妄想をやめてみようか

涼しいを通り越して

寒さに震えるような

夜の運動公園は

八時を過ぎても

かなり賑わっていて



帰りたいと肩をすぼめながら

ふと空を仰ぎ見ると

澄んだ空気の中

大きな月が存在を主張していた



不意に

あの人もこの月を

見ているかもしれないなんて思ったら

無性に会いたいって言葉が浮かんで



棚ボタを期待していた自分が

ばかみたいに思えた



何もせず待っていても

何も変わらない



何かを実現したかったら

考えて行動を起こさないと

何も始まらない



例えそれが

希望していたことに

繋がらなくても



同じ時代を生きられただけでいい

なんて殊勝なこと言ってないで



怖がらずに行ってみようか



行動したことの後悔より

行動しなかったことの後悔の方が

きっと重くのしかかってくる



あなたの役に立ちたい



そばにいられなくていい

何かしら関わって



あなたを感じていたい

可能性は無限大

宿題を広げてる君は

いつもつまらなさそうで

全く進んでいなかったりする



どうかしたの



私が近寄ってきたことに

気付くやいなや

君はぱぁっと笑顔になって



ノートの上に

昆虫図鑑をバンって広げて

昆虫の説明をし出すんだ



それでね

カタツムリを飼ってるんだ



手洗いはしてるだろうかと

私は少しのけぞって

引きつりながらも

笑って見せる



葉っぱの上にウンチもしてさ

だから洗ってあげるんだ



楽しそうに目をきらきらさせて

話す君は得意げで



君のお母さんは

君が勉強できないと嘆いているけど

私はそんな心配してないよ



だって君は

興味のあることなら

自分でどんどん行動出来る子だもの



大丈夫

君の可能性は無限大だ

ぼろぼろのお茶碗

欠けてヒビの入ったお茶碗でも

使い方次第

使う人次第



大事に扱えば

一生使えるということを



人間関係に例えて

教えてくれた人がいて



その時の私は

お茶碗は新しいのに

買い替えればいいし

ヒビの入った人間関係は諦めて

新しい人間関係を築けばいいって

言い返してたけど



今の私は

例え欠けていようが

ヒビが入っていようが



これ以上欠けないように

絶対割らないように

壊さないように



大事に慎重に



大切な関係を

続けていこうとしている

恋がしたい

恋をしてみない

恋をしようよ



そんな感覚忘れたなんて

言わないで



ちょっと男性不信なのも

恋をすればどうでもよくなる



綺麗になろうよ

綺麗にしよう



現実の中にいる人じゃなくていい

いつか迎えに来てくれるって思っていよう



私のことが一番って言ってくれる人がいい

大好きって言ってくれる人がいい

ぎゅってしてくれる人がいい



恋がしてみたい

恋をしてみたい

こんな男ばかりだから

友人が

今流行の心療内科へ

通院し出した



体調がすぐれないと

以前から言っていたけど

ついにきたかという感じで



なぜ私たちの親は

女は痛みに強いとか

女の方が我慢強いとか

頑張ることばかり耐えることばかり

教えてきたのだろう



彼女は一人で頑張ろうとしたけど

精神が崩壊していったんだ



子供が勉強ができない

子供が運動ができない

子供がいじめられていそうだ



旦那さんに相談したら



それはお母さんの仕事でしょう



子育ては自分でと

仕事はやめた



旦那さんは

テレビ見てる

スマホ見てる

ゲームしてる

浮気してる



今更離婚できない

仕事できない

どうしようもない



どうしたらいい



こんな人だとわかっていたら

結婚しなかった

こんなに子供で苦労するなら

生まなきゃ良かった



助けて助けて

お母さん助けて



皆が通ってきた道なんだから

あなただけできないのは

おかしいでしょう



そして彼女は

心療内科に通い出した



彼女の話でリアル体験した気になったが

私には

ただただ

彼女の話を聞くことしかできない

選択の自由

いろんなしがらみや義務感に

押しつぶされそうになり

時々逃げ出したくなる



いろんなことが面倒になって

どうにもならないことに

叫びたくなる



一人で生きていけたら

さぞかし楽なんじゃないかって

妄想にふけることもある



でも

客観的に大きく見てみたら

これが幸せなのかもしれないなんて

錯覚に陥る



だってたぶん

一人の時より笑ってる時間が長いから



それから

人のいる気配のする家の中は

それだけで守り守られている気がするから



そして何より

もう　一人で生きている自分が想像できないから



だから

幸せだと思おうとしているのかもしれない



どちらの選択もそれなりだろうけど

どちらかを選んでいいと言われたら



私はやっぱり

一人じゃない方を選びたい

未来のいつか

いろんなグループに

所属している私には

友人や知り合いが多い



わりと明け透けに

何でも話し

いつもよく笑っている



でも

若かりし頃にいた

時には恋人より優先するような

大切な親友と言える人は

今はもういない



皆がきっと同じ



一番大切なものが

親友から家族や家庭や仕事に

変わってしまったから



昔を懐かしく思うとき

そこには必ず親友がいて



強い友情があった

切れない絆があった



あくせくとした毎日に

いつか終わりがきたら



また親友ができるだろうか



私はまたあなたと

あんな関係を築きたい

謝るのは挨拶と同じ

ごめんごめんねごめんなさい



謝ることが癖になっているのか

挨拶代わりのように



ごめんごめんねごめんなさい



相手の方が悪くても

謝ったもの勝ちのように



ごめんごめんねごめんなさい



それって

自虐的すぎないって言われて



そうかな

ごめんごめんねごめんなさい



相手に謝られてしまうと



謝らなくていいの

私が気を付ければ良かったの



ねえ

子供にはちゃんと謝ること

教えたいんだけどって言われて



そうだよね

ごめんごめんねごめんなさい

誰の記憶に残したい？

昔

片思いの友だち二人が

それぞれの相手に

一度でいいから遊びでいいから

抱いてほしいと

告白したことを思い出した



どちらも願いは叶ったけど

一人はとても幸せだったと言い

一人はとても悲しかったと言った



その時私は

その手があったかと

はっとしたのだけれど



二人の結末の感想は

正反対になってしまって



幸せだと言った方は

自分の記憶に残したかった



悲しかったと言った方は

相手の記憶に残したかった



その違いだった



前者は自分の中で完結して

決別のつもりだったようだし



後者はここまでしたのだから

もしかしたら振り向いてくれるかもと

相手に期待するものだったようで



今思うのは

どんな時も相手に期待するのは

危ういということで



だから

期待しなくてもいい状態にまで



何とか

自分を強くしてみたいと思ってる

ベスト３がすごすぎて

嫌な人に

またまた嫌なことを言われ

嫌だと思いながらも

嫌とは言えずに

嫌々　はいと言い

一人で嫌な顔して

ため息をついた



でも

今までの嫌なこと

無理難題ベスト３を

思い返していると



今回の嫌なことは

それらに比べて

たいしことないように

思えてきて



あれっ

もしかしてそんなに

嫌なことではないかもなんて

少し気分が変わってくる



嫌な人の嫌なことレベルが

少し落ちてきたような

気さえする



そしたら何だか笑えてきて



まっいいかって

気にならなくなった