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「ストラテジストにさよならを(広木隆)」という本はとてもオススメ!

2015年08月14日 01時00分00秒 | 
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 「ストラテジストにさよならを」という本は、2011年12月初版発行でアベノミクス前の著書ではありますが、「個人投資家がなぜこれまで儲からなかったのか」を分析し、株式投資の本質について述べ、失敗に学び、負けない投資のやり方を提唱するものです。

 個人投資家があまり儲からなかったのは、そもそも失われた20年で日本経済が全体的に下り坂であったこともありますが、投資家の心理面から利が乗っているときはすぐに利食いし、損が出ているときは損切りできずに抱え込んでしまっているのも原因のようです。

 つまり、儲かるためには損が出ている銘柄はすぐ売ることが大切で、値上がりしている銘柄は長く持ち、より利益を追求するのが良いようです。
具体的な手法等について本書では詳しく書かれています。

 また日本株を見ていくうえで日本企業の利益率、特に株主資本利益率(ROE)が向上するか着目することも大切なようです。

 それから、年率7%のリターンを獲得し、それを10年続けて資産を当初の倍に増やせたら、個人投資家の資産運用としては限りなく奇跡に近い大成功と思うべきなようです。
あまり夢を見ない方が良いようです。
また、謙虚に臆病であることも大切なようです。

 「ストラテジストにさよならを」という本は、株式投資を考える上で、とても参考になる本で、とてもオススメです!

以下はこの本のポイント等です。

・株式投資についてはいろいろ書籍が出ているが、ほとんどは「こうやれば儲かる」という内容だ。然るに、どんな投資であろうと、常に勝てるオールマイティのやり方なんてない。本書でお伝えしたいメッセージのひとつは「投資に限らず、この世に絶対確実なことは何ひとつない」ということである。市場の見通しも株価の予想も半分以上は外れるものと思ったほうあ良い。「それでは身も蓋もない」「何のためにストラテジストという職業はあるのか?」という声が聞こえてきそうだが、それが事実である。では、予想もできないならば株式投資で儲けることは無理なのか?いや、そうではない。この世に絶対確実なことは何ひとつないのだ、と肝に銘じて相場に臨むことが投資で成功する要諦なのである。そこを理解するのとしないのとでは投資の方法論がまるで異なってくる。

・日本の株式市場は1989年末に日経平均で3万8915円87銭の最高値をつけて以来、20年以上にわたって右肩下がりである。「株でなかなか儲からない」のは当たり前である。儲からない第一の理由は日本株市場が長期にわたって低迷しているからである。右肩下がりの相場で、儲かる方が不思議だ。

・海の話をしよう。潮の流れがきつい海で遠泳をすることを考える。何も考えず、水に身を浮かべるように泳いでいれば、気づいたときにはどこに流されているかも分からない。トライアスロンなど海の遠泳の基本は、ヘッドアップ・スイムだ。海で泳ぐ場合には、時々顔を上げて遠くの岬、岩礁、沖の旗などを確認しながら自分が今、どこにいて正しい目標に向かって泳げているかを確認しなければならない。時には潮の流れに逆らって必死にもがくことも必要になる。流されてから気づいても遅いのである。元には戻れない。海では生死に直結するリスクである。株式投資では命までは取られない。では、この点をおろそかにしても良いか?そう考える投資家はいないだろう。金融資産が命から何番目に大切かはあなた次第だが、大切なものには違いない。正しい長期投資を行おう。それでもまだ、あなたは長期「ほったらかし」運用を行いますか?

・追加で損失が出た場合の苦痛の増加よりも、損失が減少した場合の苦痛の低下のほうが大きい。こうした効用曲線の形状によって、損失が出た場合は損失を確定させるよりも、そのポジションを保有し続けたい、含み損の解消を待ちたいと思うのである。また、追加で損失が発生しても、初めて損失を被ったときよりは苦痛の度合いが小さくなるため、利益が出ているときとは反対に大胆になって、よりリスクをとって損失の解消を図ろうとする。例えば、保有している株の価格が下がったときに、平均取得価格を下げるためにさらに買い増しをする「ナンピン買い」を入れるなどの投資行動は、こうした投資家の心理が背景である。一般的な投資家の傾向として、利が乗っているときはあすぐに利食い、損が出ているときは損切りできずに抱え込むという投資行動パターンが見られるが、その背景をプロスペクト理論はよく説明している。この投資行動のパターンでは、勝つときの儲けは小さく、やられるときは大きく損するということだ。さらに、含み損を抱えると塩漬けにしてしまうために資金効率が悪くなるし、新しい投資機会を失うことなどからトータル・パフォーマンスの悪化につながりやすい。「損切りは早く、利食いは遅く」とはそうした投資家の非合理的な投資行動を諫める相場の格言として、非常に有名なものである。

・二者択一の問題を考える。
オプション1:A銘柄を継続保有する。含み損を確定しない。
オプション2:A銘柄を売却しB銘柄に乗り換える。含み損を確定させる。
どちらの選択肢を選んでも、あなたの資産の額は50万円と大きく変わらない。つまり、損はもうすでにしてしまっているのである。してしまった損は仕方がない。より重要なことは将来を見ることである。運用の目的は資産を増やすことであって、やられた銘柄の含み損を消すことではないからである。確度の問題である。資産をより確実に効率よく増加させるには、そのままA銘柄を持つのが良いか、B銘柄に乗り換えるのが良いか、その時点における将来に対する見通しだけが判断のポイントであって、A銘柄をいくらで買ったかは関係ない。
 過去を忘れることだ。そうは言っても、なかなか、それが難しい。恋愛と同じである。
 こう言えば、つれない相手を忘れられるだろうか。「あなたは買った値段を覚えているが、買われたほうはあなたがいくらで買ってくれたか知るよしもない」と。筆者の経験上は、忘れられたためしはなく、却って恨みつらみが増すばかりであった。それは、恋愛においてか、投資においてか、はたまたその両方ともか、については読者のご想像にお任せする。

・日本株は長きにわたり基本的に右肩下がりで、例えば、代表的な株価指標であるTOPIXの2001年から2010年のリターン(変化率)はマイナス30%である。だが、実は東証一部上場企業の48%の銘柄でこの10年間のリターンがプラスになっているのだ。約半数がプラスのリターンであり(つまり値上がりしており)、中には株価が10倍になっている銘柄もある。値上がりした銘柄のリターンの平均は90%以上だ。ごく大雑把に言えば、過去10年のような市場全体が3割下がるさえない相場であっても、2つにひとつの銘柄は値上がりし、値上がりした銘柄は平均すれば倍になったということだ。ここから得られる示唆は何か?それは、できるだけ日経平均やTOPIXのようなインデックスから”離れる”ことである。市場全体の大きな成長が期待できないなかで、その市場に連動してしまっては投資の成果が芳しいものにはならないだろう。

・市場全体のトレンドが、もはやかつてのような一本調子の右肩上がりではない、ということを強く認識しよう。そうすれば、一度買ったらひたすら長期で保有し続けるということがいかに危険かが分かるだろう。相場とは上げ下げするものなのだ。長期投資に対する誤った認識を改めよう。そういう相場のなかでは当然のように儲かったり損したりするが、投資家は心理的な要因で合理的な投資行動がとれないことが往々にしてある。しかし、その心理的バイアスを理解して意識的にその罠に陥らないようにつ努めれば、投資成果は大きく変わってくるだろう。専門家の意見はあてにならない。自分で考え自分で判断しよう。そのためには理論を研究し、自ら相場観を磨く努力が必要である。日本株が儲からないのは、日本の企業が儲からないからである。日本企業の収益性が低いのだ。今後、日本株を見ていくうえで日本企業の利益率、特に株主資本利益率(ROE)が向上するかどうかに着目していこう。それが日本株の評価を上げる唯一の道であるからだ。

・情報の「量」は問題ではない。マネックスグループCEOの松本大は全国投資セミナーで挨拶に立つと、必ずこういう話をお客様にする。
「私はソロモン・ブラザーズやゴールドマン・サックスでトレーディングの仕事に携わってきました。世界トップクラスの投資銀行のトレーディング・ルームには最先端の情報機器やトレーディング・ツールが所狭しと並んでいました。しかし、トレーディングにおいて本当に役に立ったのは、そういうツールそのものではありませんでした。上司や先輩から教えられたトレーディングのアイデアや、投資というものの本質、マーケットを深く理解することの大切さ-言ってみれば情報をどう活かすかという投資の知恵、インテリジェンスというものこそが非常に有益だったのです」

・ゴールドマン・サックスで天才トレーダーとして鳴らし、共同会長に昇りつめたロバート・ルービン元米国財務長官が、ペンシルバニア大学の卒業式の祝辞で示した有名な「4原則」がある。
1 唯一確かなのは、確実なものはないということである。
2 意思決定においては確率についてよく考えるべきである。
3 不確実性があるにも関わらず、我々は行動しなければならない。
4 意思決定を評価するには、結果だけでなく、その過程も考慮すべきである。
特に、この4番目の点については、ペン大の祝辞から2年後、2001年のハーバード大学卒業式祝辞で再び詳しく述べている。
「ときとして間違った判断が成功に結びつくことがあれば、きわめて正しい判断が失敗に終わることもある。しかし、長い目で見れば、より深く考え抜いたうえでの意思決定は、全体としては望ましい結果につながり、結果そのものよりも、いかに検討を加えて意思決定が行われたかが評価されることになる」
理論などおかまいなしに、ドタ勘勝負を続けていても儲かることもあるだろう。理詰めで考えてもさっぱり儲からないこともある。ただし、長い目で見ればどうか。理論やデータに基づく科学的なアプローチは、それを採用しなかった場合と比べて、長期的には望ましい結果をもたらすものと筆者は信じている。

・若かった筆者は疑問と不満を抱えながら、来る日も来る日も、朝から晩までひたすらチャートを描き続けた。世界中の株式関連指標はもちろん、金利、為替、商品市況からマクロ経済指標に至るまで、およそ金融市場に関連するデータというデータは可能な限り渉猟し、それらを方眼用紙に落とし込んでいった。その作業を半年ばかり続けたころであったろうか。作業の目的が分かってきたのである。チャートを手書きでつけるのは株価や金利の推移を「体に覚え込ませる」ことが目的であったのだ。若かった筆者は相場に関する知識以前に経験がない。その時点に至るまで、相場が、経済がどのように動いてきたのかを知らない。もちろん情報端末をたたけばグラフやチャートを一瞬で画面に呼び出して表示できる。しかし、コンピュータの画面を眺めることと、手で書いて「体に覚えこませる」ことは違うのだ。ドイツの鉄血宰相ビスマルクは「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」と言ったが、経験のない自分が過去の推移を眺めるだけでなく、あたかも経験してきたかのように自身のなかにインプットすには、一見愚直な、遠回りに見えたその方法が最良であったのだ。

・チャートが意味がないというのではない。テクニカル分析では将来の株価の動きを予想できない、と言っているだけである。ではチャートは何のために使うのか?それは位置を把握するためである。文字通り、チャートとは羅針盤だ。相場は過去からどういう経路を辿って今に至っているのか、過去の推移を検証し、他の市場、他の資産と比較する。そうした縦・横の比較において、現在の相場の立ち位置を視覚的に確認するためのものである。決してチャートの形から将来を予見したりするものではない。

・筆者はレポートにおいて、時にはチャートも引き合いに出す。数式をひねり回し残余利益モデルなどから理論株価を算出したりもする。企業業績の変化は常に収集、アップデートを怠らない。海外情勢にも、むろん、気を配る。中東・北アフリカが民主化に揺れたときには、現地駐在を終えて帰国したばかりの中東スペシャリストに取材し、情報を得た。最低限の情報ソースとして英紙フィナンシャルタイムズ、米紙ウォール・ストリートジャーナルなどの報道には目を通す。電子媒体であればロイター、ブルームバーグなどのニュースはしっかり押さえているつもりだ。相場というのは総合的に、持てる限りの情報を総動員して考えるものだ。チャートだけに頼るのもいけないが、その使用を完全に否定するものではない。

・難しい理論や最先端の学術的なことを学べとは言わない。むしろ、基本的なものに的を絞って理解するように努めたい。ただし、徹底的に、深く、その意味を理解するまで勉強するべきである。具体的には、株の投資指標に習熟しよう。特に大事なのは、次の3つである。そしてこの3つは互いに関連している。その関係を把握しよう。
①利益と自己資本を比較するROE(自己資本利益率)
②株価と純利益を比較するPER(株価収益率)
③株価と純資産を比較するPBR(株価純資産倍率)

・PERを単純に過去の平均や市場全体、あるいは銘柄間で比較して割高・割安を判断することには問題点もある。なぜなら、日本の株式市場ではバリエーション(株価評価尺度)という概念がこれまで希薄で、理論的に説明がつかない高い水準が長く続いていたからだ。また、業績が極端に落ち込んだりすると、異常に高いPERが出る。赤字企業の場合はそもそもPERの計算ができない。日本株のPERにはこうした異常値が多く、その部分を含んだヒストリカル(時系列)データを単純に使うことには難点があろう。もうひとつの注意点は、株価の先行性である。分子にあたる株価が先に下落するとPERが低下するので割安のように見えるが、その後に業績が下方修正されると分母である1株当たり利益が低下し、またPERは上昇する。結局、「割安でなかった、ダマシであった」ということになる。

・PBRは、PERと同様に「1株当たりの純資産の何倍まで株価が買われているか」と見ることもできるが、PERと異なり十数倍という水準になることはない。PBRについては、純資産の何倍まで買われているかというよりは、「純資産にその何割のプレミアム(付加価値)が上乗せされていることを株価が織り込んでいるか」と解釈するほうが分かりやすい。

・では、PBRはどの程度先の利益までを見込んでいるのだろうか。この疑問を考えるにはROEの概念を用いると分かりやすい。PBR1.5倍という株価の評価は、現在の純資産1にプレミアム0.5が乗っている。もし企業のROEが10%で、今後も継続的に純資産を年10%ずつ増やしていくならば、ごく大雑把に言って向こう5年分程度の利益を織り込んでいると考えることができるのだ。(注:複利の効果と割引現在価値は考慮しえいない)

・PBRが1倍を上回った分のプレミアムが将来の利益の合計なのであれば、PBRが1倍を下回る状況は将来の利益合計がマイナス、つまり赤字を生み出すことを株式市場が予想していることを意味する。言い換えれば、将来の何年間かを見通して、利益を生み出せずに赤字を出して純資産を毀損すると株式市場が評価していると解釈できる。PBR1倍割れは「解散価値を下回る」というより「(利益の減少による)将来の純資産価値の毀損を織り込んでいる」ととらえるほうが分かりやすい。

・日本株は「割安」ではない。市場の要求利回りを満たせないほど低い自己資本利益率。成長期待の低下やリスク・プレミアムの増加で拡大しないPEマルチプル(倍率)。その結果として株価は企業の解散価値を下回る。日本株は安くなるべくして安いのであって、「割安」ではなく、ただ「安い」と言うべきだ。

・市場の均衡が崩れると、その後で大きなショックが来る。直近の例を挙げれば2000年代半ばからの相場がそうだった。2005年ごろからアクティブ・ファンドのパフォーマンスが落ち始めた。ヘッジファンドでさえリターンを稼ぐのが難しくなった。似たような運用手法を探るファンドが乱立し、「アルファの源泉が食い尽くされて」しまったのである。そして2008年のリーマン・ショックが起きる前年(2007年)の夏には、バリュエーション指標などの投資尺度の「逆効き現象」が起きた。通常なら割安と判断される銘柄ほど急落し、通常なら割高と判断される銘柄ほど急騰したのだ。その異常さは「10シグマ(標準偏差)の衝撃」と言われるほどだった。それは確率的に言えば1がい年に1度(がいは10の20乗、兆の1億倍)しか起きない異常さであったからだ。世間にはあまり知られていないかもしれないが、それがリーマン危機に先立つ、株式市場崩壊の序曲であったのだ。

・10銘柄買う。半分の5銘柄h10%下落してロスカットにかかって売る。残りの半分は20%値上がりする。これで5%のリターンだ。これを10年続ければ複利で60%、資産の額は増加していることになる。投資した銘柄の半分が20%値上がりするというのは結構ハードルが高い想定に聞こえる。ただし、長期間の平均の話だ。株式市場のボラティリティが年率20%程度あることを考えれば、あながち現実離れしているとも思えない。これを低めに見て15%の値上がりにとどまるとすれば、ポートフォリオのリターンは年率2.5%(マイナス10%×5銘柄+プラス15%×5銘柄)。10年の複利で資産増加は3割弱だ。もちろんロスカットにかかって売約した資金を再投資し、それがまた利益を生む分もあるだろう。ただし、一方で投資に係る手数料などのコストを考慮していない。やはり年5%程度のリターンが期待値としては穏当なところではないか。

・単純な右肩上がりの相場は、今後数年期待しないほうが良い。もちろん日本経済がデフレから脱却し、新たに成長軌道に乗って発展していくことを願うし、その潜在的な可能性を信じてはいる。しかし、同時にまた、構造的な課題や困難も多く、それはそうやすやすと実現するものでもない。このような経済展望を描くとき、株式市場は大きなボックス圏の中で上下動を繰り返しながら進んでいく。底値圏では買い、高値圏では売ることが肝要である。全部売る必要はない。3分の1だけ売るとか、ポジションを半分にするとか、状況に応じて対処してほしい。タイミングを分けることが重要だ。余力を残すのである。これは買いの場合について特に言える。

・株式投資でのヘッジ手段としては、日経平均の先物の売りヘッジやオプション取引におけるプット・オプションの買い、またはコール・オプションの売りなどがある。本書で筆者がお勧めしたいのは、ボラティリティ・インデックス(略してVIX指数)に連動するETF(上場投資信託)への投資である。これは相当な高等テクニックだ。機関投資家でも、まだこの有効性に気づいていないものが多い。

・我が国でもVIX指数に連動したパフォーマンスを享受することが可能である。大阪証券取引所に上場する「VIX短期先物指数ETF」という上場投信を利用できる。しかし、このETFに投資するにあたっていくつか注意が必要である。
1 このETFが連動することを目指しているのはS&P500VIX短期先物指数という別の指数であり、VIX指数そのものではない。
2 S&P500 VIX短期先物指数は、CBOE先物取引所に上場されているVIX指数先物の第一限月を売却し、第二限月を買い付ける取引のリターンを指数化したものである。
3 その取引は「乗り換え(ロールオーバー)」と呼ばれるものである。先物であるから満期のたびに翌限月ものに乗り換えていく必要がある。
4 先物のカーブは通常時であれば「コンタンゴ」と呼ばれる順ザヤであり、期先へ行くほど値段が高い。このため第一限月を売却し第二限月を買い付ける取引を繰り返していけば、そのたびに乗り換えコストが発生する。「安く売って高く買う」を繰り返すことになり、持っているだけで減価していく。
5 前項で「通常時であれば」と述べたのは、市場が落ち着いている平時ならば、という意味である。ひとたび市場が荒れると、期近のVIXが急上昇するため先物のカーブが逆ざやになる。こうした状態では反対に乗り換えで益が出ることになる。コンタンゴの逆で、「高く売って安く買う」を繰り返すことになるからだ。
以上のことから言えるのは、このETFはごく短期の投資に向いているということである。投資期間が長くなるおVIX指数との連動は薄れる。一番投資効果が高いのはボラティリティが高まる局面で買って、市場が落ち着きを取り戻すころを見計らってショート(空売り)することである。ただし、そんなことはなかなかできるものではない。現実的に実行可能な戦略としては、ボラティリティが高まったものを確認してから買うものである。そしてさらなる市場の波乱、ボラティリティの一段の上昇に賭けるるのだ。たとえ読みが外れて市場が落ち着くほうに向かうような場合でも、それを確信してからゆっくり投げても大きくはやられないだろう。もちろんケース・バイ・ケースであるが、手仕舞いを急がなくても良いと考えられる。なぜか?理由は2つある。いったん相場が荒れると期待ボラティリティ(市場が予想するボラティリティ)はそう簡単に落ち着かないものだ。しばらくは高止まりする傾向がある。もうひとつは価格特性のためだ。ボラティリティが高まる局面ではVIX先物のフォワードカーブは逆ザヤとなることが想定され、逆ザヤのフォワードカーブのもとで期近から期先へ乗り換えを行えばロールゲインがとれる。VIXの水準が変わらなくても保有しているだけでリターンが期待できる。VIX指数が下がったとしても、このロールゲインが緩衝材の役割を果たしてETFの価格低下速度はゆっくりになると期待される。

・アドバイスを2つ差し上げたい。ひとつは資産運用においては現実主義に徹することが何より大切であるということだ。「株で何億円儲けた」「資産を何倍にした」といった類の話は聞き流す。「もし株で儲けたら」豪邸を建てるとか、海外移住するかといった妄想に走らない。年率7%のリターンを獲得し、それを10年続けて資産を当初の倍に増やせたら、個人投資家の資産運用としては限りなく奇跡に近い大成功と思うべきだ。人生に夢がないのではない。最高の恋愛をする、会社を興して社長になる、世の中にないヒット商品をつくるなど、自分の日常でとてつもない夢を見ればいい。しかし、株式投資では、夢など見ないのである。

・自分はブレず、当たり前のことをきちんとやっていけばいい。なぜかと言うと、相場のほうが勝手にブレるからだ。マーケットはしばしば行き過ぎる。こちらがブレずにいると期せずしてマーケットの逆をいくことになる。「逆張り」は狙ってやるものではなく、堅実で常識的なスタンスを維持する結果としてそうなるものなのである。

・もうひとつの筆者からあなたへ贈る最後のアドバイスは「謙虚でれ」というものだ。実は、これはマネックスグループCEO松本大の持論である。松本は「名トレーダーはみんな謙虚で臆病」であるという。自分がある情報を入手して、マーケットの動く方向を予想したとき、自分の思った通りにマーケットが動かなかったとする。それは、①自分の入手した情報が間違っていたか、②情報の分析・解釈を間違えたか、あるいは③自分の知らないほかの情報がもっと多くあるということだ。市場が常に正しく、間違っているとすれば自分のほうだ。そう考える癖をつけることで大負けは避けられる。

・投資は不確実性を相手に戦うゲームである。どんなに理論を突き詰めても、偶然性や運に左右される部分を排除できない。この意味で投資は賭けである。であるからこそ、地に足をつけて、徹頭徹尾、現実を直視するリアリストの眼を持ち、市場というものに対して常に謙虚であるべきだと思うのだ。ひとに運や偶然を支配する力はない。しかし、自分で自分を制御することはできる。それがこのゲームを勝ち抜く唯一無二の戦略である。

良かった本まとめ(2015年上半期)

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