ずっと

人は
亡くなってからの４９日までは
その人の家や
自分の子どもたちの家に
遊びに来たりしている


あなたがこんな事を聞いてきて


だから自分ちに
おとうさんが来てるような気がしてたんだ
なんて言って


自分は飲みもしないのに
コンビニでビールを一本買ってきて
グラスに注いで台の上に置いた


おとうさん、飲んでくれ


私は
霊関係のことはよくわからないけれど


あなたの心がまぶしくて
思わず笑ってしまった


こんな平凡な日常の１コマが
私にとっては
かけがえのない
幸せな一時を作っている

あなたを想って

あなたの夢を見た


あなたが

「生まれ変わったら一緒になろうね。」

なんて
昔どこかの芸能人が言ったようなセリフを言って


悲しげなんだけど
どこかしゃあしゃあとしていて
何だか私は悲しくなっていた


あなたと私とは考え方が違う
それは男と女の違いもあるけれど
何かギクシャクを感じてしまう


あなたと私の合ったものが
ただ一つ


それはタイミング


そうきっと
これだけだったのかもしれないね


もしもとか来世ではとかじゃなくて


今これからの一つ一つを
大事に育てて


私よりはるかにずっと
幸せになってほしい


これが私の願いです

けんか根性

雨の中
列に並んで待っていたら
後ろの人に靴を踏まれた


いたっ


靴が汚れちゃった
やめてよ
踏み返そうかしらなんて

ちょっといらっ


やっと自分の番が来たって
気を抜いた瞬間
横からさっと前に入られて
順番守りなさいよって
言ってやろうかしらなんて

ちょっとむかっ


いらいらむかむかしながら
ふと昨日
自分が人に言った言葉を思い出した


けんか根性はやめないとね
すべて負けてあげれば
争いはなくなるのよ


これは
天から私へのお試しかしら


はあ
私もまだまだです

このままで

このまま死ぬまで

言葉を交わさなくても

二度と会うことなどなくても




何度となく

お互いの存在を

知ってしまうなんて




何だろう

不思議な安心感

おとうさん

あなたの
おとうさんが亡くなって
お葬式が終わった後に
あなたが呟いた


ひどい人だった
酒癖の悪い人だった
散々迷惑をかけられた
だから僕は酒を飲まないんだ


あなたが
おとうさんの悪口を言うのを
初めて聞いた


大変だったんだね
ずっと我慢してたんだね


でもね
例えどんな親だったとしても
子どもが親を批判するなんて
そんな権利はない
っていうか
それをしてはいけない
って思うの


あなたが今生きている
そのことだけで
親に感謝しよう


あなたが今生きていることに
そしてあなたのおとうさんに


感謝です