心の模様

心の中の一つ一つを整理して、いつか素敵な部屋にしてみたい。

決心

2021-02-11 | 代わりに
5歳3歳0歳の子供を持つ
専業主婦

共働きの両親を見て育った私は
どうしても自分の手元で
子供を育てたかった

それまで資格もいろいろ取って
寝るのを惜しんで仕事してきたけど
子供ができたのをきっかけに
すっぱりやめた

でもこの年齢の3人の子育ては
専業主婦だからって
容易なものではない

夫は抱っこ一つしない人で
それは僕の仕事じゃないと
言い切る

独身時代と変わらない生活
家族持ちという世間体
私という家政婦
夫にはいいことしか
ないのではないか

なのに
3食昼寝つきで
かわいい子供と
一日中一緒にいられて
ぐーたらしてればいいんだから
幸せだよなぁって

優しくにこにこ
癒してくれるかわいい人と
結婚したかったなぁって

私は
身も心も疲れ切っていて
反論することもできない
そうねって背中を向けて
決心した

死んでくれたらいいのにって
願うほど夫に愛情は
感じなくなっていた

もともと見合い結婚で
結婚しなきゃって焦っての
結婚だった
夫も同じだったと思う

でもその前に
幼稚園児の長男に
一応報告しなきゃって思って

「ママは離婚しようと思ってる。
ママと一緒にくるよね?」って

幼稚園児の長男は
困った顔をして
「離婚したら、ママのほうに
ついていくけど・・・
ぼく、パパがいなかったら、
かっこ悪いよ。」
っと下を向いた

かっこ悪いかっこ悪い
幼稚園児の長男の声が
私の心の中でこだまする

離婚して
3人を一人で育てていこうと
少しずつ積み上げて詰めた
計画も決心も

木っ端みじんに
飛び散った

離婚はできない

もう私は
ここでやりきるしかないんだって

腹は決まった

ここで
何でもない顔して
幸せそうに笑って

一人で3人を
育て切ってみせるって

きっと必ず

エンディング 2

2017-08-23 | 代わりに
コーチたちが目を潤ませて

先生たちが目を真っ赤にして

泣きじゃくっていた



実力に差があったと思う

完敗だ



悔し涙は出なかった

仲間たちは泣いていたけど



私はただぼんやりして

来年はどうしてるだろうなんて

関係ないことを考えてて



私たち8人はコートの後ろ端

観客席に向かって一列に並び

ありがとうございましたと

最後の礼をした



労いの言葉と

温かい拍手が

私たちの頭上から

たくさんたくさん

降ってきて



ああ 終わったんだと

我に返ったようにやっと実感して

空を見上げる



どこまでも続く

澄んだ綺麗な空の青さが

ジンって心に沁みて



切り替えるよって

皆に笑いかけた

もうわかったから

2016-12-20 | 代わりに
おかあさん

どうしてそんなに

先生に謝ってるの



私は何も悪いこと

してないのに



先生のこと

嫌いなんだから

しょうがないじゃない



この先生

いちいちキモイんだって

話し方も嫌味っぽいし



皆も嫌ってるし

皆と同じことしてるだけだし



だから

そんなに謝らなくていいって



皆のおかあさんは

こんなに謝ってないよ きっと



もうやめてよ

恥ずかしいよ



そんなに謝ってるおかあさん

カッコ悪いよ



もうわかったから

先生のこと無視しないから



もうわかったから

先生に嫌な顔しないから



ごめんって

謝らせてごめんって



先生のこと嫌いだけど

もうしないから



ごめん

おかあさん

カンニング

2016-12-01 | 代わりに
塾の小テストで

カンニングしてしまった



あんなに勉強したのに

焦って度忘れしてしまって



百点じゃなかったら居残りで

今まで居残りなんてしたことがない



嫌だ 居残りしたくない



隣の友達の答えを見たら

ああそうだったって



でもそれを見て書いたのを

その友達が見てた



だめじゃないって

その友達は小さく言った



お願い誰にも言わないでって

私も小さく言った



居残りの子は少しいた

居残りせずに帰ってくる道々

もやもやした気持ちでいっぱいだった



家に帰るとお母さんが

また居残りしなかったんだねって笑った



お母さんの優しい顔を見たら

黙っていられなくなった



ずるしたから



涙が後から後から出てきて

お母さんに抱きついて

カンニングしたことを言った



先生に知られたら退塾だよね

もう塾行きたくない

もうやめる



泣きじゃくる私にお母さんは

居残りしたら良かったのにって

優しく言った



みんなに知られたら

今までの百点も疑われるだろうし

先生からは退塾って言われるかもだけど



しょうがないよ

悪いことしたんだものって



今度わからなくなったら

ちゃんと居残りするのよって



私はうんうんって頷いた

時間を戻して居残りしたいって

強く思った



でも時間は戻らない

後悔後悔後悔



私はずっと考えた

こんな嫌な思いは

もうしたくない



だから決めた

明日塾の先生に

ずるしたことを

言いに行こうって

パートナー

2016-09-17 | 代わりに
もう少しだけ時間をください



諦めるのは簡単だから

壊すのなんて一瞬だから



今までずっと一緒で

決して仲良くはなかったけど



お互いの実力だけは

認めてきたよね



何もかもがライバルで

容姿も頭も人望も



負けないって

張り合ってしまうことが

時にお互いを傷つけた



でもいつものことじゃなかったの?

いつのまに限界なんてことになってたの?



いらないなんて言わないで

必要ないなんて寂しすぎる



最後までやり遂げるには

お互いが必要だってこと



もう一度思い出して



あなたは大切な人

今私は泣きたくなるほど



自分を変えようと思える程

あなたを必要な人だと感じてる



本気モード

2016-07-19 | 代わりに
中3最後の試合



部活はあまり休むこともなく

毎日頑張っていたと思う



部活の仲間は面白いやつばかりで

部活は楽しかった

笑いに溢れてた



試合は2回戦であっさり負けた

まあこんなもんだろうって感じ

これで勉強一色かってため息が出た



弁当も食べて時間を持て余しながら

仲間とふざけながら

客席で笑っていると



目の前のコートで

決勝戦が始まった



その白熱した熱い試合に

会場中の誰もがもちろん僕も

しっかりと目を奪われた



胸の中が熱くなってくる



僕には何かが足りなかった

何もかもが足りなかったんじゃないかと

悔しい気持ちになる



でもあいつらはきっと化け物だ

ものすごく大きいし

勝って当たり前だろう



その後で

その試合を制したあいつが

背筋をピンと伸ばして

真面目に歩いているのを見た



いつもならダセーって思える

普通のやつみたいだった



背丈も僕と同じくらいか

僕より小さいくらいで

全く普通の中学生で



それなのに何でだろう

めちゃくちゃカッコよく見えるのは



僕は敗北感でいっぱいになった



僕は背筋を伸ばしてみた

ジグザグでなく真っ直ぐ歩いてみた



あいつを見てたら

僕も本気になってみようかって



心が燃えてきたんだ