ママン

ねえ　ママン
私は子供の頃から
ママンのようには
ならないって思ってきたの

だってママンと一緒にいる人たちは
全然幸せそうじゃなかったし
私も苦しいって思ってきたから

ママンは怒ってばかりで
ママンは泣いてばかりで

ねえ　ママン
ママンは幸せだったの？
ママンはたぶん幸せじゃなかったよね

だから私はママンとは
違う道を歩いてきたはずなの

いつも笑っていようって
決して泣かないでいようって決めて

なのにどうしてかな
今　私と一緒にいる人たちは
全然幸せそうじゃない
皆を苦しめてる気さえする

ねえ　ママン
私は子供の頃から
ママンのようには
ならないって思ってきたの

ねえ　ママン
私は今幸せそう？
私はたぶん幸せじゃないよね

ある日の一コマ

見てる見てる私のこと
たくさんの期待の眼で
いろんな探る眼で

落ちる落ちる冷たい汗が
顔から首から
皮膚すべてから

だって私初めてで
だけど言い訳できなくて

できて当たり前の世界
できないはおかしい

助けてって
目をぎゅっと瞑る

誰かがクスッて笑う

ああ私がやるしかないんだって
カッと目を大きく見開く

大丈夫
私ならやり切れるって
自分に言ってみる

それから
見ている人全員を見回して
にこっと笑ってみた