ愛情に溢れ
そして男を感じさせるものだった
私やその時の母には
決して見せないであろう
別人のような父の顔
私は父に冗談のように
何?って返信しようか
母にこんなの来たって
告げ口しようか
しばらく悩んだ
けれど結局どちらもしなかった
父は気付いたかもしれないけど
私はメールなど
受け取っていない顔を通した
母は自分が怨み殺した
訳じゃないよねって
怖がっていたけど
私は何とも思わなかった
ある日母が
鬼の形相で
拳を握りしめながら
声を震わせた
あの女
死ねばいいのに
女の影を感じた母が
父の携帯を見て確信したようで
私は知らないけど
家にも遊びに来たことのある
父の部下の女だったらしい
その時の私は
驚きはしたものの
母のような感情にはならなかった
父も普通の人だったんだって
ぼんやり思っただけ
その数年後にその女は
癌で本当に死んでしまったのだけど
癌だとわかった時ぐらいだろうか
父からその女に宛てたメールが
私の携帯に間違って送信されてきた
名前が似ていたから
アドレス帳の上下だったのだろう
そのメールは
思いやりに溢れ愛情に溢れ
そして男を感じさせるものだった
私やその時の母には
決して見せないであろう
別人のような父の顔
私は父に冗談のように
何?って返信しようか
母にこんなの来たって
告げ口しようか
しばらく悩んだ
けれど結局どちらもしなかった
父は気付いたかもしれないけど
私はメールなど
受け取っていない顔を通した
母は自分が怨み殺した
訳じゃないよねって
怖がっていたけど
私は何とも思わなかった