この存在

あなたの勤務地へ

用事があって行くことになった



どきどきわくわくして

そわそわする



あなたのこと待ち伏せしようかな

あなたの驚く顔が見てみたい



なんて



私がこんなだから

いつまでたっても

あなたが落ち着けないのかも



いっそのこと

この存在さえも

全て消してしまったら

あなたは元に戻れるのかな

内緒話

あのねあのね


私、好きな人がいたの


知り合った時
お互い、心に隙間があってね

それを埋めるように
お互いのことを何でも話したりしてね


同じ本を読んだり
同じ映画を見たりして
感想を言い合ったりとかね


触れ合ったりもしないのに
お互いのこと思い合ったりして


純愛だね
なんて、言うようになって


でもね、やっぱり


そのうち欲が出て来ちゃって


触れ合いたいなんて
愛し合いたいなんて


そしたら、それは


私の考える
幸せの方程式から外れててね


その人は
いろんな方程式があるはずなんて
言ったけれど


私には複雑なのは無理だったんだ



聞いてる？


心の隙間を
溝にしてしまったこと


その人、許してくれると思う？

育てるもの

育てたトマトの実が

肥料をあげた分

水をあげた分

たくさん出来てくれた




でもまだまだ油断は出来なくて

途中で腐るかもだし

虫にやられるかもだし

もしかしたら

トマトにならないかもしれない




トマトも人間も同じだね




私があなたと元に戻れないのは

あなたにいろんなことを求めすぎて

醜い心を育ててしまうから




トマトを育てたつもりが

毒の実だったなんてことに

ならないように

突然に

日常の何気ない会話の中




ふと意識が

遠い日の記憶に落ちていく




首を振って雄弁になる

花火

とっても楽しい気分でいたのに


花火が上がったら


急に胸が締め付けられるようで


せつなくなった



逢いたいなんて



忘れていた言葉を思い出す



花火


美しくて儚い


想い出と同じ

生きる

尽くして
尽くして
尽くしきる




そうすることこそに




私の生きるかちが見える